展覧会紹介


メッセージ

0.特撮とは

映像制作における「特殊撮影」の略称で、カメラの機能や光学処理、美術や造型などを駆使して、通常の撮影では実現不可能な画面を作り上げます。
日本においては、特に1950年代から60年代、日本映画の黄金時代に花開き、「ゴジラ」をはじめとする怪獣映画、SF映画、戦争映画、スペクタクル映画などにおいて、映画の見せ場をダイナミックに盛り上げてきました。
特撮の第一人者・円谷英二は、「特撮の父」あるいは「神様」と呼ばれ、日本人ならではの繊細な手仕事を活かした精密なミニチュアワークと、さまざまなアイデアを発揮して撮影した脅威の映像の数々は、世界に類を見ません。円谷が試行錯誤と研究を重ねて培った技術や精神は、映画制作を担う多くの人たちに受け継がれました。
特撮映画は、1960年代後半にはテレビ界に進出し、「ウルトラマン」をはじめとする特撮シリーズは、お茶の間で見られる娯楽として、子どもたちに憧れや恐怖、そして好奇心を与える存在として人気を呼び、大人をも巻き込んだ社会的ブームとなりました。

1.特撮作品に登場したミニチュアが集合

特撮博物館の冒頭コーナーでは、庵野秀明館長の原点となった「特撮」の数々が一堂に会します。
『海底軍艦』(1963年)の轟天号、『マイティジャック』(1968年)のMJ号、『帰ってきたウルトラマン』(1971年)のマットアローなど スーパーメカたち、ウルトラマンをはじめとするヒーローたち、ゴジラ、ガメラなど怪獣たち・・・ミニチュアやマスクや着ぐるみから、精巧に作られた東京タワーまで、かつてない見せ方でこれらを展示します。
特撮ファンはもちろん、リアルタイムで見た大人たちには懐かしく、初めて見る子どもたちにも、その姿はきっと新鮮に映ることでしょう。世代を超えて心に訴えかける特撮の世界をお楽しみいただきます。また、洗練されたデザインワーク、色使いなど、アートとしての造形美も注目すべきポイントです。


2.特撮美術倉庫が出現

かつて特撮映画を作る撮影所内には、夢を詰め込んだ宝箱のような美術倉庫がありました。そこではメカや怪獣、ビル群などが、撮影での出番を待ちながら所狭し、と眠っています。本博物館では、そんな特撮美術倉庫を再現。撮影現場に訪れたような、ワクワクする空気を感じ取っていただけます。

特撮美術倉庫 イメージ画:石森達也

3.職人たちの技を知る

怪獣たちからミニチュアセットにいたるまで、特撮を彩る「モノ」たちはどのように生み出されたか?
それらはいかに映像化されたのか?
その過程や技法をデザイン画、設計図、道具、セットの実例などで紹介。職人たちの知恵と工夫と技術を紹介し、製作現場の様子を伝えます。


4.特撮のミニチュアステージを体験

本博物館のクライマックスでは、およそ10メートル四方のサイズでミニチュアステージが出現。東京タワーをはじめ、ミニチュアビルが立ち並ぶ街を間近で見ながら、スタンバイ状態となった撮影現場の雰囲気を楽しめます。巨大ヒーローや怪獣気分でステージに立つことが出来るのはもちろん、フォトスポットとして撮影可能です。

「巨神兵像」 竹谷隆之作 ©二馬力・G