誰も何も言えなくなる… ハラスメント時代をどう生き抜く?
『カズレーザーと学ぶ。』今回のテーマは『大ハラスメント時代の生き抜き方』
『騒音・悪臭・喫煙 実録!ヤバい隣人裁判』
コロナ禍の行動制限の中、近隣住民に注意を向ける風潮が強くなったこともあり、騒音やたばこの煙など、隣人ハラスメントとも呼ばれる問題が増加したという。文京湯島法律事務所の代表弁護士、小野章子氏は実際の裁判例を紹介。隣人トラブルに関係した裁判では、「受忍限度」が重要になるという。受忍限度とは、社会生活を営む上で我慢すべき限度のことを指す。騒音トラブルでは、部屋に聞こえてくる音がたとえ騒音基準値を超えていなかったとしても、生活音とは明らかに異質な音であったり、深夜に発生させていたり、受忍限度を超えていると裁判で判断されれば、訴えが認められることがあるとのこと。
文京湯島法律事務所 代表弁護士
小野章子
『モンスター部下の逆襲! 恐怖のハラスメント・ハラスメント』
小野氏によれば、ハラ・ハラとは「上司からの注意指示に対して部下がそれはハラスメントですと過剰に主張する行為」を指すといい、ハラスメント意識が社会に浸透するとともに、近年問題になってきているという。中央大学の法学部長、遠藤研一郎氏によれば、こうしたハラ・ハラが生まれる背景には、ハラスメントに対する権利意識の高まりがあることが予想できるという。
身を守るためには、日頃から自身の行動を記録に残したり、部下を指導する際は密室を避け、できれば複数人で行うことが、“冤(えん)罪パワハラ”の防衛策となるとした。
また遠藤氏は、安易に謝罪しないことを提案。日本の裁判は「自由心証主義」であり、最終的な事実認定は裁判官の専門性・判断力を信頼し、その自由な判断に委ねられることから、安易な謝罪は“自身のハラスメントを認めた”という印象をつくり、かえって自身の首を絞める結果になりかねない場合もあると注意喚起した。
中央大学 法学部長
遠藤研一郎
『ネットの書き込みどこから違法?SNSリテラシーの最前線』
ネット中傷の発信者に対する情報開示請求は、手続きの簡略化により以前の約3倍に増加。池袋暴走事故の遺族への中傷で、女子中学生が書類送検されるなど、誹謗(ひぼう)中傷のニュースが後をたたない現代社会。レビューサイトなどでいきすぎた書き込みをすると、そのつもりがなくても訴えられてしまう可能性すらあるという。
SNSリテラシーにおいて重要な名誉棄損について遠藤氏は、「わかりやすくいうと、対象となるものの社会的な評価を下げることを、多数の人に伝えること」と解説。ただしそこには「真実性」、「公共性・公益目的」という重要な2つのポイントがあるといい、両者が認められれば、仮に投稿が対象の社会的評価を下げるものであっても名誉棄損とは認められない場合もあるとした。