日本テレビ放送網株式会社(本社:東京都港区 代表取締役 社長執行役員 石澤 顕、以下日本テレビ)は、2022年日本民間放送連盟賞 技術部門において、AI業務支援システム「エイディ」の社内開発と運用のテーマが最優秀賞、WEBブラウザ上で動作する素材アップロードツール「クラポ」の開発のテーマが優秀賞を受賞致しました。
 日本民間放送連盟賞の技術部門は、放送技術に関する開発・改良等によって、民放事業に貢献し、その発展に寄与したと認められるものに授与されるものです。
 日本テレビでは、今後も積極的な新技術の導入により、皆様へ迅速な情報提供と魅力的なコンテンツがお届けできるよう更なる開発を進めてまいります。

■AI業務支援システム「エイディ」
 社内開発したAI業務支援システム「エイディ」は、日本テレビの番組制作や事前準備等、様々なシーンで既に活用されております。AI学習に必要な事前の準備作業時間の大幅な短縮を図り、番組制作におけるCG表示作業の効率化、および映像監視の一部無人化、これまで実現できなかった生放送における背面CG合成など番組制作から送出業務までの幅広い現場の課題を社内要員だけで短時間かつ低コストで次々と解決していることが高く評価され受賞に至りました。本開発テーマは、「映像情報メディア学会 技術振興賞 進歩開発賞(現場運用部門)」、「放送文化基金賞 個人・グループ部門 -放送技術-」、「日本映画テレビ技術協会 第75回技術開発賞」に続いて、「日本民間放送連盟賞 技術部門 最優秀」で4冠を達成することができました。

主な特徴

① 番組制作・準備作業の効率化と高度化
・「英語テロップの自動日本語変換」、「競技スコアの自動入力」など番組中のCGオペレーションの自動化を実現しました。
・映像監視を自動化し、より安定した視聴者へのコンテンツ提供を実現しました。
・モザイク処理の自動化による効率的なコンテンツ制作を実現しました。
・CGトラッキング表現のリアルタイム処理を可能とし、生放送での表現を実現しました。

② 生放送における新しいCG合成手法を実現
・グリーンバック等設置できない環境でも背景CGの合成を可能にしました。
・距離推定と組み合わせることで、物体の前後だけでなく物体と物体の間にもCG合成が可能となりました。

③ AI学習準備作業における工夫
・学習用「架空画像の生成」や「ラベリング作業の自動化」により、膨大な時間を要する学習の準備作業を省略し、現場でAIがより気軽に活用できる環境を構築しました。

●受賞者のコメント
★起案/開発/運用 篠田貴之(技術統括局 デジタルコンテンツ制作部)
 視聴者の皆様や、番組制作に関わる全ての人が幸せになれるようなシステムを目指して取り組んでまいりました。エイディは番組表現を豊かにしながら、同時に番組制作の効率化を高められるシステムです。すでに放送・配信における多くの番組でエイディは活用されていますが、さらに大きなイノベーションを起こして、コンテンツの力で世の中を豊かにしていきたいと考えております。更なる発展に向け、開発を進めてまいります。

■WEBブラウザ上で動作する素材アップロードツール「クラポ」
 報道・情報・スポーツなどの取材現場から、スマートフォンやPCからWEBブラウザを使用して映像ファイルや静止画ファイル(以下素材)を送ることができるツールを開発しました。
 本ツールは専用ソフトウェアを使用せずに速さやリアルタイム性を求める通信に使用されるプロトコル(UDP通信)と同等以上の高速アップロードが可能で、従来は手動で対応する必要があった多くの手順を自動化し、現場の記者やディレクターが日本テレビ本社のニュース編集システムへ素材を直接アップロードすることができる一気通貫の作業フローを実現しました。また、記者が発行したアップロードURL入りの2次元バーコード(QRコード)を素材提供者がスマートフォンで読み取ることで直接アップロードできる出力機能やスポーツ中継で使用されるサーバとの連携機能も搭載するなど、現場運用において業務効率化等が高く評価されました。

クラポの主な機能
 ・素材のアップロード/ダウンロード
 ・ワンタイムURL発行
 ・スポーツ中継用サーバ関連機器からの自動素材同期
 ・編集システムとのメタデータ(取材情報)連携
 ・素材プレビュー

※1:共同開発:日本電気株式会社
  技術協力:オクルウェブ合同会社

スマホWEB画面[アップロードURL入りの2次元バーコード(QRコード)]

    

記者から提示されたQRコードを読み取る運用イメージ

●受賞者のコメント
★起案/設計 小池中(技術統括局 コンテンツ技術運用部)
 今回、「映像情報メディア学会 技術振興賞 進歩開発賞(現場運用部門)」に続いての受賞となり、クラポの有用性について高く評価いただいたと受け止めております。国内外の運用実績は42,000件以上に達しており、取材現場でなくてはならない伝送ツールのひとつとして用いられています。また、本ツールを活用したスポーツ中継現場の業務効率化も併せて実現するなど、多様なユースケースで活躍しており、今後のさらなる応用についても検討を進めてまいります。

~日本テレビの過去の日本民間放送連盟賞【技術部門】受賞歴~

●2021年 優 秀 「クラウドプレイアウトを用いた日テレ系ライブ配信システムの開発」
●2019年 優 秀 「画像認識AIを用いた番組応用と展開」
●2018年 最優秀 「画像認識AI技術を用いた番組制作支援」
●2016年 優 秀 「スポーツ生中継用超小型審判目線カメラの開発と現場導入」

<以降省略>

以上
日本テレビ放送網株式会社 社長室 広報部