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カズレーザーと学ぶ。

毎週火曜よる10時00分〜11時00分 放送

『カズレーザーと学ぶ。』今回のテーマは『集団心理』集団心理の正体!人の群れの中で賢く生きる方法とは?

2023.01.24 公開

『集団心理』集団心理の正体!
人の群れの中で賢く生きる方法とは?

「集まると人はバカになる!?扁桃体ハイジャックの謎」
“神経伝達物質アミリン”は、社会的な繋がりにも関係するとも言われている。マウス実験にて、1匹のマウスが『集団から隔離されるとアミリンが減少し、ゼロ』に。再び集団の中に戻すと『数値が増加』という研究結果がある。このアミリンの枯渇は、人が群れたくなる原因の1つに考えられているのではと、東北大学加齢医学研究所准教授・細田千尋は言う。

一度孤独を経験すると、再び集団に戻っても元に戻らず、集団に対し媚びるように脳が変化すると言う。

集団でいたいという欲求を持ち、そしてなぜ人は集まるとバカになってしまうのか?
それは、人間は集まるだけで、理性をつかさどる『内側前頭前野(ないそくぜんとうぜんや)』、他人の痛みに共感する『島皮質(とうひしつ)』の活動が低下し、集団の流れに同調。人を傷つける行動に抵抗が薄くなるからだという。集団の中で流されるまま行動することは脳にとって快感となり、エスカレートすると恐ろしい現象を起こす可能性がある。

集団に流され、理性をつかさどる脳機能が低下した時に、さらに強い不安や恐怖などが加わると、生物の生存本能につながる最も原始的な部分“扁桃体”が活性化し、『脳をハイジャック』するという。理性のブレーキが効かなくなってしまった集団が、本能に身を任せ、暴走する事件が起こる。
こうした事態を回避するには、自分のことを客観的に見る“メタ認知”が良い。寝る前など、1分で良いので自分にあったことを思い出して客観視することが重要と語った。

東北大学 加齢医学研究所・脳科学研究部門大学院情報科学研究科の准教授・細田千尋

 

「人間関係を円滑に!他人と心を通わせる“同期脳”の作り方」
異なる人同士の脳波がシンクロしている状態を『脳の同期現象』と呼ぶ。脳が同期すると、生徒と先生間では理解力が深まったり、サッカー選手の間ではスーパープレーが生まれるなど良い影響を及ぼすと、筑波大学システム情報系知能機能工学域の准教授・川崎真弘は言う。

脳の同期を引き出す動作としてはアイコンタクトが有効。“今から行くよ”と目を合わせて行動をとることで脳波のリズムをそろえることができる。また、アイコンタクト以外に、頷くことや対話のリズムを合わせるだけでも脳波が同期して、コミュニケーションがとりやすくなる。

脳の同期を引き起こすには『同じ時間』『同じ空間』『同じ目的』を共有するという『3つの条件』をそろえることが重要になる。コロナ禍で増えたリモートでは、空間を共有できず、ラグがあって時間も共有できない。三次元のリアルな相手に比べてリモートの映像では視覚野の活動が変わって、同期が起きにくくなる。心を通わせながらコミュニケーションをするには対面で会った方がいいと言う。

筑波大学 システム情報系知能機能工学域の准教授・川崎真弘

 

「最新のゴリラ研究から見た集団コミュニケーション進化論」
ゴリラは10頭〜15頭ぐらいの家族的な集団で暮らし、チンパンジーは共同体的な集団で暮らす。家族的な手段は見返りを求めず奉仕し合う組織、共同体は何かしてあげればお返しがくる互酬的な組織。人間は家族と、複数の家族を含む共同体という重層構造を持つ唯一の社会だと、元京都大学総長、総合地球環境学研究所 所長・山極壽一は解説した。

人間の脳が大きくなっているのは集団の規模が大きくなったから。仲間同士の関係を記憶して頭に収める方が生き延びる確率が高くなり、仲間の数が増えることで脳は記憶量を増した。

現代人の脳の大きさに対応する集団の数の上限は150人と言われている。40万年前、150人という集団規模に達して以来、脳の成長はストップ。脳の大きさと集団の大きさの相関関係が人類の進化のどこかで切れたことになる。

脳が大きくなる必要がなくなったのは言葉をしゃべるようになったから。言葉に記憶を付与すれば脳に記憶を溜めておく必要がなくなった。言葉は、“記憶を脳の中に溜めておかなくてもいい装置”。気持ちを伝え合うために発達したものではなく、情報を伝えるために発達したもの。コミュニティ同士が言葉によって、情報によってつながることができても、本当に信頼できる関係は作れていない。身体を使わないと共鳴するような集団は作れない。例えば、言葉を使わないゴリラは身体を1つにして意思を通じ合わせようとしている。人間で言うと赤ちゃんと母親が同じようなことをしている。

人間は意思疎通のために他の動物にはない、目の中の“白目”を進化させた。白目があることで目の動きが読みやすくなる。相手と気持ちを通じ合わせる必要があるときは、目の動きがわかる1メートルくらいの距離で、相手の目と表情を読みながら気持ちを交換し合う必要がある。そして嗅覚、味覚、触覚も信頼関係を作るのに必要な感覚。視覚、聴覚はだますことができるが、嗅いだこと、味わったこと、触ったことは共有できない。共有しにくいからこそ、共有したいという気持ちが生まれると語った。

元京都大学総長
総合地球環境学研究所 所長・山極壽一

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