DASH村 ~24度目の田植え~
5月上旬の福島。「今年は田んぼをもう1枚増やして5枚」ここは、日本百名山・安達太良山を臨む大玉村。開拓から2年目を迎えた棚田は「ここにあった木を移植した」
去年、作業が間に合わず畑にしていた場所を、今年こそは田んぼにしようと、休眠中の桑の木を元畑だった場所から「お引っ越し」
土手を作り、水を入れ、「これで5枚。1人ひと田んぼ」今いるのは4人だが、「もう1人実は参加してるのよ」それは後ほど登場する、福島での米作りに熱い思いを抱く1人の男。
そして、2年目の棚田の土は「めちゃめちゃ吸い付くじゃん」「葛尾の吉田さんの堆肥がガッツリ入ってて、それが効いてるんじゃないかな」
それは10日前、大玉村の棚田から東へ1時間。2年前まで米を育てていた葛尾村。ここに来た目的は「(大玉村の)棚田に栄養をいっぱい入れる為に堆肥をいただく」
訪ねた吉田さん親子は、葛尾村の田んぼ開拓の時、力を貸してくれた地元の畜産農家。その牛舎には、「(牛が)300頭くらい」
牛たちが布団代わりにしている藁や糞は、掃除して堆肥置き場へ持っていくというので、太一もお手伝い。と、ここで太一が吉田さんに紹介したのが「なにわ男子の藤原です」
彼こそが米作りに熱い思いを抱く男。「一番の新入り」藤原、初めての作業は堆肥の運搬。と、気づいたのは「(堆肥が)全く臭くない」
その理由は、集めたばかりの藁や糞を専用の機械でかき混ぜ続けることで、微生物が活発に働き有機物が栄養分になる上、匂いの元・アンモニアなども分解されるため、匂いがなくなる。
いただく堆肥約5t分を全て運搬用のダンプに。そして、この5tを田んぼに全て撒く重労働が待っているので、その前に「石井食堂さん。行きつけの店」
DASH村からほど近い石井食堂は、20年以上前からスタッフが通っていたほか、作業の合間の昼ごはんにも。新入りへのおすすめは「大盛りチャーハン」
といっても、米4合の特大チャーハン。でも「これうっま」食べきれない分はお持ち帰り。
堆肥は大玉村まで運んで頂いたが、田んぼまでの道が細く入れないので、その手前で下ろし、5tを人力で運ぶにあたり、最強の助っ人が。
「若元春と申します」「若隆景です」荒汐部屋の関脇・若元春とその弟・若隆景。2人の出身は福島県福島市。TOKIOがDASH村で米を作り始めた頃、小学生で相撲を始め、高校生の時、震災に遭い、避難生活を送った荒汐部屋に入門。
震災後も福島で続く米作りを見て、自分達も何か地元に恩返しがしたいと「ご好意でお手伝いに来てくれた」さらに、「若隆元と言います」長男も合流し、大波三兄弟で。
5tの堆肥は、ものの30分で5枚全ての段に運び終え、「ここからは撒いてく」
「力士さんに塩じゃなくて肥料を撒かせるってない」そもそも、稲作と相撲には深い繋がりが。場所前に、邪気を払い無事を祈る儀式には、米などが捧げられるほか、四股で大地を踏みしめる所作には、災いを払い豊作を祈願する意味が込められている。
三兄弟のパワーで撒くのもあっという間に済んだので、もう一つ、助けを借りたい力仕事が「今ものすごい大きな穴が空いてる」
それは、田んぼを増やすために、桑の木を掘った跡。土で埋めただけでは、水を入れた時にゆるまり、底なし沼状態に。
そこで、石を入れて地固土台を作り、上から土を押し固めることで、周りと同等の固さに。「その石を入れるの手伝ってもらっていいですか?」
ここを耕した際、出てきた石、重さ約30kgを軽々と。そして、石で土台ができたら、土を被せ、「土俵は力士が輪になって(踏んで固める)」田んぼも土俵固めのイメージで。
作業の後は、太一おすすめ・國分菓子店のパイシューで糖分補給。さらに、石井食堂でお持ち帰りしてきたチャーハンも。「めっちゃ美味しいです」
お腹一杯になったら、大事な仕上げの作業。田植えに備え、トラクターで堆肥を土に混ぜ込む。そして、「水を入れて」水を含んだ土は、「ねっとーりとしたこの感じいいですな」
ここに植える苗は、シンタローが初めて作った小屋の中で生長。そして今年は、生長ぶりが違う、もう1種類の苗。「メッシ元気だな」「長いし、分けつしてる」
新男米との差は一目瞭然。太い上に、元々1本だった茎が枝分かれする分けつが始まっている。「メッシも2年目からが勝負だね」
「じゃあ苗玉作っていこうか」と、そこに密かに参加していたのが新入りの藤原。「今年から米作りに参加させて頂くという事で」早めに来て、田植えの準備をしていた。
稲の藁を巻いて束にする苗玉は、田植えしながらでも簡単に解けるように結ばねばならないが、今年の新入りは「できてるじゃん」「事前に過去の映像を見て、勉強してきました」
そして、福島の仲間たちも合流し、「じゃあみなさん!24度目の田植え、よろしくお願いします!」
田植えのコツは、苗を指でつまむように持ち、土の中2~3cmに。あとは田んぼの土が勝手に覆いかぶさる。
藤原がモタモタしてるうちに、専次郎さんが藤原の分まで植えていく。「めちゃくちゃ早い」
その頃、田んぼ横ではいい香りが。「タケノコの唐揚げ作ります」地元で採れたタケノコをニンニク・ショウガをきかせた醤油で漬け込み、粉をからめて揚げていく。
さらに、地元で昔からよく食べられているという納豆料理。納豆を粗みじんにしたら、ネギと油揚げの味噌汁に加え、納豆汁に。そして、欠かせないのは「これ孝子梅だ」
田植えは後半戦。「5枚目はメッシね」「メッシの苗は根張りがいいっすね」今年、畑から田んぼにした5枚目。初参加でもわかる「全然(土が)違う」「硬い」「浅いね」
去年、畑用に耕したのは部分的かつ浅かったこともあり、まだ水と土が馴染みきっていない。しかも「こんなでっかい石入ってる」
そして、「(田植え)OKだと思います!」作業の後の楽しみは、「こちら20人前のチャーハンです!」みんなに喜んでもらいたいと、藤原が準備していた。
計2升半分のチャーハン、これで完成ではなく「餡かけちゃいます」さらに、ワラビを使って「なんか書いてるの?」「ホウサク(豊作)です!」
「丈、おこげ結果おーらい」「梅干し絶対合うぜ、孝子ちゃん梅干し」そして、タケノコの唐揚げは「鶏肉よりサクサクいける」納豆汁も「味噌汁と納豆合うなあ」
23年間繋いできた稲。これからも繋いでいくためには、先輩たちの経験を生かし、後輩が知恵を絞り、新入りが新たな風を吹かせ、「これから見守っていきましょう!」