日々の習慣が知らないうちに悪影響を及ぼす? 健康診断で問題がなくても要注意な現代病について学ぶ
『カズレーザーと学ぶ。』今回のテーマは『知らないうちにあなたをむしばむ!令和の現代病SP』
「頭痛・だるさ・肌のくすみまで!今急上昇中の“○○”気象病」
中部大学、生命健康科学部の佐藤純教授は、気圧の変化で頭痛や関節痛、時には肌のくすみなど、さまざまな体の不調を引き起こす、気象病を悪化させるメカニズムとその予防法について解説。そもそも気象病の原因は、気圧の変化によって耳の奥の内耳が過剰な興奮状態となり、自律神経のバランスが乱れることにある。そんな気象病を悪化させるものとして、佐藤氏はスマホを挙げた。
佐藤氏によれば、スマホを見るためにうつむいたような姿勢でいることが多いと、正常ではアーチしている首の形がストレートネックに変形してしまう。首の骨の両側には内耳まで血を運ぶ血管が通っているが、首の動きが悪くなると血行が阻害され、内耳が敏感になる。そうすると気圧の変化に、より過敏に反応してしまうようになり、気象病の症状が悪化すると考えられているという。
スマホ首を改善するトレーニングとしては、1時間に1度、深呼吸をし、胸郭を開くことで首を正常な位置に戻す方法や、1日1回、壁から半歩離れた状態で、首の力だけで壁に寄りかかり10秒キープする方法が、首後ろの筋肉を使い、柔らかくすることができるため効果的と紹介。その他にも根本的な解決方法として、過敏になった内耳への影響を最小限にするため、気密性の高い部屋にいることや、市販されている特殊なフィルターを付けた耳栓を装着することなどを推奨した。
中部大学 生命健康科学部
教授 佐藤純
「O脚&老け顔に!寿命が縮む歩きスマホの恐怖!?」
下北沢病院の久道勝也理事長は、歩きスマホが引き起こす、歩行速度の低下、体への悪影響について解説。歩きスマホをしていると、頭が前に出て姿勢が猫背になり、体は何とかバランスを取ろうとする。すると脚は、ハの字に並んだ、ガニ股歩きの状態に。この時、ひざが自然に外に向いてしまうため、脚を体の中心に引き寄せる、太ももの内側の筋肉、大内転筋が衰え、股関節が開きやすくなり、O脚の原因となるという。
他にも歩行速度が遅かったり、歩く機会が少ないと、体だけでなく脳まで衰えてしまうことが最新研究で判明しているという。歩行という行為自体が脳や脊椎、さまざまな運動器との間で、莫大な情報交換が伴う運動であるため、歩行速度の遅い人は海馬が委縮しやすい傾向にあることを示す研究結果もあるという。
O脚の改善方法としては、腹筋に力を入れながら、腰を前に出すように意識して歩くことだといい、すると大内転筋が使われ、自然とO脚が改善されていくとした。
下北沢病院
理事長 久道勝也
「やせているほどかかりやすい!?若者をむしばむ“隠れ●●病”」
順天堂大学大学院 医学研究科の田村好史教授は、20〜30代の、太っていない人で増えてきているという、隠れ糖尿病について解説。糖尿病はこれまで太った中年以上の男性に多いとされてきたが、近年の研究によって、やせ型の女性であっても、糖尿病に移行する可能性のある“隠れ糖尿病”になっているリスクがあると紹介した。
通常の糖尿病とは異なり、常に高血糖値を示すことはないものの、食後に“血糖値スパイク”と言われる、急激かつ異常な血糖値の上昇が起こり、強い眠気に襲われるようになる。これが繰り返されると、血中で急激に増えたブドウ糖によって血管が傷つき、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞の原因になってしまうという。さらに血糖値の異常な上昇が食後にしか起こらないため、空腹時に受ける健康診断では、なかなか見つかりづらい。
やせている人が隠れ糖尿病になりやすい原因は筋肉にあり、糖をグリコーゲンとして貯蔵する筋肉が少ないと、血中に糖が残ってしまう。また細い筋肉繊維には脂肪が入りこむことがあり、その脂肪が糖の吸収を促進するホルモン、インスリンの働きを阻害してしまう。田村氏によると、あまり動かない、食べないといった、“低エネルギー回転型”の生活が危険だそうで、予防法としては少しでも動くことを心掛け、毎日8000歩程度歩くことや、食後の血糖値スパイクを緩和させるため、食後に3分ほど歩くことが効果的と紹介した。
順天堂大学大学院 医学研究科
教授 田村好史