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カズレーザーと学ぶ。

毎週火曜よる10時00分〜11時00分 放送

アレルギーの最新事情&人手不足 この春日本を悩ます2つの問題の解決策を学ぶ

2024.02.20 公開

今回のテーマは『新・3大食物アレルギー & 労働の2024年問題!』

『ここ数年で症例数が10倍 新・3大食物アレルギー』

食物アレルギー研究の最前線について解説したのは藤田医科大学 ばんたね病院 教授で日本アレルギー学会理事の矢上晶子氏。矢上氏は、『経皮感作』と呼ばれる、アレルギー物質が皮膚などから体内に侵入することで引き起こされるアレルギー反応について語り、この反応がきっかけでのちに食べ物として食品を摂取した際にアレルギーが引き起こされるという症例を紹介した。たとえば同じ化粧品を毎日使い続けることで、特定の色素が体内に侵入。その色素に反応した免疫が抗体を作ってしまうため、同じ色素を含む食品を食べた際にアレルギー症状が起きてしまうことがあるという。矢上氏は化粧品などの使い方や頻度、肌の状態のケアに注意を促した。

また矢上氏は、ペットと食物アレルギーの関係性についても言及。飼っているペットの種類によって発症しやすくなる食物アレルギーがあるとした。代表的な例は猫と豚肉などで、猫の毛のタンパク質と豚肉のタンパク質の形が似ていることで、『交差反応』というアレルギー反応が引き起こされるという。ただし猫を飼っているからといって豚肉を食べてはいけないということではなく、加熱をすることでアレルギー反応は起きなくなるそうだ。食物アレルギーは花粉症とも密接な関係にあることも紹介され、スギやヒノキ花粉症の患者はモモの摂取に注意が必要だとされた。

藤田医科大学 ばんたね病院 教授
日本アレルギー学会 理事
矢上晶子

『どうしたら給料は上がる!?2024年問題に揺れる日本』

今年4月から施行される法改正によって引き起こされる『2024年問題』について懸念したのは、内閣府規制改革推進会議前議長で名古屋商科大学大学院教授の大槻奈那氏。『2024年問題』とは、運輸・運送業など一部の職種で労働時間の上限が引き下げられることで発生する物流コストの上昇や人手不足の深刻化を指し、すでに一部の地域では日曜日のバス運行が休止されるなどの事態に陥っている。物流についても、このままではトラックの輸送能力が今年だけで4億トン減少するという試算も出ており、日常生活に影響が出そうだ。大槻氏はほかにも介護士や建設業者など社会に欠かせない職業『エッセンシャルワーカー』の賃金の低さを指摘し、必要性が高い職業でも、介護士など1人でつきっきりの世話をしなければならない仕事は、賃金が上がりにくいと語った。
さらに大槻氏は低賃金を招くもう1つの構造的問題として、多重請負構造にも言及。下請け業者が仕事をさらに下請けに出すことで、インセンティブによる賃金の中抜きが深刻化しているという。アメリカではこうした多重請負構造を廃止する法改正が行われており、実際に賃金が増加したそうだ。

内閣府 規制改革推進会議 前議長
名古屋商科大学大学院 教授
大槻奈那

『カラダを使う仕事が安泰!?最新版AIに奪われる仕事 勝ち残る仕事』

第一生命経済研究所主席研究員で九州大学グローバルイノベーションセンター 客員教授の柏村祐氏は、加速するAI社会で変化する仕事の内容について講義を行った。柏村氏は、『生成AI』の誕生によってそれまで膨大なデータから情報を引き出すだけだったAIが、アイデアの提案もできるようになったと言及。その結果、多くの仕事が今後AIに取って代わられる可能性が高まったという。実際に、プレゼン資料の作成や映画のエキストラ出演などは、生成AIが代替するようになったため、アメリカなどでコピーライターやエキストラの俳優が職を失う『AI失業』が現実になっている。また医療や教育、司法の現場などこれまでAIに奪われない仕事とされていた職業もすでにAIは進出済みで、柏村氏は今後の仕事の価値を人と人とが向き合うことだと語り、「AIに任せられることは任せて、付加価値の高い仕事は自分にとって何かを考えて行動する」ことの重要性を口にした。特に労働力不足の日本ではAIが必須スキルになるそうで、いかにAIを使い倒せるかが今後の社会や労働者に求められるポイントのようだ。

第一生命経済研究所 主席研究員
九州大学 グローバルイノベーションセンター 客員教授
柏村祐

『日本人のやる気は世界最下位!どうしたらやる気が取り戻せる!?』

慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科特任教授 岩本隆氏は、日本人の仕事に対するやる気の低さについて解説。アメリカの調査会社の報告によれば、世界145か国で行われた仕事に熱意ある社員の割合に関する調査で、日本の仕事に対する熱意は約5%で世界最下位だったという。岩本氏は、日本人のやる気の低さはバブル時代から続いているものだと語り、その原因に日本企業の構造的な問題を挙げた。

そもそも日本企業は『メンバーシップ型』という、まず人を集めてその中から仕事を割り振るシステムを導入しており、労働者が行きたい部署や仕事に配属されないという事例が起こりやすくなっている。またベテランが職務経験を重ねても、やりたいことから徐々に外されやる気をなくしてしまうこともあり、それを見た若手もやる気を失ってしまうという負の連鎖が、日本の働き手の熱意が低い要因の1つだそうだ。一方、90年代以降やる気が上がっている欧米では、『従業員エンゲージメント』と呼ばれる企業と従業員の対等な関係を重視する概念が導入されており、企業は従業員がいきいきと働ける体制を整え、従業員も企業の業績を上げるために能動的に働く関係性が構築されているという。

さらに岩本氏は仕事の意欲を高める方法として、若い時からのキャリア教育を挙げ、幼少期からの職業訓練などを通して人生の選択肢を増やすことも、意欲向上に重要だとした。

慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科
特任教授 岩本隆

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