DASH海岸 ~キビレ~
夏の横浜DASH海岸。
6年前に作った岩場の周りには、かつての江戸前名物のメバルの群れ。
半年前、ワカメの陰に隠れていた体長1㎝程の赤ちゃんだったメバルが、今や7㎝程に成長していた。
「ここまで大きくなっているとは…。スゴイ!スゴイ!生き物の成長過程」と城島も驚き。
そんな成長過程、確認したい江戸前名物は他にも。それは「ガザ子姉さんの卵」。
ガザ子姉さんとは、今年春のカゴ網調査で出会った、卵をお腹に抱えたガザミのメス。
その後緊急事態宣言を受け、約3か月追跡調査ができなかった。
本来なら、夏になると黄色かった卵が黒くなり、母の力を借りて卵の殻を破り、孵化。
赤ちゃん達は、DASH海岸で元気に暮らしているはず。そこで…
「リーダー良いの見つけてきましたよ」と、ガザ子姉さんの赤ちゃんを探すために、木村さんが持ってきた秘密兵器が、『きんらん』。
関西・中国地方の養殖場で、ガザミの赤ちゃんたちの棲家として使われている人工の海藻。
生まれたばかりのガザミの赤ちゃんは、水中を漂い、掴まれるものが見つかれば、しがみつき、棲みつく。
海の中に設置して1週間。
慎重に引き上げてみると、「きんらん」に小さな沢山のツブツブが。
しかしよく見ると…
「ゴミだと思ってたもの、全部カニですね」と桝アナ。
「こんなん初めて見た」と城島。
体長約5㎜のカニ赤ちゃんがびっしり!
この大きさなら「ガザ子姉さんの子どもの可能性ある」と木村さん。
しかも、よく見ると、「メガロパ幼生から稚ガニに移る時期ですね」と桝アナ。
カニは、生まれたばかりの頃の形は、「ゾエア」と呼ばれるミジンコのような形をしており、そこから脱皮を繰り返し、だんだんとカニの形に。
その中間の状態を「メガロパ」と呼び、エビともカニともつかない姿をしている。
それから1か月後、約5㎜だった体長が約5㎝まで成長。
「人の家の子は、あっと言う間に大きくなる。ガザ子姉さんの子どもも大きくなった」と城島もしみじみ。
カニは、脱皮をするたびに一回り以上大きくなり、秋には15cm程になるという。
「もう砂地に行って、エビやゴカイなどの狩りを始める」と木村さん。
「DASH海岸は、豊かな干潟の流れになってますよね」と桝アナ。
工業地帯の海に江戸前名物が復活する一方、江戸前名物が減って困っている干潟も…。
「東京都内最大の干潟は困ってる」と木村さん。
そこで、後日、城島の海の仲間であり、江戸から続く漁師一家の9代目で投網の達人でもある小島さんと共に、その東京都内最大の干潟へ向かった。
その場所は、東京湾のどん詰まりの、夢の国のすぐ近くにあるという。
そして、到着した東京都内最大の天然干潟が、「三枚洲」。
「ここは船でしか行けない場所なんです」と木村さん。
「大都会の目の前にあるんだ…幻の干潟」と桝アナも驚き。
江戸川からの土砂が、長い年月かかって堆積した自然の干潟で、江戸っ子達にとって食料確保の大事な漁場。
春になれば渡し舟で、潮干狩を楽しんだ。
しかし、開発や砂の減少で、現在の面積はおよそ半分に。だが、東京都が誇る貴重な環境。
なぜ江戸前名物が減ってしまったのか?船から干潟に降りて調査する事に。
一面に砂れんがある干潟のくぼみに溜まった水をすくってみると、大量のアミが!
エビの仲間だが、ハサミがないことで見分けられる。
高度経済成長の時代、水質汚染でその数は激減。
それまでは、学校帰りの子ども達が網ですくって佃煮にして食べた大事なカルシウム源。
人間だけではなく、アミは、体長5cm程の狩りが得意じゃない子どものハギから、世界最大の魚ジンベイザメの胃袋まで支える。
そんなアミを見つけた場所には、東京湾を代表する高級魚マゴチの子どもも発見。
「照りゴチって言って、夏のカンカン照りにマゴチが上品で美味しい」と木村さん。
暑くなれば暑くなるほど美味しくなると言われ、そのゴツい見た目と裏腹に、身は繊細で、別名「夏フグ」とも呼ばれるほどの味の良さ。
数も少なく、江戸前のでっかいヤツは8000円以上の値がつくことも。
その特徴的な大きな口で何でも食べちゃう大食いハンターでもある。
さらに、干潟でウナギを発見!
