食べてキレイになる!冬の鍋の最新科学
『カズレーザーと学ぶ。』今回は『食べてキレイになる!冬の鍋の最新科学』
今回は国際予防医学協会理事長の白澤卓二氏、広島大学医学部の堤理恵氏が登壇。冬にこそ試したい、高い健康効果の期待できる鍋レシピを、ランキング形式で紹介した。
第6位:トマト鍋
トマトに含まれるリコピンには脂肪燃焼効果があり、更に中性脂肪の抑制効果がある『13-oxo-ODA』という成分も多く含まれる。堤氏の紹介した4人分のレシピでは、まずごま油(大さじ1)で、刻んだニンニク(1片)、豚もも肉(200g)、キャベツ(1玉)、タマネギ(1個)を炒める。ニンニクとごま油は、トマトのリコピンの吸収効果を高めてくれるのだそう。そこに水(400cc)、コンソメ(2個)、トマト缶(2缶)を投入。5分程煮立たせたら、鶏つみれを12個ほど、代謝を上げる効果のあるセロリ1本分、内臓脂肪を減らす効果のあるエノキやシメジ(それぞれ1袋分)も投入する。
さらに脂肪燃焼やコレステロールを減らす効果のあるアボカド、短鎖脂肪酸(脂肪燃焼効果)、中鎖脂肪酸(脂肪分解効果)、カゼイン(コレステロール値を下げる)といった成分を摂取することができるチーズをお好みで、鍋全体に散らす。
そしてトマト鍋の効果をブーストしてくれる食材は、からし菜。『ケンフェロール』という成分が、高い脂肪燃焼作用があることが確認されたという。体内の脂肪を蓄える作用のある白色脂肪細胞を、脂肪細胞でありながら脂肪を減らしてくれる働きのあるベージュ脂肪細胞に変える働きがあるのだそう。トマト鍋のアクセントにもなり、辛さが苦手な人でも、トマト鍋に加えることでまろやかに食べることができる。
第5位:かき鍋
かきには髪の毛の主成分、ケラチンの合成を手助けする亜鉛が多分に含まれているとのこと。
まず鍋に入れた水(1リットル)に鶏がらスープのもと(大さじ2)で味付けをしたら、ニンジン(2/3本)、白菜(1/2個)、長ネギ(1本)、シイタケ(4本)を入れ煮込む。味がしみ込んだら鉄分を多く含むアサリ(砂抜きしたもの)主役の牡蠣も入れ、火が通るまで煮込む。最後にニラ(1束)・セリ(1束)を加え、20秒ほどさっと火を通せば完成。セリに含まれる『アピゲニン』には育毛促進、脱毛防止の効果があるのだとか。
コショウを少しかけて食べると、コショウに含まれるピペリンが、頭皮の血行を促進するという。またかき鍋におすすめなブースト食材は、しょうが。『セドロール』という成分が美髪効果を増進し、脱毛防止にも役立ってくれるという。堤氏から、鍋には最後にすりおろして加えることがおすすめされた。
第4位:豆乳みそ鍋
みそには、腸内環境を整えてくれる乳酸菌が多く含まれ、豆乳に含まれるオリゴ糖が乳酸菌のエサとなり、相乗効果で便秘改善に最適とのこと。
まず、鍋に市販の豆乳鍋のもと1袋分をそそぐ。腸内を整える食物繊維やポリフェノールを多く含むゴボウ(1/2本)、ニンジン(1/2本)、サトイモ(4個)を続けて入れ、中火で5分加熱する。根菜類に火が通ったら、白菜(1/4個)、シメジ(1袋)、鶏もも肉(200g)、しらたき(1袋)、厚揚げ(100g)を順に入れて煮る。そしてみそは、乳酸菌の死滅を避けるため、30秒ほど鍋を冷ましてからとく。仕上げに食物繊維が豊富な水菜(1束)を乗せれば完成。
この鍋のブースト食材は、アオサノリ。実は2021年の研究で、ヒトエグサ(一般的にスーパーで売られているアオサノリ)に含まれる『ラムナン硫酸』という成分に、さまざまな健康効果がある可能性が示されたといい、みそと同時に食べることで、乳酸菌の効果を増大させることも期待できるという。
広島大学 医学部 堤理恵
第3位:キムチ鍋
