新宿DASH ~ジャンボナメコ~
大都会・新宿の屋上のベース基地。今年の冬は危機的状況の連続だった…。
2月に岸が訪れると。「あれ?全く動きがない。大丈夫ですか?」
それは、5年がかりでようやく棲みついてくれた、大都会では絶滅寸前の「ニホンミツバチ」。
およそ8000匹の大群はこれまで、幾度となくピンチを迎え、その度に乗り越えてきたのだが…
2月上旬、日本列島を強烈な大寒波が襲った。
人間でも厳しい寒さの中、ミツバチたちは果たして無事なのか?
小型の内視鏡カメラで巣穴の中をチェックしてみると…
「めっちゃいるぞ!くっついてるんですかね、寒いから」
さらに、巣箱の中や巣門の周りには大量のミツロウの欠片が。
「冬だから、みんな集まりたい。だから巣を小さくして、みんなくっつけるようにですよね?」
ミツバチは寒さを凌ぐため、自ら巣を削り、スペースを確保。一塊になって温め合いながら冬を越す習性が。
人が手伝えることは…「毛布で防寒して冬をしのぎますか」
その後、マイナス1℃を下回る日もあったが、無事に冬は越せたのか?
3月。太一と岸が様子を見に来ると…「だいぶ動き出してますね」「よかった、冬越せたよ」
すると、脚に黄色い花粉をつけたミツバチの姿も。「頑張って働いてる」「カワイイ」
これでミツバチは一安心。だが、もう一つ気がかりが…「マンゴーがそもそも元気なのか」
主に沖縄や宮崎などの温暖な気候で栽培される、完熟したら糖度16度を誇る激甘フルーツのマンゴー。
マンゴー栽培のきっかけは、2年前の夏。城島・シンタロー・岸で、福島DASH村を訪れた時に見た、かつてマンゴーなどを栽培していたビニールハウス。
15年前、寒い東北でTOKIOが進めていた、マンゴー栽培。震災により断念していたこの計画を岸が班長となり、11年ぶりに復活させた!
「実現したいですよね!マンゴー大好きなんで」
マンゴー栽培歴36年の駒場さんから技術を学び、暖かさが必要なマンゴーのために、屋上にビニールハウスを作り、順調に葉の数を増やしていた。
しかし、このマンゴー計画も大ピンチを迎えていた!
それはマンゴーの師匠駒場さんから「屋上じゃなくて、ハウスを下に移せる場所はあるかい?」と一言。
そのワケは…「風が強くてハウスがダメになったりするかも」
昨年8月、5つの猛烈な台風が発生。屋上は幸い無事だったが、またいつ台風が来てもおかしくない。
そこで屋上からスタッフも総動員で、大学の中庭の一角にビニールハウスを大移動。
「ここなら台風が来たとしても、周りに木があるから守られると思う」
しかし、別の問題も発生。「日当たりですよね」
遮るものが何もなかった屋上に対し、地上には建物や木が茂り、日当たりにバラつきが。
マンゴーは暖かさを好み、たっぷりの日光が必要不可欠。そこで、大学に許可を頂き、伸び切った枝を剪定。
その結果、日当たりの悪かったマンゴーにも十分日光が。
しかし、ここからはマンゴーにとって大敵な…「今は11月だから、これから寒くなるので」
真冬の大都会・新宿の屋上は、マンゴーが育つギリギリとも言える5℃を下回る日もしばしば。
そこで、本格的な冬が来る前に、岸が準備を進めていた「落ち葉を入れてきます」
それは以前、大きさ10㎝を超えるジャンボマッシュルーム作りの際に学んだ、微生物が餌を食べる際に発生する熱を利用した発酵熱堆肥。
これを作るため、トウモロコシの茎・ハート池のアオミドロ・切った枝を細かく砕き、堆肥を作っていると、そこへやって来たのは太一。ビニールハウスが地上に移動した事も初めて知った太一に、岸がこれまでの経緯を説明。
そして、作った堆肥を何層にも重ね、踏んでは混ぜてを繰り返して発酵を促す。
堆肥作りから3週間後の12月には、温度は39℃まで上昇し、湯気も発生!