もともと江戸前と言えば、ウナギのことを指すと言われる。
東京湾ではウナギカキと言われる漁具で干潟をひっかくと沢山獲れたが、6年前に絶滅危惧種に指定される程、数が激減。
大都会の目の前で、江戸前の貴重種が生態系をしっかり築いているように見えるが、一体何が問題なのか?
「泳いでいる魚は育ってるけど、砂の中の生き物が育たない」と小島さん。
そこで、腰巻漁と呼ばれる、ステンレス製の大きなくま手をショベルカーのようにして砂を掘る漁具を使って、砂の中を調べてみる事に。
元々、遠浅な三枚州では沢山の貝が獲れ、中でもアサリは名産品として、将軍家の献上品にもなったほど。
しかし、腰巻カゴに入ったアサリは割れた殻ばかり…。
「三枚洲のアサリを食い荒らすヤツがいる」と城島。
その犯人は、関西の魚で、干潟の砂を掘り起こし、アサリの殻をバリバリ砕く大食漢で、近年、東京湾で大増殖中だという。
犯人の正体を突き止めるべく、長さ50mの伝統漁の刺し網を三枚洲に沿って設置。
その網をあげていくと、かかっていたのは、体長70cmのスズキ!
江戸時代から高級魚として扱われ、夏になると脂が乗り、くせのない白身は料理法を選ばない。
特に東京湾産は、ブランドスズキとして日本有数の味を誇る。
つまり、スズキは東京湾に昔からおり、さらにアサリを食べないため、今回探している犯人ではない。
そして、続けて網にかかったのが、アサリを食い荒らす犯人。
横浜DASH海岸にも棲みつくクロダイ…に見た目がそっくりなキチヌ。
腹ビレと尻ビレが黄色いから「キビレ」と呼ばれ、関西では釣りで人気のターゲットにもなる魚。
そんなキビレが東京湾に増えた理由は、東京湾の水温が上昇したためと木村さん。
昔と比べ、東京湾の水温は約2℃上がり、10年ほど前から、東京湾にも姿を現わした。
「アサリとかバカバカ食っちまうんですよ」と小島さん。
キビレの臼状の歯は、貝やカニなどを潰すため。ひと噛みで簡単にアサリを粉々に。
さらに、クロダイは上に口が向いているが、キビレは下に口が向いている。
しかも、食欲旺盛で、各地でアサリを食べ尽くされる被害が続々と起きている。
そいつが、東京湾でも…。
桝アナが「笑っちゃうほどかかるな」と言うほど、次々と刺し網にキビレが。わずか50mの網に合計5匹。
食べる文化のない東京湾では、釣っても外道として海に返してしまうが、関西ではスーパーでもよく売られている馴染みの魚。
お手頃なのにめっちゃうまい魚として人気。と、なれば…
「生態系の問題はあるでしょうから、そのままってわけにはいかないですよね。
美味しく食べたほうが良いですよね」と城島。
そして、港で待つ料理人の摩多以さんの元へ。摩多以さんも城島の海の仲間で、東京・東日本橋にお店を構える和の達人。そんな摩多以さんにキビレを美味しく料理して頂く。
まず作って頂いたのは、『キビレの洗い』。塩につけて食べてみると…
「旨味が濃い!噛み応え、舌触り、肉質自体がクロダイと全然違う!これは美味しい!」と城島も絶賛!
続けては、キビレの身を梅と大葉を混ぜた衣にまぶして揚げた『キビレの夏てんぷら』。
「食感が加わるともっと美味しい!キビレの品のある柔らかさだからこそ衣のサクサク感が活きる」と桝アナ。
そして、メインのキビレの味がまるごと染み込んだ『キビレ土鍋飯』!
「すんごく美味しい、ほんわかと包まれる優しい味。キビレの出汁の旨味と甘味が上品」と城島。
その優しい味に、キビレのアラでとった出汁をかけて出汁茶漬けにすると、「土鍋飯と全く違う!ダイナミックな味わい!」と驚くほど表情が変わる!
城島もあっと言う間に完食し「キビレ(キレイ)いに食べました」とお約束のダジャレ!