DASHメシ遺産 ~山口県・周防大島~
ユネスコ無形文化遺産にも登録され、後世に残していきたい・和食。ところが!
その土地土地に根付き、代々受け継がれてきた郷土料理は、少子高齢化などで、その伝え手が年々減少。
そんな中、農林水産省が全国の郷土料理を調査し、そのレシピや歴史を次世代に残すため、データ化。
現在、掲載されているのは1365品。でも!
まだリストにも載っていない、消えゆく、超・郷土メシはあるはず!そこで、島中をかけずり回って大調査!
未踏の地で未知なるメシ、その舌で味わい、残していきたい!“DASH!メシ遺産!"
今回、太一とシンタローが向かったのは、東京からおよそ2時間30分。瀬戸内海に浮かぶ、山口県・周防大島。
淡路島、小豆島に次ぎ、瀬戸内海で3番目に大きな島で、温暖な気候を活かしたみかん栽培や、南国リゾート感溢れる絶景が有名!そんな、TOKIO初上陸の周防大島で、メシ遺産探しスタート!
時間は、帰りの飛行機までの7時間。
「これみかん畑じゃない?なんかあるかもよ、みかん料理」山口県のみかん生産量の8割を担う、周防大島。
温暖な気候と傾斜の多い土地を活かし、江戸時代に始まったみかん栽培は、戦後、島の一大産業になり、人々の生活を支えた。そんな、島の名物をもっと売り出そうと、みかんを丸ごと鍋に入れた「みかん鍋」を16年前に開発。酸味と甘味が鍋に溶け出すだけでなく、トロトロになったみかんもいただく。
ちなみに、お取り寄せでも大人気!
でも、今回探すのは、ネットにも載っていないような、古くから伝わる、超・郷土メシ。
畑が広がる山間の道を進み、出会ったのは岸田みかん園の岸田さん。
生まれも育ちも周防大島、この道70年の大ベテランで90歳の今もバリバリの現役!
そんな岸田さんによると「島の料理だとチャガユっていうのを炊きよった」
しかし、今やチャガユを作る人はほとんどいないらしい。
さらに、近くの畑で作業中だった別の農家の横山さんにお話を聞いても「いないんじゃよ」とのこと。
他にも6人の農家さんに聞いたものの、知り合いにも作っている人はいないという。
と、横山さんから、今が旬の極早生みかんを頂けることに。「うっま!甘みと酸味のバランス最高っすね!」
しかし「チャガユ食べられそう?」「ちょっと厳しそうな感じがしますよね」
チャガユを求めて移動している途中に出会った方にお話を伺うと「ギャング丼しか知らない…」とポツリ。
ギャング丼とは、10年前に考案された、次世代のメシ遺産候補。
レアに焼き上げた赤身肉を、豪快に隙間なく敷き詰めた、ギャング感満載の島の新たな名物!
「チャガユは相当レベルが高いよ!」
隣町に向かって、海沿いを東へ移動。その道中、次世代に伝えたい、ある名物が…!
「今、国指定石風呂って書いてありました?」「石風呂?」
石風呂は、江戸時代、西日本各地にあった、石のサウナ。火で熱した室内に、海水を含んだ藻を敷き詰め、その蒸気を浴びる。かつては、島内に40ヶ所以上もあった石風呂。
しかも「久賀の石風呂」は、西日本最大にして最古。まさに、残して伝えていきたい、文化遺産!
そして、残り5時間。「ヤバくない今日?みかんだけで終わる可能性あるよ。企画存続の危機だよ」
やって来たのは、小さな港町にある日良居漁港。
そこで出会ったお父さんにお話を伺うと「じんだ味噌っていうのがあった。あとチャガユ」
なんと、先日炊いたチャガユがあるという!「これはうれしい!いや鳥肌たった!」
山口県・周防大島で暮らす方々に食べ継がれてきた、チャガユ。「美味しい」「本当、お茶のおかゆですね」
平坦な土地が少ない周防大島では、かつて米は貴重品。わずかに取れる米を節約するため、昔はどのご家庭でも、この茶がゆが食卓に並んでいたという。
豆茶と呼ばれる、エビスグサの種を空炒りしたものをじっくり煮出し、お米を入れて、およそ30分炊く。
この茶がゆは、農林水産省の「次世代に伝えたい郷土料理リスト」にすでに掲載済みだった…。
別の郷土料理がないかと尋ねていると、「カイモチがある」と通りがかりのお母さんから別の料理の名前が!