堆肥から発生したこの熱をハウス内に送るため、パイプを斜めにカットし、堆肥の入った箱と繋げ、熱をハウスへ。
現在の気温は7℃。何もしなければ夜から朝にかけて、5℃を下回ることが予想されるが、パイプを通して3時間後には、ハウス内の室温は14℃に。
「これで無事に生長するのを待つことですね」
このまま無事に育てば、春には花が咲き、夏には実ができるのだが、東京でも大雪となった日には、室内はマンゴーが育つギリギリの6℃に。
スタッフが大学からストーブを急遽お借りし、ピンチを乗り切った。
そして3月。栽培を始めた10か月前と比べると、葉の数はおよそ11倍に!
そして…「岸くん!これが花芽だ。スゴいじゃん!」
マンゴーの実の元になる、花の赤ちゃん。そんな嬉しい花芽が「めちゃくちゃありますよ!」
この後、花が咲き、無事に生長すれば、夏にはTOKIOも果たせなかった、大都会新宿産の激甘マンゴーが!
「生長を確認するのはマンゴーだけじゃない」それはこの冬、マンゴーの隣でもう一つ育てていたもの。
5か月前、発酵熱堆肥を作っていた時「オガクズでキノコを栽培できる」と太一。
今回、岸が作りたいというキノコは
「ナメコ。前回はジャンボマッシュルームだったけど、“おかわりジャンボ"できないかなって」
ジャンボナメコとは、ジメジメとした湿度の高い里山でしか育たない天然物のキノコ。
育つためには高い湿度と安定した気温が必要だが、そんな様々な条件を、この冬に大都会・新宿でどう再現するのか?
マッシュルーム作りの際は、通気性の良い買い物カゴを使ったが、今回は、袋に、水・米ぬかを混ぜたオガクズを入れて。
「この中にナメコの菌しか入れたくない。他の菌を無くして、ナメコ菌だけを生かす」
ナメコはキノコ類の中でもデリケートと言われ、他の菌があると死んでしまう。
そのため、ナメコ菌を入れる前に、まずはオガクズに元々ついている雑菌を蒸して一気に全滅させる。
殺菌後、空気中の雑菌が入らないようスピーディーに、冷ましたオガクズの上にナメコの種菌をまいていく。
そして他の菌を寄せ付けないよう、小さなビニールハウスをかぶせ、その上を黒いシートで覆い、直射日光を避ける。
米ぬかなどのエサを食べ菌が増殖すると、菌同士がくっつき合い、菌糸という状態に。
これを高い湿度の環境に置くと、菌糸たちが集まって土台を作り、さらに水分などを吸収することでナメコが発生する。「2~3か月経って真っ白になってなかったらまずい」
太一からキノコリーダーを任された岸は、マンゴー用に作った堆肥熱をナメコにも利用し、ハウス内の温度を15℃前後にキープ。
そして、90日後。岸が見てみると…「お!めっちゃいいじゃないですか!だいぶ菌回ってるぞ」
この白い菌がナメコの元になる。その証拠に「キノコじゃん!香り!」
ここから、ナメコを生やすために表面を削り、空気に触れさせて、ナメコの発生を促す。
「ジャンボナメコできて欲しいなあ」岸が目指すジャンボナメコの大きさは、およそ8cmのメダルサイズ。
ここから重要なのが、湿度90%以上の環境。
それを維持するため、新聞紙を丸めて簡易的加湿器を作る岸。
水を入れたコップと比べると、切れ目を入れた新聞紙を使うことで、水分が蒸発する面積が約20倍に。
新聞紙を入れた4時間後には、湿度は89%に。
「ジャンボナメコの芽が出るか待ちます!」
湿度90%をキープしながら約1ヶ月。ナメコは生えているのか?
