新宿DASH ~大都会の生き物たち誕生スペシャル~
ゴールデンウィークが明けたばかりの5月7日。太一が、1カ月ぶりに新宿のベース基地へ!
1時間限定で、ハート池や池の水を循環させる水循環装置などに問題がないかのメンテナンスだけではなく、太一「この時期といったら、生き物や新芽も増える時期だしね」
太一とベース基地を見回るスタッフは、太一とは福島DASH村以来、12年の仲になる山口礼斗スタッフ。
TOKIOからの信頼も厚く、TOKIOがいない日のメンテナンスや、水やりは彼が行っていた。
1カ月ぶりのベース基地に2人が足を踏み入れてみると…
太一「外出自粛1カ月で、色んな植物育ってない?」
ハート型の葉っぱが特徴のカタバミ、タンポポなどの草花が、この1カ月半でグングン生長していた。
そんな花に止まっている、アゲハチョウの姿が!
太一「まだ飛ぶのがあまり上手くなさそう」
山口スタッフ「羽化したて?」
太一「という事は、あの子の可能性大って事?」
「あの子」とは、去年8月、ハート池に植えたレモンの木で見つけた、アオムシ(ナミアゲハの幼虫)の事。
発見から15日後の9月上旬、山口スタッフと中村スタッフが、レモンの木から5m。軒下にある、資材置き場で、サナギ直前の「前蛹(ぜんよう)」という状態になったアオムシを発見!
安全な場所を見つけた幼虫は、口から太さ0.02㎜のネバネバした糸を吐き出して「糸座」と呼ばれる土台を作り、お尻をがっちり固定。さらに「帯糸」と呼ばれるワッカを何重にもすることで、できるだけ頑丈にし、その中に、自ら頭を通して安全ベルトにする。
発見した翌日の朝、早くも脱皮したアオムシは、徐々に体の色を茶色く変化させ始め、その30日後の10月には、すっかり茶色くなり、中に羽などが折り畳まれた状態に。
そして、観測史上最速で咲いた桜も散った4月上旬、このサナギに異変が…。
人間で例えるとうつぶせの状態だったのが、いつの間にか仰向けに。
屋上に吹き荒れる強風のせいで、頑丈に作ったハズの安全ベルトが切れ、くるりと回転してしまったらしい。
落下こそ防がれたが、このままでは、うまく羽を伸ばせない可能性が…。
しかし、4月7日、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、緊急事態宣言が出され、その日以来、屋上のメンテナンスを中止していた。
それからちょうど1カ月、ゴールデンウィークが明けたばかりの5月7日。
資材置き場のサナギを、太一と山口スタッフが見てみると、サナギは抜け殻になっていた。
この状態を、昆虫を追い続けて50年の川上先生にTV電話で繋いで見てもらうと…
川上先生『糸が切れちゃって、横倒しになっちゃってる。殻が開いた瞬間に下に落ちて、羽に傷がついて、死んじゃうこともある』
中にいた子はどうなったのか?外出自粛中も回し続けた観察カメラで確認することに。
動きがあったのは、このロケの前日のゴールデンウィーク最終日5月6日の深夜1時。
殻の背中が割れて、中から羽や脚が出てきたが、仰向けになっていたせいで、しがみつく所がなく、落下の危機!
しかし、4本の脚でサナギの殻を必死につかむことで、バランスをとりながら、全体重を支え、絶体絶命の体勢から、見事羽化!
この羽化した蝶が、先ほど太一と山口スタッフが見つけた子である可能性は非常に高い。
植物に捕まって、風がおさまるのを待っていたらしく、午後2時、必死に羽を動かし、半年間待ちに待った外出。新宿の大空へ飛び立っていった。
一方、ハート池の様子もチェックしてみると、藻がびっしりと。
その中に、死んでしまっているヤゴ(トンボの幼虫)も発見。
太一「藻に絡まって、浮上できなかったのかな」
この藻は、夏場、全国各地の池やお堀などで大増殖するアオミドロ。
糸状でヌルヌルしているので、生き物達が絡まって死んでしまうだけでなく、腐って浮いているものは、水を汚し、悪臭の原因にも。
この藻がたった1カ月半で爆発的に増えたそのワケは…
太一「水の循環ができてないのと、水温が高くなっているのかも」
いつもなら、風の力で回る水循環装置で池の水を循環させ、それでも増えてしまった藻は、TOKIOとスタッフが交代制で掃除しているが、この1カ月は定期的なメンテナンスができなかった。
このままでは、ハート池にいる生き物達が全滅してしまう可能性も。
太一「よーし、じゃあ住みやすい環境作ってあげるから」
スピード勝負で1カ月ぶりの掃除をしていると、藻の中から生きたヤゴが次々と!
すると、太一の耳にカモらしき鳴き声が…。
太一「今年はカモ来てるのかな?」
春は、カルガモの子育てシーズン。
ベース基地の真下・神田川でカモのつがい(夫婦)を見つけたのは、去年5月の事。
例年4月になると、カルガモは夫婦で上空から物件探しをして、そこが安全な場所と分かれば産卵。
お母さんカルガモは、一人で卵を温め、5月になると、およそ10羽の赤ちゃんが生まれる。
川上先生によると「良い産卵場所があれば屋上でも繁殖例がある」と言う。
そこで、2019年5月、向かったのは、ベース基地からおよそ13㎞の東京都世田谷区、二子玉川駅。
駅直結の巨大ショッピングモールの二子玉川ライズの屋上がその目的地。
新宿のベース基地とほぼ同じ高さで、目の前は、東京湾に注ぐ多摩川。
そんな多摩川の生態系を少しでも再現しようと、ショッピングモールの屋上に作った人口の池。
そこには、メダカやモツゴを始め、都会では絶滅が危惧されるニホンイシガメまで、およそ100種類もの生き物が!
