DASH島 ~無人島養殖計画 完結~
養殖計画の始動から、500日。費やした時間の全てが、ついに完結。
50年間放置された溜め池で養殖がしたい!そのために、450日かけ、ヘドロ14万リットルを取り除き、そこに、新鮮な海水を汲み上げるため設置した、DASH島初の動力・風車。
気温が高まり始めた今年6月。溜め池に異変が起こっていた。「池の色やばくないすか?」
確かに、新鮮な海水を入れたはずなのだが、水かさが増していくにつれ、徐々に濃い緑色に。
「この水でエビを養殖できるかどうかだね」それは、池の整備を始めた当初から、「バナメイエビ育てたい」松岡が熱望するメキシコ原産・車海老の仲間。
TOKIOが目指した最高のカレー・DASHカレー。その具材の一つにと、松岡が山梨で愛情をかけ育てていたが、エビは惜しくも落選。その未練から、リベンジを誓っていた。
そこで、「養殖の師匠に聞くしかないね」エビ養殖なら、この上ない人脈が。バナメイエビ陸上養殖のパイオニア・横山和幸。
山に囲まれ海がない山梨県に、独学でエビ養殖場を立ち上げた第一人者であると同時に、松岡にエビのイロハを教えてくれた、養殖の師匠。
プロの判断は、「これ(池の色の正体)はミドリムシ。人間の体にもいい」ミドリムシは2億5千万年前から存在する古代の生物。
動物のように自ら動き回る一方で、植物のように葉緑体を持って光合成する、両方の性質を持つ生物。近年、豊富な栄養素を含むスーパーフードとしても注目されている。
おそらく、ヘドロの中に生息していたミドリムシや植物プランクトンが、空っぽにした後もコンクリートの隙間に残り、6月、次第に強まる日差しと共に繁殖したと思われる。
横山さん「エビにとって(ミドリムシ)は非常に栄養価の高いエサ」しかし、考えられる問題点は他にも。「直射日光で水温が上がりそうなのと、雨で塩分濃度が下がらないか心配」
そこで、プロとともに水の状態を確認。と、横山さん「塩分濃度。まずは自分が飲んでみる」自らの舌でチェック。「エビを育てるには、エビの気持ちになることが大事」
「もしよかったら(どうぞ)」断れない雰囲気に、太一とリチャードも「しょっぱ!苦っ!」
塩分濃度計で計測してみると、3.1%。海の平均濃度が3.4%なので「雨水で薄まってる」だが、むしろ「早く大きく育てるのなら(海より)薄い方がいい」
適応能力が高いバナメイエビ、多少の濃度変化は問題ない。塩分が高いと「浸透圧」の原理で体の水分はどんどん外に出てしまうが、塩分が低ければ、水分が抜けにくくなり成長も早まるという。
そして、水温は27℃。「バナメイエビには丁度いい」というのも、本来バナメイエビが暮らすメキシコ沿岸は水温28℃。つまり、「塩分濃度も水温も今の状態がベスト」
「ただし、夏になったら対策は必要」水温が上がる夏場でも、定期的に海水を足すことで水温や水質もキープできるはず。
つまり、養殖のプロから見ても、DASH島でもバナメイエビは育つという判断。
日本に輸入されるエビの半分を占めるバナメイエビ。しかし、その9割は輸入に頼っている。
現在、日本各地でバナメイエビ養殖の研究が進んでいるが、この無人島で成功すれば、バナメイエビのさらなる可能性が。
そこで、研究の一環にと、横山さんから稚エビ1000匹を分けて頂いた。
DASH島の港跡にも住み着く、ケフサイソガニ。これをエビのエサに。横山さん曰く、カニはエビの大好物。
これなら当面のエサにも困らない。そこで、さっそく、稚エビを養殖池に放流。「これだけ広いとエビもストレスないんじゃない」
確かに、松岡が同じ1000匹を育てた水槽は50立方メートル。これでも十分な広さだが、DASH島の養殖池はそのおよそ30倍の1600立方メートル!