「しっかり生えてる!なんなら普通のナメコサイズ」
栽培開始から126日で1㎝サイズのナメコに。でも、今回は「目指すはメダルサイズ」
まだ一般的なサイズのナメコをメダルサイズにするために、間引きを行う岸。
果たして、メダルサイズのナメコはできるのか!?
さらに1週間後。太一と岸がナメコの生長を確認すると…
「これスゴイね」「やばいっすよね」
1週間前は大きいものでも1㎝だったナメコが、間引いたことにより栄養が集中し、直径4㎝のジャンボナメコに!
「メダルサイズはいかなかったけど、ここまで大きくなるんだ」「ナメ"コ"じゃない、ナメ"親"だよね」
これ以上育てるとヌメリが減り、食べごろを逃すため、収穫を。
「相当美味しいんじゃない?大切に食べよう。奇跡起きちゃったよ」
そんなジャンボナメコを使って、今回岸が作りたいものが。それは「ジャンボナメコ山菜蕎麦」
このジャンボナメコが主役の、春を感じる山菜蕎麦。
「僕は蕎麦を打って、太一さんは山菜採りに行ってほしい」
太一に山菜探しを託し、岸は蕎麦打ちを開始。
屋上で育てていた深大寺蕎麦と太一の地元の柳久保小麦で二八蕎麦を。
蕎麦打ち師匠の城島不在ながらも、教わった事を思い出しながら、ダマが均等になるようスピーディーに混ぜていき、中に溜まっている空気を逃がし、切れにくい蕎麦にする重要な作業・菊ねりへ。
その頃、太一はベース基地から、わずか420mの鎌倉時代から続くお寺・薬王院へ。
タヌキなども棲む自然豊かなここなら、山菜もきっと生えているはずと、お寺に許可を頂き、山菜探し。
発見したのは「ふきのとうあった!」
春を告げる山菜の代名詞で、日本では縄文時代から食べられており、独特のほろ苦さが特徴。
さらに、ワラビらしきものも発見するが…「なんか色が違う怖いな」
一方、蕎麦打ちの岸。厚さ1㎝の蕎麦を少しずつ伸ばしていき、蕎麦打ち開始から1時間後には最も喉越しが良いとされる1.5mmに。そこへ山菜を採って来た太一も合流。
「こっちはふきのとう。これは普通に食べられる」
そして、次に見つけていたワラビのような山菜は、確認したところ、ナガバヤブソテツとベニシダ。
「この2種類は食べられないって」食用ではなく、食べるとお腹を壊す可能性があるという。
そして、岸も仕上げに。体重を乗せて均等な幅で蕎麦切り。
「岸蕎麦だよね。美味しいの頼むよ」
最初はなかなかうまく切れなかった岸も、ようやくコツをつかみ、テンポよく均等に切っていき…
「はい!完成です」
では、この打ちたてを新宿の屋上で!まずは、蕎麦に欠かせない天ぷらづくり。
岸が屋上で育てていた千住ネギ、アスパラ、太一が採って来たふきのとうに衣をまぶして油で揚げ、春の山菜天ぷらに。「贅沢っすね。神回ですね」
太一特製の春の山菜天ぷらが揚がったところで、岸が打った蕎麦の出番。
熱湯で1分半茹でて冷水で洗いぬめりを取り、岸が作った蕎麦つゆをかけ、太一の山菜天ぷらを乗せたら、さらにメインの茹でたジャンボナメコを投入。
仕上げに、薬味のワケギを振りかければ…全て新宿産の「ジャンボナメコ山菜蕎麦」の完成!
早速、蕎麦から頂く!「うま~!」「香りが良い!美味しいぞ」
そして、主役のジャンボナメコも、ナメコと思えぬ歯ごたえ抜群の食感!
山菜のふきのとうも程よい苦みと香りが蕎麦との相性最高!
「マジでやばいと思います!自然のうまみとは明らかに違う」
「自分たちで育てたものだからさ。これだからやめられないんだよね」