新宿DASH ~マンゴー栽培~
大都会新宿の屋上、DASHのベース基地で、太一と岸が何やら作業中。
「夢のようだよ。でも、僕ら成功してないんだよね、マンゴーは」
14年前、福島DASH村でTOKIOが進めていたビッグプロジェクトの一つ、マンゴー栽培。
しかし、2011年3月の震災により栽培を断念。そのマンゴーを今年、大都会の屋上でリベンジ!
それに欠かせないのが、大都会では絶滅寸前で、棲みつく可能性5%以下の在来種・ニホンミツバチ。
ミツバチを呼ぶためにイチから水飲み場や風と直射日光を避けるための小屋を作り、年中蜜が吸えるようにと至る所に花を!すると、5年目の今年4月、8000匹の大群が!
ミツバチがやって来て1か月。気になるのは…
「こんなにずっと働いてるんだよ。ずっと蜜を取りに行ってる。どんだけ巣箱の中にハチミツあるのって話」
そのハチミツを頂けるのは秋だが、ミツバチにもウイルスやダニによる被害があるため定期的に健康診断が必要。
巣箱を開けてチェックしたいところだが、太一と岸だけでは心もとない…。
そこで呼んだスペシャリストが、以前太一がミツバチの生態を学んだ、養蜂界のレジェンド・藤原誠太さんの愛娘、愛弓さん。東京大学大学院でミツバチを研究。その知識と技術を全国各地に伝える養蜂界のサラブレッド。
藤原さんの指導の下、ミツバチを驚かせないように巣箱をゆっくりと開け、さらに、ミントの葉を使って、ミツバチたちを巣箱の奥へ誘導。これは養蜂界のレジェンド直伝の技。ミツバチの体には害がないが、ミントの持つスースーした匂いを嫌ってミツバチが一時的に巣箱の下へと避難。
その巣箱の中には、大きなミツバチの巣が!
両面に穴の開いた板状の巣が等間隔にぶら下がっており、これは狭い空間で、部屋の数を増やすためのミツバチの知恵。
この巣は「働きバチが作ってる」
働きバチ自身が、ハチミツを原料に体内でロウを作り、貼り合わす大工仕事。
しかも、触覚で緻密に寸法と角度を測りながらほぼ正六角形に。少ない材料で沢山の部屋を作れる上、接する面が多いため、衝撃にも強い。これは英語でハチの巣を表す「ハニカム」構造とも呼ばれ、飛行機の機体にも使われる、ミツバチが生み出した技術。
この六角形の部屋の中には、1つずつ卵が。
そもそも働きバチの寿命はわずか1か月。そのため、そのお母さんに当たる女王蜂は、四六時中空いている部屋を見つけては1日500~1000個の卵を産み、群れが減らないようにしている。
さらに、巣を覆っている働きバチはすべてメスで、巣を守るため、お尻に針を持っている。
つまり、ミツバチの群れは、女王蜂とおよそ8000匹のメスの働きバチが暮らす女系家族。
一方、春の間だけ、群れの10%程の割合のおよそ800匹のオスバチは、自らの群れの遺伝子を広げるため、他の群れの女王蜂とお見合いして結婚する事が役目となる。
大きく視力のいい目を頼りに、我先にと猛烈アタック。見事結ばれると、その場で生涯を終える。
しかし、交尾ができるのはほんの一握りで、残りは巣に戻ってくるが…「働きバチ(メス)から邪険に扱われる」
メスが働きバチと呼ばれるのに対し、オスは怠けバチ。その名の通り、お見合いの時間以外は巣作りもせず、巣の原料のハチミツを食べているだけ。だからやがては、巣を追い出されてしまう。
オスバチはエサを取ることができないので、そのまま死んでしまうが、「切ないけど、働きバチにとっては巣を守るためのお仕事だからね」
そう、巣の中にはミツバチにも、人間にとっても大切な神秘の恵みが!「うわ!スゲえハチミツだ」
ハチミツは人間でいうお米のような物で、長期保存が効くミツバチ達の主食。
糖度20度程の花の蜜を巣にいる仲間に口移しで渡すことで、特別な酵素を混ぜ殺菌。
さらにこれを部屋の中に入れ貯蔵し、自らの羽で風を送って乾燥し余計な水分を飛ばす事で糖度およそ80度。
冬場でも凍らない状態に。「すごいね、ハチって」
ハチミツをたくさん食べ、エネルギーを蓄えたら、再び巣の外に働きに出る。
「一か月の寿命しかないのに頑張ってる、自分たちの組織を残すために」「みんなで代々繋いでるんだな」
そして、そんなミツバチ達の働きが必要なビッグプロジェクトが始動していた!
そのきっかけは14年前、福島DASH村で、挑んだ激甘フルーツ、マンゴーの栽培。
沖縄や宮崎など温暖な地域で栽培されるマンゴーを、高さ4mの二重構造のビニールハウスを作り、生長を見守り続けたが、2011年3月11日、東日本大震災が発生し、志半ばで断念せざるを得なくなった。
福島DASH村でも果たせなかったマンゴー栽培を再び…。大都会新宿、コンクリートの屋上で!
