新年のまずはじめに、元日に能登半島地震が発災、2日には羽田空港で航空機衝突事故も発生し、大変な年明けとなりました。被災者の方々に心よりお見舞い申し上げます。

 さて、日本テレビは2023年の年間個人視聴率1冠に止まり、民放12年連続3冠が途絶える結果となりました。若年層がスマホなどデジタル端末でゲームやネットコンテンツを多く見るようになるなどライフスタイルの変化が一つの要因です。

 一方、情報発信や経済活動が活発なコア(13歳〜49歳男女層)視聴率は、11年連続で3冠を維持しました。地上波のコアターゲット戦略が奏功して今年度の放送収入はタイム・スポットともに民放トップをキープし、スポットはキー局シェア29%台後半と、他局を大きく引き離しています。但し放送収入全体を見ると、先行きの不透明感を反映してCM出稿状況は日本テレビにおいても前年度比94%台半ばに止まっているのが昨年末の現状です。
 今年の地上波番組編成は、改めて「視聴者の支持とクライアントの支持No.1」を目標に全力投球の構えで臨みます。

 他方で、日本テレビの放送外収入は、コロナ禍の収束で人流の活性化を背景に、イベント・コンサート、アンパンマン事業などが順調な回復を見せました。また戦略的取り組みを進めているアニメが飛躍的に拡大しています。10月スタートの金曜23時「葬送のフリーレン」を筆頭に海外販売を含む多角的な収益を獲得しています。加えてスタジオジブリの子会社化は、アニメ戦略と海外戦略の更なる加速要素となるでしょう。一方、昨年大きな反響を呼んだ連続ドラマ「ブラッシュアップライフ」が国内外の様々な賞を獲得して、日テレドラマの存在感を高めています。また、放送とネットをイベントやコンサートに結びつけるIPビジネスもNiziUやBE:FIRSTの成功例に続く日テレらしい取り組みが続いています。
 グループ会社では、フィットネスクラブのティップネスが今年度黒字で進捗中。総合ディスプレイのムラヤマ、電子コミックのビーグリーが売上・利益ともに順調に伸ばしています。
 こうしたなか、中経の最終年度を迎える今年の方針は以下の通りです。

①地上波を中心にコンテンツ価値の最大化を追求する「コンテンツ中心主義」を加速する。
 具体的には、4月期に地上波の魅力的な番組ラインナップとニュース番組の更なる強化を目指した積極的な改編を断行します。目的は将来を見据えた放送収入の獲得とTVer/Hulu収入の拡大です。

②放送外収入は、日テレブランドと地上波リーチ力を効果的に利用することでシナジー効果の拡大を図る。

③放送とインターネットの融合。
 この方針は、日本テレビが従来進めてきた●コンテンツ制作過程のIP化(コードネーム「アリゲーター」等)の促進であり、将来を見据えて●放送技術のIP化に向けた研究と実施●既存の地上波セールスを変革するアドテクの開発と導入(コードネーム「アドリーチマックス」)を指しています。
 以上の3つの取り組みは、次世代のテレビビジネスに繋がっていく挑戦です。

 開局71年目に入る日本テレビは、引き続き勇気をもって果敢に挑戦し続けるグループのリーダーとして、諸課題に対し連携と一体感をもって立ち向かって行きたいと思います。皆様にはこのような日本テレビホールディングスを引き続き支援して頂きたいと思います。
 「心と未来に、のこるもの。」
 今年からスタートする日テレの新しいコーポレートメッセージとともに、本年も宜しくお願い申し上げます。

日本テレビ放送網 代表取締役社長執行役員
石澤 顕