検 索 無料配信 番組表

ザ!鉄腕!DASH!!

日曜よる7時00分~7時58分 放送

グリル厄介 ~アフリカン超特急~

2021.06.06 公開

今回、城島、太一、シンタローがやって来たのは、言わずと知れた温泉地、大分県・別府市。
世界に誇る温泉地・別府を流れる川の水温を測ってみると…
「約32℃ありますね」「川で30℃超えるって普通ない」
東京・多摩川は4月の平均水温、およそ18℃。一方、別府・春木川は、10℃以上も高い。
というのも、街の至る所から湧き出た温泉が、そのまま川へ。


その温かさは生き物にとって快適で、かつてはミナミメダカやヤマトシマドジョウなど、貴重な在来種がいたが、今では…「南米原産の外来種、グッピーです」
グッピーが初めて日本に持ち込まれたのは、およそ100年前。高度成長期に入ると熱帯魚ブームに。それが心無い人に捨てられてしまい繁殖。
本来、日本の川では生きていけないが、「水温が高いからメダカに代わって繁殖した」


新宿の屋上で成長を見守った、今や全国で数を減らしている絶滅危惧種のメダカは、棲む場所やエサが同じグッピーとの争いに負け、取って代わられてしまった。
しかし、今回探しているのは、そんなグッピーよりももっと厄介なやつ。
すると、シンタローが「うわ!何かが足に当たった」そのすぐそばで何かが跳ねた。
「動きがめちゃくちゃ速い」そこで、周辺をタモで捜索。逃げ道を塞ぎながら対岸に追い立てると、加藤のタモに「今回のターゲットです!アフリカ原産のティラピア」


成長すれば、50cm以上。およそ60年前、食用として持ち込まれたものが捨てられ野生化。
「水温が15℃を下回ると寒くて死んでしまうが、温かい川だから生き残った」
別府には、温泉が流れ込む川が6本。現在、その半分でティラピアの生息が確認されている。
「水温22℃以上で多い時だと2000個の卵を産む。口の中で孵化させるので生き延びやすい」
その産まれたやつらが、子どもの頃は水生昆虫や小魚を、大人になるとコケを食べる。


そのため、生息場所が減ってきているトンボの幼虫・ヤゴをはじめ、水生昆虫や小魚などは子供に、全国的に数が減っているアユなどのエサとなるコケは、大人に食べられてしまう。
そして、何より厄介なのが「側線という振動を感知する器官が2本あるので俊敏」
側線は、体の横にあるライン。通常1本なのに対し、ティラピアには2本。わずかな振動でも敏感に捉え、超特急で逃げられてしまう。


とはいえ、「そもそもはここに放した人間が悪い。ティラピアも被害者」
元々は60年前、戦後の食糧難を乗り越えるため、アフリカから食用として持ち込まれた。
1kg1000円と安い上に、繁殖も簡単。当時、高級だった真鯛の代わりとして注目され、日本各地に養殖場が。イズミダイと名付けられ、全国のスーパーなどにも並んだ。
しかし、その後10年ほどで、真鯛の養殖が本格化。ティラピアは、食卓から姿を消した。


「真鯛の代わりだったってことは味は美味しいはず。新たな別府の名物になればいいね」
大分・別府は、年間830万人もが訪れる人気観光地。しかし、新型コロナウイルスの影響により、海外からの観光客はストップ。GoToトラベルも停止に。
世の中が落ち着いた時、お客さんの目当てになる新たな別府名物を!
それにうってつけの場所が…「この川は別府を流れる川の中で最も水温が高い」


そこは、別府湾へと流れる平田川の河口。冬でも水温が20℃を下回ることがない一大繁殖地。
「(ティラピアが)いっぱいいる!」「この一帯だけで何千匹いると思います」
ティラピアは海水でも生きていけるため、このまま増え続ければ、別府の川全体に広まってしまう可能性が。


ただ、「この数を一気に捕まえるの大変じゃない?」すると、漁業歴12年の城島が「潮が引くと魚は深みに行くから、潮の満ち引きを利用して網を仕掛ける」
それは、DASH海岸の定期調査でも使っている小型定置網。満潮時に仕掛けることで、潮が引いて沖合に移動する魚を捕らえる。


使う網は、地元・大分で網を作り続けて40年「タナカ漁網」さんにご協力頂き、加藤が事前に用意。「海の定置網漁で使うものです」そのサイズ、直径1.5m、奥行き8m、幅15m。
「ティラピアは神経質なので、大きい網じゃないと入らない」これで、一網打尽に。


