放送内容

第1633回
2022.07.10
奄美・沖縄SP
[奄美の野生生物編]
場所・建物 地上の動物 水中の動物

 もうすぐ夏休み!ということで、奄美・沖縄スペシャル!3人の実験プレゼンターが、大自然をテーマに、生き物たちの貴重な姿をハントします!
 本日は前半戦。舞台となるのは、去年7月に、徳之島、沖縄島北部及び西表島とともに、世界自然遺産に登録された奄美大島。奄美ブルーと呼ばれる美しい海、島の80%以上を占める深い森に、マングローブの原生林。
 中でも注目は、奄美大島の希少な生物たち。まるで竜宮城!魚がたくさん集まる秘密とは?裕太さんは、ナイトサファリで、森に住む希少な生物たちの姿をハント!珍しい動物を次々発見!?
 今回の目がテン!は、奄美・沖縄スペシャル前編。「奄美大島・野生生物」の科学です!

奄美大島の多種多様な意味の生き物たち

 やってきたのは、奄美空港から南へ車でおよそ2時間の瀬戸内町。そこに広がる海は、奄美大島の中でも特にたくさんの海洋生物が見られるという大島海峡。案内してくれるのは、海洋生物の専門家、藤井琢磨先生。
 大島海峡は、島に挟まれ湾のようになっていますが、両端に外海への出口があり、海水が出入することで、より複雑な潮流が生まれる独特な海峡。一体どんな生き物がいるのか?

 いざ出港!出航しておよそ15分。到着したのは、嘉鉄湾。

 鮮やかな海は「嘉鉄ブルー」と呼ばれ、サンゴの破片でできた白い砂が太陽光に反射し、独特な色を生み出しています。
 早速準備して、いざダイブ!白い砂が広がる海底。その先に見えてきた、黒い岩のようなかたまりには、色とりどりの魚がいっぱい!まさに竜宮城です!

 すると、イソギンチャクに隠れて暮らすクマノミを発見!映画「ファインディング・ニモ」で有名になったのは、体に線が3本のカクレクマノミ。さらに、薄いオレンジで線が1本のハナビラクマノミ。黒が多く、線が1本のハマクマノミ。そして、背中に白い線が入ったセジロクマノミ。日本で見られる6種類のクマノミのうち、なんと5種類も見られました!

 また、カラフルで大きなユカタハタ。そのユカタハタなどの体表面についた寄生虫を食べるという掃除屋、オトヒメエビ。
 でも、なぜこんなに多くの生き物が同じ場所に暮らしているのでしょうか?
 実はここ、何種類ものサンゴが積み重なって成長し、何千年もの歳月をかけて、大きな群集になった場所。

 絶好の隠れ家となるサンゴの群集に、小魚たちが集まり、大きい肉食の魚もやってきます。悠然と泳いでいるのは、肉食のクロハタ。こういった潮通しのいい場所には、クロハタ、ユカタハタなど大きなハタがまるで主のように、住み着くようになります。ときどき、この魚を食べに来る他の肉食魚から自分のエサを確保するために、このサンゴの根の周りを見回りするんです。その結果、多くの小魚が外敵から守られて暮らすことができます。

 奄美の海には、こうした“ハタが住み着くサンゴの群集”がたくさんあるんです。
 ちなみに、この辺りの水深の深い場所には数々の新種の固有種が。なんと生きたサンゴを宿にするスツボサンゴツノヤドカリ。藤井先生のお気に入りです。さらに水深30メートルほどの海底に表れた幾何学模様。これを作ったのは、体長10センチほどのアマミホシゾラフグ。オスが一匹で1週間ほどかけて作っていたのは産卵場所。ユニークな生態が世界から注目されました。
 奄美大島でいろんな生き物が多く見られる理由は、生き物が多く流れてくる黒潮が近くにあること、陸に囲まれた海でいろいろな環境があること、栄養が流れ込む川など海とつながる陸地の自然が豊かなことなど、生き物がいっぱいになる理由が同時にそろっているからなんです。

イルカと一緒に泳ぎたい!夢は果たせるのか?