新宿でマンゴーを育てるにはどうしたらよいか?城島の愛読書によると「BOX栽培って書いてあって…」
広大な土地や土を使用せず、マンゴーを育てることができるらしい。
そのBOX栽培の事を勉強するため、マンゴー担当に任命された岸が向かったのは、新宿のベース基地から北へ120㎞の栃木県宇都宮市。
訪ねたのは、決して温暖とは言えない栃木の地でマンゴーを栽培して30年の「マンゴー界の革命児」駒場さん。
そのハウスに案内していただくが、まだマンゴーはなっておらず。「あわよくば食べたかったな…」
そして、目的のBOX栽培について教わると…「BOX栽培は、“根域制限栽培"っていうの」
わかりやすく言うと、根を制限して作物を作るやり方。そもそもマンゴーは、インド原産の熱帯植物で、樹齢30年で家の4倍もの高さになるほど巨大になる。
しかし、マンゴー栽培歴30年の駒場さんの木は、根の生育を制限しているため、高さが低い。
「これなら屋上でも出来そう」
一方、「僕が懸念してるのは、普通に育てた太い木にマンゴーができて完熟した方が美味しいのでは?」と岸。
しかし駒場さん曰く「木の太さは関係ない。断然、この根域制限栽培でできた方が美味しい」
根の生育を抑えることで、自分自身が大きくなれず、生命の危機を感じその代わりに子孫を残そうと、実に栄養を送る。そのため、たっぷり糖分が詰まった甘いマンゴーになるという。
そんな駒場さんのマンゴーを求めて県外からお客さんが買いに求め、多くの農家さんが駒場さんの栽培法を学び、今ではBOX栽培は全国各地で取り入れられている。
BOX栽培に欠かせないのが、駒場さんが5年かけたどり着いた、鉢の代わりに使っているネット。
道路の脇の斜面の土砂崩れ防止にも使われる頑丈なネットで、通常の鉢に比べて水はけがよく、通気性も高い。しかし「空気に触れやすい分、温度管理が難しい。マンゴーは限度5℃」
真冬の新宿のビルの屋上は、池に氷が張るような0℃以下になる日も珍しくなく、台風並みの強風が吹くこともしばしば。風で葉っぱどうしが擦れ合い、傷付けば、そこから病気になる可能性も。
前例のない、大都会の屋上でのマンゴー栽培できるのか!?
その準備は、太一が進めていた。「ここは日当たりがいいよね」
池作りでもお世話になった、屋上緑化のプロ・櫻井さんの手もお借りしてビニールハウスづくり。
そこに、駒場さんから分けて頂いたマンゴーの苗とネットを持って岸も合流。
早速、ネットで鉢を作る。木の生長に合わせて鉢の大きさを調整できるのが、ネットを使ったBOX栽培の利点。
その鉢に、駒場さんがブレンドした企業秘密のマンゴー専用の土を入れ、苗を植えて「これで様子見ましょう」
そんなマンゴーの栽培に欠かせないビニールハウスを急ピッチで仕上げねば!
城島も助っ人として加わり、さらに、岸と同じKing & Princeのメンバー・永瀬簾も助っ人として参上!
「久しぶりにDASHにナガセが来たね!」
人生でDIYをやるのは初めてだというが、意外にも飲み込みが早い永瀬と共にビニールハウスづくりを再開。
骨組みを組み立て終えたら、温度管理の肝となるビニールを均等にピンと張っていく。
さらに、岸、学んできたのものが…「あと、米ぬかとかのぼかし肥料が必要。マンゴーに最適らしいです」
と、農業歴22年の城島が「米ぬかだけじゃなくて、土とかもみ殻を混ぜて発酵させる。水とか土で薄めるから、ぼかし」
肥料に必要な成分は、米ぬかなどの窒素、鶏糞などのリン酸、灰などのカリの三大栄養素。これを全て屋上産で。池の藻から窒素、藻についた生き物のフンからリン酸を調達することに。
さらに、カリはトウモロコシを燃やした灰から。そのトウモロコシを育てるために、畑づくり。
だいぶ畑作業に慣れ、畝づくりもうまくなった岸と、畝づくり初挑戦の永瀬。
「ムズっ!」と言いながらも、クワを器用に使って畝をちゃんと作っていく。
その手つきに、城島も思わず「上手!King & Prince、農業スキル高くない?」
できた畝にトウモロコシを植え、あとは育つのを待つばかり。
さらに岸、「もう一つ課題があって。ハウスの横に通気口を作って、温度管理をする」
マンゴーは、寒さだけでなく、暑すぎるのも苦手。高温に当たりすぎると葉が枯れて、木自体が死んでしまう。
そのため、ハウスの横の壁に当たる部分のビニールを上下に動かすことで徹底した温度管理を。
そのために必要なのが「ちょっと、もじろうかと」
稲わらをもじって縄を作り、その縄でハウスのビニールを固定し、S字フックで丸めたビニールをひっかける。
「後で高さを調節するみたいな」「とりあえずはここからスタートですな」
そして、マンゴーの実をならせるために、絶対に必要なのがミツバチ。
マンゴーは、一つの枝に1000個の小さな花が。受粉には人の手ではなく、生き物の力が必要不可欠。
新宿には5年がかりで住み着いてくれたミツバチがいる。
このミツバチが、マンゴーの受粉を助けてくれるはず。
しかし、今年は史上最速の梅雨明け…。屋上の気温は37℃にまで上昇し、ミツバチもぐったり…。
マンゴー栽培のカギとなるミツバチを救えるのか?