スコットランドに圧をかけた日本代表のサモア戦ボーナスポイント獲得秘話
後半44分、WTB松島幸太朗がサモア陣インゴールに飛び込んだ瞬間、日本中が歓喜の瞬間を迎えました。日本代表がラストプレーで見事4トライ目を挙げて、貴重なボーナスポイント(勝ち点1)を獲得したのです。
そしてこの勝ち点1が、13日(日)に対戦するスコットランドに多大なプレッシャーをかけています。
開幕戦でロシアに快勝し、2戦目のアイルランド戦でも歴史的勝利をマークした日本代表は10月5日(土)、勢いそのままにサモアを撃破しました。
鳴りを潜めていたサモアも驚異的な粘りを見せて食い下がりましたが、冒頭のとおり日本代表がいずれも見事な4トライを決めて勝ち点5を獲得、総勝ち点を14としてプールA首位に立ちました。
上位2チームが決勝トーナメントに進出できる予選プール、日本代表が属するプールAの有力候補は、大会前の世界ランキングで言えばアイルランドとスコットランドで、日本代表はそれを追う立場でした。しかしふたを開けてみれば、10月9日現在で日本が1位(勝ち点14)、2位アイルランド(11)、3位スコットランド(10)と続いています。
12日(土)、アイルランドはサモアとの最終戦に勝てば総勝ち点15、4トライ以上でのボーナスポイントも獲得すれば16となりプールA首位に立ちます。そして13日(日)の日本×スコットランドの結果、日本が勝てば総勝ち点18または19でプールA首位通過、引き分けでも総勝ち点16で、仮にアイルランドと並んでも直接対決で勝利している日本代表が1位通過となります。
日本代表が仮にサモア戦でボーナスポイントを得られなければ総勝ち点は13でした。もしスコットランドが日本戦に勝てば総勝ち点14となるためこれを上回るはずでしたが、日本が総勝ち点を14としている以上、スコットランドはただ勝つだけでなく4トライ以上挙げての勝利で勝ち点5を獲得しないと決勝トーナメント進出が厳しくなります。
それは、日本が仮にスコットランドに敗れてもボーナスポイント獲得の可能性があるためです。日本が4トライ以上獲得、かつ7点差以内での敗戦で各ボーナスポイント(各勝ち点1。計2)を獲得すれば、総勝ち点は16となります。最大勝ち点15のスコットランドはこれを上回ることができません。日本が負けてボーナスポイント1を獲得した場合(総勝ち点15)も、スコットランドが3トライ以下なら日本が予選プール2位通過となります。
やはり、サモア戦でのWTB松島のトライによるボーナスポイント獲得が、日本代表の決勝トーナメント進出の可能性を大きく広げると同時に、スコットランドに重く重くのしかかっているわけです。
あのトライを生んだのは、試合終了間際のサモア陣ゴール前でのスクラムでした。
日本のモール・アンプレアブルからサモアボールのスクラムとなり、その後のスクラムでも日本のアーリープッシュでサモアにフリーキックが与えられました。試合を切ることができたサモアは、7点差以内の負けを狙うためスクラムを選択、勝負に出ました。
そのスクラムでサモアがまさかのノットストレート。日本のスクラムに変わり、押し込んだ結果サモアがスクラムを崩しペナルティを誘いました。スクラムを選択した日本は再びサモアに圧力をかけ、NO8姫野和樹のサイドアタックから左に展開し、あのWTB松島のトライにつながったわけです。
サモアのペナルティを誘ったスクラムは、リザーブスタートとなったHO堀江翔太の言葉が大きかったと、左PRの中島イシレリが証言しています。
「あの時、堀江さんがいてよかった。堀江さんの『出し切れ、これを押さないと意味がない』という言葉がよかった。『わかりました』と答えました(笑)」
HO堀江の「出しきれ」という言葉でさらに結束し、サモアに完全に組み勝ったスクラムが、最後のトライにつながったわけです。
当のHO堀江はこのように語っています。
「いま3勝しているのも、ほとんどノンメンバーの(試合に出場していない)選手が相手の分析してくれているから。ラインアウト、スクラムをこういう風に組むよとか、話し合いながらやってくれているので、本当に感謝している」
試合には出ていなくても「仮想敵」として練習からメンバーにスクラムなどで圧力をかけている選手たちの働きがあってこそ、スクラムでの勝利、4トライ目の獲得につながったと言えるわけです。まさに日本代表のスローガン「ONE TEAM」を象徴する勝利でした。
ここまでくれば、あとはシンプルにスコットランドに勝って決着をつけるのみです!
「ONE TEAM」を感じさせるプレーが続出すれば、必ずやその瞬間が近づくことでしょう。
10月13日(日)の日本×スコットランド、全世界が注目している世紀の大一番をぜひ見届けましょう!
■今後の放送予定
10月13日(日)ひる12時~ ナミビア×カナダ
10月13日(日)ひる2時10分~ ラグビーワールドカップ2019日本大会 今夜日本×スコットランド
10月13日(日)よる7時~ 日本×スコットランド
※台風19号の接近に伴い、13日(日)の試合開催の可否は各試合キックオフ6時間前までに主催者により判断されます。