そして、大きく育ってもらうために、細かく砕いたケフサイソガニを。と、カニを入れた直後、「寄ってきた!スゲー、やっぱニオイ強いんだね」
その日から、作業の合間、スタッフも加わり、エビの世話を。2日に1回程、エサを調達し、横山さんのアドバイスでカニを下茹で。
一度火を入れることで、食べ残しが腐ることによる水質悪化も抑えられる。エビたちもカニの味に慣れたのか、警戒心なくモリモリと。
そして、エビにとってより良い環境を目指し、暑さが本格化する前に動き出していた。「日陰作ってあげないとあかん」
というのも、海水を入れて1ヶ月、スタッフが気づいた。「(池の水)すごい濁ってる…」水の色がさらに深い色に。
そこで、横山さんに確認すると「植物プランクトンが増えてるだけなんで、全然問題ない。ただ、エビは直射日光を嫌うので日陰が欲しい」
つまり、日陰を好むバナメイエビは、強い日差しがストレスの原因に。なので、日中、陽が差し込む西側に日陰を作ることに。
松岡のイメージは固まっていた。「足場を作って、その陰を上手く使う」尾瀬の木道のように、人も歩ける足場を作れば、日陰もできて、エビの様子も観察しやすい憩いの場所に。
使い古しの足場丸太で骨組みを作り番線で。土台が組めたら、その上に板を載せれば「この下が日陰になる」
さらに、「屋根みたいなの作って、鳥からも守んなきゃ」鳥にとっても格好の足場になってしまう。そこで、漂着物の竹とヒモで手早く作った網を、土台の柱に縛って固定すれば「鳥除けもできた」
この足場を西側一列に設置。「これでエサもあげやすいし、作業もしやすいね」エビが安心して休める環境が整ったら、成長をチェックするため、エビを捕獲。
「この隅っこにいるはず」エビは警戒心が高いため、岩の隙間など狭い場所を好む習性が。
DASH島の養殖池では、狭くなった四隅へ自然と集まるはず。
と、捕まえてみると、「5cmどころちゃうやん!」広い環境と、濃度が低い海水が功を奏したか、わずかに3週間で2倍に!天然のバナメイエビと比べても3倍の成長速度。
大きくなれば、餌の量も増える。そこで、蟹よりも取りやすい、無人島ならではの餌を。
リチャードが採ってきたのはアナアオサ。城島のチョイスは「サボテンの実」。DASH島に群生するウチワサボテンの赤く熟した甘い実。「かぼすブリとかあるやん」
大分県では名産品のかぼすをエサに混ぜることで、果汁に含まれるポリフェノールが血合いの鮮度を落ちにくくし、臭みの無い身に。ならば「エビの身自体も甘くなったらええなって」
そして、松岡は「カメノテ。やっぱり甲殻類が一番いいんじゃないかなと」それは、横山さんが研究を重ねた結果、エビが好むエサはエビやカニなどの甲殻類だと言う。
しかも、エビは脱皮をしながら大きく成長するため、身のタンパク質と殻のカルシウムがバランスよく摂取できる甲殻類が成長にも効果的。
DASH島の波打ち際に群生するカメノテは、エビやカニと同じ甲殻類。そこで、「どれが一番食うか、ちょっとずつあげてみよう」エビの食いつきが一番良い物をエサに。
まずは、リチャードのアオサ。これには全く興味を示さず。さらに、城島のサボテンの実も無反応。では、松岡のカメノテは「ほら食った!食い方やばいね」結果は圧勝。
その日から、カメノテのエサ作りも日々の日課に。さらに、水質悪化を防ぐのに欠かせないのが、底に沈んだエビのフンの除去。
しかし、7月上旬、日本各地を襲った梅雨前線。その影響はDASH島にも。「うわ、水かさ増えたなあ」たった一晩で、水位が40cmも上昇。
塩分濃度も適正な数値より薄まっている。そこで、すぐに風車を回し、海水を。それからひたすら塩水を足し続け、塩分濃度もなんとか持ち直し、「エビも元気そうだね」
そして、稚エビ放流から3ヶ月。「めっちゃでかなってる!」「こんな大きくなるんやね」およそ5倍にまで成長し、推定16cmに!同じ仲間の車海老なら1匹750円の値がつくことも。
食べ頃には間違いないが、「獲るの大変だよ」2か月前、3人で1時間、溜め池を歩き回って、捕獲できたのは、わずか2匹。
そこで、「四手網漁で獲ろう」それは、江戸の頃より続く伝統漁法。水中に沈めた網を一気に引き上げ、網を通った魚を一網打尽に!
まずは、流れ着いた網に空いた穴を麻ひもで塞ぎ、その四角い網を吊り上げる四つの腕は、しなりと強度を兼ね備えた竹で。
「これで網にエサを置いてバンっと引き上げる」つまり、網を引き上げる装置が必要。そこで、開拓で大量の石を遠くまで運ぶために作った投石機を応用し、重りの力で一気に!
跳ね上げるための重りを支えるつっかえ棒。その反対側に、エビをすくい上げるための網を。「いい感じに完成!」
網の上に大好物のカメノテを置けば、匂いを嗅ぎつけたエビが池中から網の上に集まるはず。さらに、「こっちで騒いで追い込むわ」音や振動で魚を網へ誘導する「追い込み漁」と同じ要領。
その間に、「5,4,3,2,1,GO!」つっかえ棒を外し、重りの力で網を一気に上げる!と、「(エビが)いる!いる!いる!1尾、2尾…2尾だね…」
追い込み方が大人しすぎたのが原因か。そこで、追い込む人数を3人に増やし、さらに全員で大合唱。「入ってる!跳んでる!デカい!」特大サイズ1尾を含めた3尾を追加し、合計5尾を捕獲。
大量捕獲とはならなかったが…「1人1尾は食べられるし十分でしょ!」全員の試食分は確保できた。
さっそく、舟屋で調理。15cm級の大物は2匹。「何で食べる?」「エビと言えば天ぷら。揚げ物でいきますか」
まずは、手で殻を剥き、手作りのユリの根の片栗粉をまぶし、アケビ油でカラッと、“エビの天ぷら風"。そのお味は「プリプリ!こんな甘いの!?」
さらに、天然のエサだけで育てた新鮮なエビ。頭の部分も余す事なく。香ばしく炭焼きで。「これはいいなあ。レベルが違う」
「養殖池で次何を育てるかも考えたいね」まだまだ、色んな生き物を育ててみたい。そのためには、水の循環、ろ過、日除け対策…多くの壁を乗り越えなければ。