まずは、袖網を張り、ティラピアの逃げ道を塞ぐ。
そして、一番大事なポケット部分。海に向かって真っ直ぐ設置するが、川の流れで流されたり、ねじれたりしないよう支柱を打ち込んで、しっかり固定。
あとは左右からロープで引っ張り、ポケットを水平に保って「これで逃げられないはず」
と、潮が引くにつれ、数匹が網の方へ。さらに、また別の群れが警戒することなく網の中へ。
そして、網を設置して3時間後。「これ川の量じゃない、海の量」厄介史上MAXの大漁。


網の中のティラピアだけをタモで選別していくが、「デカい!」どれも40cm超え。
さらに、網の中には「ギンガメアジです」銀紙を張ったような見た目から、その名が付いた。
その美しさから、スキューバダイビングでの観賞魚としても人気で、沖縄・粟国島では、通称・ギンガメトルネードが名物に。


と、捕獲したティラピアの中に…
「赤ちゃんが口の中から出た!」「マウスブリーダーと言います」
さらに、シンタローが見つけたやつは、「これ(口の中にあるの)卵ですか?」「仔魚(しぎょ)ですね。孵化してまだ卵黄が付いた状態」


この日捕れたのは、計113匹。「これを有効利用してブランド化できたらスゴい」
ここ大分では、元々「豊後鯛」という名前で、旅館などで食べられていたが、今や別府の川を荒らす厄介者扱い。また新たな別府名物にできれば、数を減らしていけるはず。
では、厄介者を美味しく調理して頂くべく、やって来たのは地元の居酒屋「まんぷくハウス・変天来林(へんてこりん)」。


店主・武石孝好(たけいし たかよし)さんは、大分別府で生まれ育ち、高校卒業とともに料理の世界へ。寿司店・旅館で腕を磨いた後、大衆居酒屋をオープン。
1日に作る料理は40品以上。だが、決まったメニューはなく、全てお客さんの要望で作っている。頼まれたら断れない、人呼んで“別府の人情料理人"。


ティラピアを見ると、「これは豊後鯛だな。40年位前に刺身で出してた」が、あまり覚えていない。
40年ぶりに捌いてみると、真鯛に取って代わられた原因が。
「真鯛と比べると骨が相当硬い」「小骨が多い」俊敏に動く筋肉を支えるため、発達した骨のせいか。さらに、「コケのニオイがする」主にコケを食べるため、そのニオイが残る。


これらの弱点を克服すれば、名物になる可能性も。
試しに軽く焼いて食べてみると「身の味はしないけど、その分味付けはしやすい」
さらに、「真鯛と比べると(身が)やわらかくてふわふわしてる」真鯛は荒波にもまれ、締まった身に。一方、ティラピアは流れのない場所にいるが、一瞬で逃げる瞬発力を生むしなやかな筋肉。お客の要望に応え続け30年。その腕で厄介者を名物料理に。


「このふわふわ感を生かして大分郷土の味で作ってみます」と、出来上がった一品目は、「ティラピアのとり天風どんぶり」
「美味しい!生姜が効いてますね」「炭酸水で揚げてるから外はカリカリ、中はジューシー」


大分の郷土料理・りゅうきゅうに使われるタレで臭み消し。
大分名物・とり天は、卵・小麦粉・水で天ぷら風に揚げるのが特徴。だが、今回はよりサクッとさせるため、水の代わりに炭酸水で。
そして、2品目は、硬い骨から出る濃厚な出汁が味わえる「ティラピア汁のつけ麺」。


「全く臭みがない。優しい味」「里芋でとろみを出した」
つけ麺スープ、イメージしたのは「鶏汁」鶏の出汁で根菜を煮る、大分郷土料理。
鶏の出汁の代わりをティラピア出汁で。ティラピアのつみれも塩胡椒はせず出汁を吸わせた。


そして、数日後。世の中が落ち着いたら別府の名物にと、シェフ武石さんが声をかけ、賛同してくれた商店街の方々に、その調理法を。「流行らせな、もったいないもんね」
いつか全国の皆さんに、温泉湧き出る別府名物とともに食べて頂くことを願う。

 

【グリル厄介 特設サイト】

この記事を
シェアする

TVer 視聴ランキング(日テレ)

2025年4月18日 時点

※TVer内の画面表示と異なる場合があります。

おすすめ記事
©Nippon Television Network Corporation