そのカイモチを作るグループとお父さんがお知り合いで電話で確認。そのグループは、島で唯一の道の駅「サザンセトとうわ」で、カイモチを販売しているというが、日曜日にしか作っていないという。
そのかいもちとは、芋と餅を混ぜて作る、周防大島伝統のおやつで、これも、米が貴重だった時代、少しでもお腹いっぱいになるため食べられていたという。
撮影後、スタッフが移動の準備をしていると、通りかかった別のお母さんから「じんだ味噌作れるよ」とご自宅に案内していただいた。
太一も初耳だったじんだ味噌とは、いりこ出汁に麦味噌と砂糖、細かく切った長ネギを加えて煮た料理。
ご飯にのっけていただくと…「美味い!美味しい!お魚の出汁がすごくきいて」
かつて、獲れた魚を無駄にしないため、島の漁師たちによって保存食として生まれた「じんだ味噌」。
そして、このじんだ味噌は農林水産省の郷土料理リストに載っていなかったので、メシ遺産に認定!
帰りの飛行機まで残り3時間。未知なるメシ求めて、島の南側へ。
ヤシの木ロードを抜けると…「景色素晴らしい!」「ハワイっぽい」
かつて、周防大島からおよそ3900人がハワイへ渡り、サトウキビ畑や製糖工場で働き、ハワイの発展を支えた。
その繋がりから、周防大島とカウアイ島は姉妹島に。島には、ハワイの文化や風習が根付き、今では、SNSで映える人気スポットに!
さらに、人気スポットは他にも!「あれ?鳥居がある」「厳島神社?」
広島県・宮島にある、世界文化遺産・厳島神社は、古くから、瀬戸内の人々の信仰の対象。
点在する島々に暮らす人でも簡単に参拝できるよう、分社が各地に作られ、周防大島の厳島神社もその1つ。
そこから、海沿いの道をさらに進むと橋が。その橋を渡り、島に入ってから5分ほどで車は行き止まりに。
やって来たこの島は沖家室島。面積はわずか1平方kmほどの小さな島で、漁業の島として有名で、かつては、多くの漁師がこの島に住み、人口3000人を超え、日本一の人口密度になるほど賑わった。
現在では、およそ150人が暮らし、一本釣り漁で、鯛やハマチなどがよく獲れる。
この沖家室島で出会った漁師さんに教えて頂いたのが、島の名前が付けられた沖家室ひじき。
島の周りの岩場で獲れる、天然のひじき。お酢で味付けし、薄くスライスした玉ねぎと和えた、沖家室ひじきの酢の物を頂く。「うま!食感がある!」
さらに、沖家室ひじきを使ったおすすめ料理をもう1品!
わさび、麺つゆ、マヨネーズを混ぜ合わせちくわなどの上に乗せた、沖家室ひじきサラダわさびマヨネーズ和え。
「うっま!また全然違う!味付けも最高!」
この沖家室ひじきも、農林水産省の「次世代に伝えたい郷土料理リスト」に掲載なし!
「沖家室ひじき、メシ遺産に認定!ありがとうございます!」
そして帰りの飛行機までは、残り1時間。
漁師さんに教えていただいた、今の時期、地元の方が集まるというスポットへ。
「アサギマダラ園」
季節とともに北と南を行き来する、日本で唯一の渡り蝶・アサギマダラ。
その距離は、最長でおよそ2500kmにも。
ここ・アサギマダラ園は、中継地として休めるよう、地元ボランティアの方々が日々環境を整えている。もちろん、メシ遺産候補ではないが、伝えて残していきたい島の名物。
その後も、人を見つけては聞いてみるものの…
「分からん」「知らないですね」新たなメシ遺産候補に出会うことはできなかった。と!
「ピッピッ ピッピッ ピッピッ ピッピッ」ここで、まさかのタイムアップ。
結果、この日、2人が頂いたのは、全部で7品。
でも「農林水産省が認定していないものを見つけた喜びは大きい」
周防大島のみなさま、ありがとうございました!次はどこの未開の地へ…?