0.特撮とは
映像制作における「特殊撮影」の略称で、カメラの機能や光学処理、美術や造型などを駆使して、通常の撮影では実現不可能な画面を作り上げます。
日本においては、特に1950年代から60年代、日本映画の黄金時代に花開き、「ゴジラ」をはじめとする怪獣映画、SF映画、戦争映画、スペクタクル映画などにおいて、映画の見せ場をダイナミックに盛り上げてきました。
特撮の第一人者・円谷英二は、「特撮の父」あるいは「神様」と呼ばれ、日本人ならではの繊細な手仕事を活かした精密なミニチュアワークと、さまざまなアイデアを発揮して撮影した脅威の映像の数々は、世界に類を見ません。円谷が試行錯誤と研究を重ねて培った技術や精神は、映画制作を担う多くの人たちに受け継がれました。
特撮映画は、1960年代後半にはテレビ界に進出し、「ウルトラマン」をはじめとする特撮シリーズは、お茶の間で見られる娯楽として、子どもたちに憧れや恐怖、そして好奇心を与える存在として人気を呼び、大人をも巻き込んだ社会的ブームとなりました。