放送内容

第1601回
2021.11.21
かがくの里 の科学[収穫祭2] 場所・建物 地上の動物 水中の動物

 前回からお送りしている、秋の大収穫祭!伝統のはざかけや、大成功の自然薯など、里の恵みに大盛り上がりでしたが、今週ももちろん盛りだくさん!
 来春発売に向け進行中の図鑑プロジェクトで、かがくの里全体を使った昆虫大博覧会を実施。さらに、超レアな虫も続々登場!
 かがくの里7回目の大収穫祭スペシャル!

かがくの里昆虫大博覧会

 かつて日本人が自然から恵みを貰いながら整備を行い暮らしてきた里山。そこには田畑や池、周りには雑木林があり、様々な生き物たちのすみかとなっていました。しかし近年、里山が放置され荒れてしまい、生き物にも住みにくい場所に。 今から7年前。かがくの里も、放置された荒れ地でした。そこから、多くの科学者たちと地元の方が力を合わせ、田畑を作り、裏山の湧水をひいて溜池を作り、さらに、伸び放題だった木を間伐。そうして緑豊かな地へと生まれ変わると、生き物の多様性はみるみるうちに増していき、最近では、絶滅危惧種、水生昆虫のタガメや、国蝶オオムラサキのつがいを確認。
 さらに、様々な野鳥がかがくの里で子育て。食物連鎖の頂点、フクロウもこの里に定着してくれました。そんな里の生き物たちを撮影し、命の繋がりを一冊の図鑑にまとめようと今年始動したのが「図鑑プロジェクト」。そしてついに来春、学研からかがくの里の図鑑発売が決定!

 そんな図鑑プロジェクトを支えているのが、昆虫の専門家斉藤先生。そして東京バグボーイズのお二人。

 ということで今回は、これまで撮影してきた貴重な昆虫写真や標本を使い「図鑑プロジェクト、かがくの里昆虫大博覧会!」を開催。その間阿部さんには、池の中で水生昆虫を探してもらいます!
 一同はまず畑エリアへ。今年の夏、東京バグボーイズの二人は裏山にライトトラップを仕掛けたところ、ノコギリクワガタのメスの他、ミヤマクワガタのオスの撮影にも成功!ミヤマは深い山と書き、普段は山深いところにいるクワガタ。しかし、後日、小屋のすぐ近くで撮影していたら、ミヤマクワガタがつがいでいるところを発見。

 実はこれ、交尾の後!メイトガードといい、交尾をした後でも離れずに、メスを保護したりキープしておくといいます。
 次は、オニグルミに住んでいるオニグルミノキモンカミキリ。枯れた木を分解する、日本で一番黄色いカミキリです。そして、ヘビトンボ。首がグネグネと動くこと、また肉食で大顎で噛み付く習性などからヘビトンボと呼ばれていますが、アミメカゲロウ目に属する昆虫。幼虫は主に沢に生息しているため、周りに水辺と草地があるかがくの里にも出没したようです。

昆虫の専門家も驚いた珍しいカマキリ

 昆虫大博覧会!続いては畑の奥のエリアへ。ここにスゴイ昆虫がいたんです!それが、緑色のコカマキリ。多くのカマキリは、丈の高い草や低木の葉の上で暮らしているため、体はほとんどが緑色で、天敵やエサとなる虫から身を隠すことできます。一方、コカマキリは、枯葉の多い地表近くなどで生息しているため、周囲に溶け込む茶色の個体がほとんど。緑色は非常に珍しいんです。なぜ緑色の個体が出現するのかはまだ研究中で理由はわかりませんが、今回希少な緑色のコカマキリに出会えたのは斉藤先生も驚く幸運。

 カマキリは、畑の奥の草むらにいたのですが、昆虫は下草を全て取り除いてしまうと餌不足となり、稲や野菜などを食べてしまうこともあるため、里山にはある程度草むらを残すのが、昆虫にも私たちにも良いことなんです。その後、赤とんぼの写真を見て、阿部さんがいる池のエリアへ移動です!
 なんと阿部さん、ヒメゲンゴロウ発見していました。他にも、水の綺麗な所に生息するミズカマキリや、かがくの里で初めて見つけた絶滅危惧種のケシゲンゴロウなど。
 さらに、これまで池で見つけた水生昆虫の写真も展示!タガメ、ミズスマシなど大迫力の写真は圧巻!かがくの里の池や畑では、貴重な昆虫たちの写真や映像の撮影に成功していました!

里の裏山で見つけた幻のガ

 裏山では超貴重な発見が!展示されていたのは、オオミズアオ、ナマリキリガの写真。

 オオミズアオは、今年7月にしかけたライトトラップに!成虫はわずか1、2週間の命。美しい貴重な瞬間を捉えました。
 そしてもう1枚の写真にうつるナマリキリガに、驚きの展開が!春の昆虫最終で見つけたナマリキリガ。幻の蛾といわれるほど貴重で、茨城県ではこれまで記録がなく、かがくの里で見つけたナマリキリガが、茨城県では初確認だったことがわかったんです!

 作成した論文が昆虫の専門誌などに掲載されると、正式に初記録となるそうです!
 続いては、ニホンミツバチエリアへ。ここでも平井さんが貴重な映像を捉えていました。ここからはハチの専門家小野先生もとともに映像をチェック!
 映っていたのはキイロスズメバチ。キイロスズメバチがニホンミツバチに近づきます。するとニホンミツバチが集団でシンクロさせながら尾をふり対抗しているのがわかります。

 これは、集団で振身行動をすることで、キイロスズメバチに落ちついて狩りをさせないようにするため。
 と、超貴重な映像に盛り上がった所で、今回はここまで!次回もかがくの里収穫祭スペシャルです!