太一「楽しい!すごいわ!」
そして、池の岸には、計10個のカルガモの卵が!
太一「スゴイね!今、母カモいないですね。ご飯取りに行ってるんですかね」
カルガモは、コケやトンボだけでなく、ザリガニなどなんでも食べる。
でも、お母さんカルガモは、さっさと食べて、すぐに巣に戻らなければ、カラスや猫などの天敵に卵が襲われてしまう。
カルガモが、このショッピングモールの屋上を棲み処に選んだわけは、高い木がカラスからの目隠しになり、様々な管理がされていることで、野良猫などがやって来づらいという事。
川上先生「ショッピングモールの屋上は、カルガモの産卵場所に丁度いい」
新宿のベース基地と二子玉川のショッピングモールの条件はほぼ一緒。
川までの距離はべース基地の方が圧倒的に近い。
天敵から身を守るための高い木々を植えて、カルガモにとっての隠れ家を増やせば、大都会・新宿の屋上にもカルガモが来てくれるカモ…。
そして2日後、ヒナが孵ったと連絡が!
10個生まれた卵のうち、孵ったのは9羽。中には、自らの殻を破る体力が足りず、孵化できない卵も…。
カルガモは、生まれてすぐでも外敵から逃げるために本能で泳げるが、まだまだ練習は必要。
この時期は水生昆虫や柔らかい水草をムシャムシャと食べ、体を大きくする大事な時期。
さらに、その2日後には、池から飛び出し、歩きの練習を開始。
しかし、最初は9羽いた子ガモが、5羽に減ってしまっていた。
ショッピングモールの屋上で、しかも高い木があるので、カラスからも見つかりづらい。
管理された屋上なので、野良猫もほとんど来ない。なのになぜ…?
子ガモを襲った犯人は、なんとハヤブサ。
太一「世田谷にハヤブサ?」
翼を広げれば1m20㎝にも達する猛禽類で、時速300㎞で獲物を狩る“鳥類最速のハンター"。
海岸線の開発などで棲み処を失い生息数が激減し、環境省の絶滅危惧種にも指定されている。
そんな貴重なハヤブサが、世田谷区二子玉川のショッピングモールに。
人の約8倍という脅威的な視力で高層ビルの屋上からでもターゲットを見つければ、わずか3秒で地上へ。
鋭い爪を使って一撃で獲物を仕留めることができる。
川上先生曰く、一度ハヤブサに目をつけられると子ガモが生き残れる可能性は、およそ2割だと言う。
さらに、最近では、都会の高層ビルを断崖絶壁に見立て、その周辺で狩りをし、子育てする様子も。
川上先生「どこかに巣があるのかもしれない」
二子玉川のショッピングモールの屋上に人が池を作ったことで、メダカをはじめ、カルガモ、そしてハヤブサまでもが住み着く生態系が。
太一「自然に戻したからこそカルガモが来て、ハヤブサが来たんですね」
さらにその翌日、5羽いた子ガモがまた減ってたったの2羽に…。
そして、卵から孵って6日目。太一と城島が仕事終わりに駆けつけると、カルガモ親子は引っ越した後だった。
本来は2週間かけじっくりと、餌を食べ自ら泳いで歩けるようになるまで、体を大きくしてから、お母さんと一緒に引っ越すのだが、このままここに居続けると残り2羽もハヤブサの餌食になってしまうと考えたお母さんカルガモは、子ガモを連れて多摩川の河川敷へ。
そして、2019年8月、ベース基地でカルガモたちのための環境づくり。
太一「上空の敵から見えないようにしないといけないから」
高い木だけでなく、枝が横に伸びるクワを池の周りに植え、隠れられる場所を増やした。
さらに、巣の材料になるエノコログサも植えた。
太一「カモが産みやすい環境を一箇所だけじゃなくいろんな場所に作るってことが大切でしょ?」
それから9ヶ月後の2020年5月7日。
屋上から神田川を見下ろしていると、カモらしき鳥が飛んでいる姿が!
オスかメスかは見分けがつかないが、羽にカルガモの特徴の鮮やかな青色が!
結婚相手を探して飛び回っているのか!?
さらに、太一がこの時期生長を確かめたかったのが、2年前、新宿御苑から頂いた、国が120年に渡り守り続ける幻のイチゴ「福羽イチゴ」。
太一「新宿産のイチゴ、元気です!ちょっと待って、デカい!」
無類のイチゴ好きの長瀬が楽しみにしていた事は知っているが、このままだと腐ってしまうので、太一がパクリ。
太一「長瀬君ごめん!頂きます!うん、甘い!香りもいいし、ジューシー!」
しかし、他の完熟イチゴに謎の食べあとが…。
国「動物じゃない!?」
食べた犯人は一体?