ママのお仕事

ゆうこ(編成局)

大地震発生直後、日本テレビはすぐに緊急報道特番を編成。
私は編成局という番組編成を決定する部署に所属しているため、
ドタバタの中、あっという間に夜を迎えました。
19時頃、上司に「帰っていい」と言われましたが、自宅までの電車は動いておらず、
歩くと4時間位かかるとの計算だったので、早々に諦め
保育園のママ友達に娘をあずかってもらえないかとメール。
運良くメールが通じ、娘はお友達の家へ。
夫が会社から3時間近く歩いて、友人宅から娘をピックアップしたのは夜中の0時過ぎ。
私は徹夜勤務後、翌日昼に帰宅しました。


娘は地震発生の際は保育園で昼寝をしていたため、あまり地震への恐怖が
無かったらしく、家で余震を体験してもそれ程怖がる様子もなかったので一安心。
その後も忙しい日々は2週間ほど続き、娘の面倒はベビーシッターか夫に任せきりでした。
娘は普段からとても聞き分けの良い子で、残業が続いていても、朝、家を出る私を
「ママ、行ってらっしゃい!また明日ね!」と
ニコニコしながら見送ってくれたのです。


ところが3月末のある休日、久しぶりに一緒に絵本を読んだ後、
娘は本を眺めながら呟きました。


「地震の日、他のママたちはみんな早く迎えにきたのに、
ママは来なかったね。」


・・・絶句。
「ごめんね」というのが精一杯でした。


私は何のために働いているのだろう?
この震災でそう感じた働くお母さんはたくさんいらっしゃると思います。
この非常時にすら娘を他人にあずけて、どうして私は働いているんだろう?


そんな私の状況を察して下さった他局のある先輩ママが、
こんな言葉をかけて下さいました。


「娘さんも、きっと、頑張るお母さんを誇りに思う時が来ますよ!
私の経験から間違いないです」


困っている人たちのために、必要な情報をお届けする。
悲しんでいる人たちに笑顔が戻るように、楽しい番組をお届けする。
それはとても大切な仕事です。
テレビ局で働く母を持つ娘は、いつかわかってくれるのでしょうか。


いつかわかってもらえるように、ママは今日も頑張ります。