2025年の新春を迎え、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。昨年末、「読売中京FSホールディングス(FYCS)」設立がリリースされ、1月1日という異例のタイミングでの、日本テレビホールディングス株式会社・日本テレビ放送網株式会社の代表取締役社長執行役員就任となりました。放送網への入社は1985年。営業局CM部に配属され、以来、編成局と営業局を行き来し、制作局長・編成局長を経てコンテンツ戦略・経営戦略担当役員を務め、今年6月までは担務も継続となります。出向・転職経験は無く、専らテレビ畑を歩み続けてきたテレビ屋であります。
2024年、日本テレビは個人視聴率のシェア争いにおいて、ゴールデンタイムトップを同率で獲得するに留まりました。戦略ターゲットであるコア層のシェアは高いレベルで推移しており、ハイ・カロリーなセールスを実現させているものの、2位局の激しい追い上げもあります。PUT低下トレンドになかなか歯止めがかからないいま、個人・コア層のボリュームの獲得・維持は、喫緊の大きな課題となっています。放送事業外収入のシェアアップは重要な目標ではありますが、先ずはホールディングスの要となる放送事業において、強いタイムテーブルの構築と年間の戦い方の抜本的な見直しに着手します。制作現場の士気は極めて高く、舵取りさえ誤ることが無ければ、挽回は可能です。タイムテーブル強化は、コンテンツビジネス拡大のベースとなる取り組みでもあります。
一方、放送事業への高い依存度は相変わらず最大のリスクであり、現在検討中の「新・中期経営計画2025-2027」では、現・中期経営計画の“コンテンツ中心主義”をさらに拡大・発展させ、「グローバルマーケットで評価される」「強力なIP力を備えた」「人々の健康に貢献する」日本テレビグループへの成長を目指し、事業ポートフォリオの変革に取り組み、放送収入への依存を軽減させます。現在、関連部門、グループ各社より積極的な提案が寄せられています。また、テクノロジーによる事業変革を目指し、制作プロセスの効率化のためのAIコンシェルジュの活用や、広告枠セールスの新たな価値創出を狙う「アドリーチマックス」(日本テレビが取り組む、 新たな広告枠取引と、それを実現するプラットフォーム)の推進には積極的に取り組みます。
毎年年頭に、私の一存で“今年の漢字”を決め、担当部門の社員・スタッフと共有することを始めて11年目となりました。グループ全体の行動指針となる今年の漢字は『動』(動く)です。「新・中期経営計画」がまもなく示す新たな目標に向けて「動く」。日本テレビグループが、この厳しい時代に成長を遂げていくためには、目標を可視化し、直ちにその目標に向けて「始動」しなければなりません。立ち止まっていては時代の流れ・必然に飲み込まれるだけ。抗わなければならない時です。
新年を迎え、人生の先輩方から多くの激励のメッセージをいただきました。「テレビ局は信頼できる情報をより多くの国民に伝える義務と責任がある。そのために視聴率を獲る。正しい情報を集める努力を惜しむな。」別の方からは「SNSやネットメディアがあたかも正義を伝えているような風潮に憤りを感じる。テレビの可能性は無限。事業領域を広げ、新しい可能性を追求しよう。」…テレビを知る方々の言葉に勇気と活力が湧いてきました。
メディア環境・事業環境激変の時、日本テレビホールディングスの生き残りをかけた戦いが佳境を迎えようとしているいま、この任に就くことの運命を感じます。現在、日本テレビホールディングスは傘下60社。約1万人の役員、社員に支えられています。頼もしい仲間たちの力を借りながら、私なりのやり方でホールディングスをリードする所存でありますので、2025年の日本テレビホールディングス・放送網にご期待ください。どうぞ宜しくお願いいたします。
皆様のご多幸とますますのご発展を祈念し、年頭のご挨拶とさせていただきます。
日本テレビホールディングス株式会社
日本テレビ放送網株式会社
代表取締役社長執行役員 福田 博之