工房日誌

♯3 シゲコプター改良2010/08/15

前回ついにシゲコプターが完成、待望の初フライトへ挑むも、機体がわずかに浮いたのみ…
エンジンの馬力は充分。軽量化も限界。原因は何なのか?
それは、城島の作ったプロペラがシゲコプターの総重量を上回る揚力を上手く生み出していないためだった。
シゲコプターを飛ばすには、プロペラが下に押し出す空気の反作用も有効。そこで、プロペラを改良することに。
現状のプロペラの角度は最大13度。角度が大きすぎ、上面の空気が下に流れず『はく離』を起こし、ブレーキになっている。しかし角度を小さくしすぎれば空気は下に流れていかない。
つまり、最も空気を下に押し出す角度を導き出せば、揚力も増すはず。そのためには、角度が変わる“可変ピッチプロペラ"が必要。
さらに、総重量(シゲコプター+城島)を減らすため城島自身の減量も行い、飛ぶ可能性をできるだけ上げる!
そこで、横浜市の瑞穂ふ頭にそびえる、高さ118メートルの横浜市風力発電所・ハマウィングで角度が変わるプロペラの構造を探る。
「羽根はフラットだな」
ハマウィングのブレードはそれぞれ独立して軸に繋がれ、その根元部分から翼面の角度を変える構造。そのため、翼面自体のヒネリは小さい。
ジョイント部分に引っかけ溝をつければ、抜けることもない。
同じ原理をシゲコプターの可変ピッチプロペラにも応用できる。
さっそく、そのブレードの製作に取り掛かる。
固定ピッチプロペラよりも、長いブレードを作る。
プロペラを伸ばすと空気をかく面積が広くなり、下に押し出す空気の量も増え、揚力が増す。
金属のグリップとサクラ製のブレード、長さは合わせて250センチ。
ブレードを作り上げた城島に対し、角度を変えるグリップ(根元)の部品は東京都大田区。48年間、旋盤(せんばん)工を続ける佐藤製作所を訪ねる。
炭素鋼の丸棒から旋盤で外径と滑らかな表面を削り出し、繊細な溝は切削油をさして摩擦を減らし、刃を深く入れていく。そして5時間かけ、直径5.5cmの円柱と角柱を組み合わせた部品グリップが出来上がった。
ブレード、グリップが揃い、プロペラの組み立て。グリップとブレードを組み合わせ片側のプロペラ。それら2枚のグリップ部分をハブで挟むと…
「(根元から)動いてる!」
二代目、可変ピッチプロペラが無事完成。本体から初代の固定ピッチプロペラを丁寧に取り外し、二代目の可変ピッチプロペラを取り付ける。
計算では、総重量133sを下回れば浮かぶはず。改めて計測した総重量は、112s。計算上は飛ぶということ。
「さあ、最終テストやね」
プロペラ翼面の角度をプロトラクターという分度器を使い5度に設定。
エンジンが6000回以上回れば揚力は最大の133sに近づく。
しかし、スタートして4000回転に…その時!機体が右に回転。
起こす風が強くなったことで、上のプロペラの風の影響を受けた下のプロペラが回りやすくなっていた。
そこで、回転数を下げずに上のプロペラの風を減らすため、翼面角度を小さくする。設定は3度し。
「プロペラ回っても機体は回るなよ!!」
今度は、5000回転まで機体は安定し、浮き上がる感覚も掴んだ。
次は、大空へ…と、その前に羽田空港の氏神様。羽田神社・禰宜による清め、御祓いで安全祈願。
40歳のタイムリミットは刻一刻と近づく。次回こそ飛び立てるか!?

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