安眠効果が期待できる鍋として、キムチ鍋が挙げられた。キムチの中に入っているカプサイシンによって、体温上昇。体内に溜まっている熱を外に放熱することで、質の高い睡眠につながるという。まず鍋に入れた水に市販のキムチ鍋のもと1袋を加え、沸騰させる。そこにエノキ(1袋分)、長ネギ(2本)、豚の肩ロース(100g)、レタス(1/2玉)を入れていく。これら食材を投入して煮立ったら火を弱め、ニラ1束と、主役のキムチ(50g)を投入。ひと煮立ちさせれば完成。
キムチ鍋の健康効果をブーストさせる食材は、エビ。グリシンというアミノ酸が含まれており、深い眠りである“ノンレム睡眠”が増え、質の良い睡眠がとれることが期待できるとされた。
第2位:カレー鍋
免疫力をアップさせる鍋として紹介されたカレー鍋。カレールーに使われるスパイスに含まれるクルクミンには、腫れや発熱、痛みを抑える効果があるという。
まずは鍋で、抗酸化作用が非常に強い『セレン』が含まれるかつおダシパック(1つ)を3分ほど煮立たせたら、ニンジン(1本)、タマネギ(1個)、皮つきのレンコン(50g)を投入し、中火で3分加熱していく。堤氏によると、今年9月発表の最新研究で、レンコンには免疫細胞を強化する可能性が示されたといい、皮には実の約2倍の栄養が含まれとのこと。
続けて白菜(1/4個)と長ネギ(1本)、さらに豆腐(1丁)、エノキやマイタケ、シイタケなどのキノコを加え、メインとして牛肉の赤身(200g)を投入し煮る。ウズラの卵も入れたら、カレールー(60g)を投入。中火で5分程煮込んだら完成だ。
その効果をブーストできる食材として紹介されたのは、ブロッコリースプラウト。幾度か本番組でも取り上げられた食材で、ダイエット、日焼けによるシミ・シワ、ウイルス性の風邪、老化、がんの抑制など、さまざまな効能や予防効果が期待される近年注目の成分、『超硫黄分子』が最も多く含まれている。超硫黄分子は、呼吸の際に吐き出され、ウイルスに付着。ウイルスが超硫黄分子に変化して無毒化されるという。セレンを含むかつおダシと同時に摂取することで、免疫力アップが期待できるそう。
第1位:石狩鍋
美肌効果が期待できると紹介されたのは、石狩鍋。メイン食材である鮭(さけ)の赤身部分には、シミ・シワ予防のコラーゲンを生成する作用ある『アスタキサンチン』が、キノコには『エルゴチオネイン』という、肌の保水に役立つ成分が含まれるという。
まず鍋を火にかける前に、ダシを取るための昆布(20g)や、薄切りにしたジャガイモ(皮つき4個分、芽は取る)やニンジン(1本)、タマネギ(2/3個)といった根菜を先に投入。昆布は煮すぎると、粘り気や臭みが出るため、沸騰直前に取り出す。沸騰し煮込んでいくとアクが出てくるものの、ジャガイモのアクは中性脂肪を抑制する効果があるため、取らないようにするのが良いという。
根菜類に火が通ってきたら、冷凍したキノコ、鍋の主役である鮭を投入。鮭は切り身だけでなく、骨まで食べられる缶詰のものも使うことで、カルシウムを約10倍多く摂取できるという。
続けて別でアク抜きをしたほうれん草を3束(ほうれん草のアクにはシュウ酸が多く含まれるため、アク抜き推奨)、長ネギ(1本)を入れる。そして、みそは、乳酸菌を殺さないよう、火を弱めてからといていく。肌の新陳代謝を高める春菊(1束)、栄養の吸収率を上げる効果が期待されるバターを入れれば、最強の美肌効果が得られる石狩鍋の完成だ。
美肌効果をさらにブーストさせる食材としては、いりぬか(米ぬか)が紹介された。鮭の赤身に含まれるアスタキサンチンと一緒に摂取することで、肌の老化の原因、活性酸素の働きを約90%除去できるといった研究結果が報告されているという。鍋には、大さじ1杯程を隠し味として入れることがおすすめされた。
国際予防医学協会 理事長 白澤卓二