 2018年、春。佐藤アナは、イルカの遭遇率100%という伊豆諸島の御蔵島に「イルカと一緒に泳ぐ!」という夢を叶えるため上陸しました!が、海は大荒れ。1度も海に入ることすらできずその夢を果たせませんでした。というわけで、イルカが見られるという奄美大島で、4年後しのリベンジへ! ただし、会えるかどうかは運次第。
 奄美大島には、数種類のイルカが観測されており、中でもミナミハンドウイルカは、1年中、この大島海峡に定住していることが、最近わかりました。

 船に近づき、遊んでくれることもありますが、人間に慣れていないイルカも多く、逃げてしまう場合は、追いかけ回してはいけない決まりです。船長さん夫妻に協力してもらい、イルカ探し開始!
 しかし、イルカの気配はなく2時間が経過。日暮れも近づきかけた、そのとき!現れたのはミナミハンドウイルカ。船の周りを泳いで逃げる様子はありません。
 怖がっていないようなので、急いで海へ!しかし、見失ってしまいました。4年後しのリベンジも、ここまでか。すると、再びイルカが接近!そして決定的瞬間を、藤井先生がカメラで捉えていました。佐藤アナのすぐ下を、3頭のイルカが泳いでいきました!念願の、イルカと一緒に泳ぐ夢、達成しました〜!

奄美大島で夜の森を探検!

 島の80%以上を占める、深い森。奄美大島は、脊椎動物の固有種の数が、52、絶滅危惧種は76(日本国内)にものぼるまさに希少生物の宝庫!一体どんな生き物がいるのか?教えてくれるのは、奄美の森を熟知する、奄美自然環境研究センター研究員の西さん。
 まずは明るいうちに、森の様子を下見。すると、奄美大島と徳之島しか生息していないアマミノクロウサギのフンが。実は今回一番会いたい動物なんです!果たしてアマミノクロウサギや他の希少生物には会えるのでしょうか。
 それでは夜の森へ。すると、奄美群島固有種のアマミハナサキガエルが。

 わずか3分で天然記念物に出会えました。そして、またもや天然記念物、奄美大島固有種のオットンガエル!さらに、沖縄や奄美に暮らす固有種、アマミヤマシギ。電線の上を走る、長い尻尾が特徴の天然記念物、ケナガネズミ。その後も希少生物を次々発見。日本一美しいと言われるアマミイシカワガエル。これで奄美に住む天然記念物のカエル、コンプリート!
 そして、ついにハブ出現!猛毒を持つ毒蛇です。おそれて人々が森に近づかなかった結果、自然が守られて来たとも考えられるそうです。

 残る目的はアマミノクロウサギ!広い範囲を探索するため、車に乗り込み探すことに。すると、ついに会えました!アマミノクロウサギ!短い耳と黒い毛が特徴の、奄美大島と徳之島にだけ生息する貴重な固有種です。

 その後も次々発見。貴重なエサを食べる様子も観察できました!
 でも、なぜ奄美大島に、これだけ多くの希少生物が暮らしているのでしょうか?
 およそ1200万年前、大陸の一部だった奄美大島。その後、プレートの変動で移動を繰り返しいくつもの島に分かれていきました。大陸では、氷河期で多くの生き物が絶滅。しかし、切り離された島に取り残された生き物たちは、暖流のおかげで氷河期の影響を受けずに生き残り、独自の環境に適応していったのです。
 アマミノクロウサギの場合は、大陸にいた頃からほとんど変わらない、原始的なウサギだと言われています。そのワケは、奄美大島は天敵もいなく恵まれた環境だったこと。そのため、進化する必要がなかったから。
 というわけで、これまでたくさん観察してきた西さんも驚いた貴重な姿が撮れました!