話題本の著者が徹底解説 現代社会を取り巻く環境と生き抜く術を学ぶ
『カズレーザーと学ぶ。』今回のテーマは『2024 超話題の本から読み解く 現代社会の生き抜き方』
『年間の誹謗中傷コメント1億件超え!悪口異常社会を生き抜く方法』
南山大学人文学部人類文化学科准教授の和泉悠は自身の著書『悪口ってなんだろう』をもとに、悪口の本質について講義を行った。「悪口は人のランクを下げること」と定義する和泉氏は、人間が上下関係など自分と周囲の序列に敏感であるとし、悪口を発することでその人のランクを下げることになると語った。特にSNSでは、こうした悪質なコメントが不特定多数に流布され、伝染するように他者も悪質なコメントを発信してしまう危険性があるため注意が必要だという。最近では、AIが自動的に有害なコメントを検出し、投稿の再考を促すシステムが実装されるなど対策も進んでおり、こうしたシステムによって34%ほどの人が投稿を改めたケースもあるというが、和泉氏は人が集まると絶対にピラミッドができてしまうため、人間社会がなくならない限り、悪口は続いていくと推測した。
『悪口ってなんだろう』著者・南山大学人文学部人類文化学科 准教授 和泉悠
『東大で一番読まれた大ヒット本!最新!生成AIが奪う仕事は???』
『生成AIで世界はこう変わる』(SBクリエイティブ)の著者でAI研究者の今井翔太は、生成AIに関する最新技術について解説。最近では動画生成AIが実用化されたり、人間が言葉で指示するだけで大体の作業を行えるエージェント機能が強化されたAIが開発されたりと、その発展はめざましい。その結果、金融アナリストやエンジニアなど賃金の高い仕事はAIに取って変わられる可能性もあるという。現状では肉体労働系の仕事は、AIの代替が難しいとされているが、こちらも5年後にはデータを学習させることでAIに変わってしまうのではないかとも言われているそうだ。今井氏は、これから残りやすい仕事として、弁護士や税理士といった責任が伴い、人間が最終的な承認をする士業や、接客業など人間の心理を扱う仕事を挙げた。
『生成AIで世界はこう変わる』著者・AI研究者 今井翔太
『全世界で大ヒット!累計300万部超え!スマホ依存で日本人の脳が最も危険!?』
シリーズ累計300万部を記録した『スマホ脳』の著者、アンデシュ・ハンセンは人間がスマホ中毒になってしまう理由について、スウェーデンから講義を行った。ハンセン氏は人間がスマホを手放せない理由を、「脳は“かもしれない”が大好きだから」と語り、人類の歴史のなかで食料があるかもしれないといった希望的観測によって生き延びる確率を高めてきた時間が長いため、現代でもいいコンテンツが出てくるかもしれないと、スマホに期待するとした。特に日本人はこうしたスマホへの依存に注意が必要なのだそうで、SNSなどアカウントを作るものの自らは投稿をせず、他者の様子をチェックするだけのユーザーが多い日本人は、積極的に発信を行う人に比べ、他人との比較から自己肯定感を下げてしまいがちなのだという。ハンセン氏は、何か問題を抱えた時にはつらさを言葉にして誰かに伝えることが大切だとし、つらさを口にすることは弱さではなく強さであるとアドバイスした。
『スマホ脳』著者 アンデシュ・ハンセン
『スマホ脳』の翻訳を担当した久山葉子