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カズレーザーと学ぶ。

毎週火曜よる10時00分〜11時00分 放送

『カズレーザーと学ぶ。』今回のテーマは『人たらしになる方法』

2023.08.15 公開

なぜか人の心を次々とつかむ『人たらし』その正体と、人をひきつける禁断の方法

『人たらしは相手の脳にドーパミンとオキシトシンを同時分泌させる』

人には無意識のうちに他者にひかれてしまったり、逆に生理的に無理だと感じたりする瞬間がある。最近の研究で、他人を生理的に無理だと感じる感情が起こる時、脳の中で悪臭を感じる部位と同じところが活動していることがわかったと語るのは、東北大学大学院情報科学研究科 兼 加齢医学研究所の細田千尋准教授だ。食べ物の腐った臭いなど、悪臭を感じるものは生命の危機を脅かすものであり、生理的に無理と直感的に拒否することも、生命を脅かすものとして悪臭と同じように認識しているという。

スイスのジュネーブ大学が行った実験で、苦渋の選択を迫られる『トロッコ問題』にて、ジレンマを解いた後に脳の活動を測ると、不快と感じる際には、悪臭を感じる時と同じく、脳の『島皮質(とうひしつ)』と呼ばれる部分が活動していることが明らかとなった。細田准教授によれば、道徳的に有害なことをしてしまったという感情が、自分の自責の念といった不快感につながり、それが臭いという本能的で単純な不快感をさらに強化するという。

『島皮質』は本来、不快な臭いや体験に反応し、本能的に生命の危機を避けようと活動する部位だが、道徳性のなさや社会的常識を逸脱しているという嫌悪感に反応することで、“この人は命を脅かす人である”、つまり生理的に無理という感情を生み出している、と考えられる。

一方で、人が誰かに虜にされている際にも、脳ではとある反応が起こっている。人に魅了されている時、人間の脳には『ドーパミン』と『オキシトシン』が同時に分泌されているという。両者はいずれも幸せに関係する物質で、前者は「うれしい」「おいしい」など、興奮を伴う感動をした場合に出るもの、後者はスキンシップなどで幸せな気分になったり、安心感を伴う時に分泌されるものだ。つまり、人たらしな人とは、他人に興奮と安心感の両方を与えられる人だと細田准教授は分析する。

他者の脳にこれらの物質を同時分泌させる方法として、相手が一番興味のあることを刺激することが効果的だそうで、特に全人類が共通して興味を持っている『自分』について話をするとよいという。人は自分を他人から認めてもらうことに強い関心を持っており、社会的に評価されることは、お金をもらった時と同じくらい脳の中で活発な反応が起こるという。また相手の目を見て会話をすると、目を見られた相手の脳からはドーパミンが分泌されるため、相手を評価する際に併せて取り入れるとより効果的だ。

細田准教授は、そのほかにも相手のファーストネームを呼ぶことや、話し相手にその人自身に関する質問をすること、会話の中で目を大きく見開くしぐさを取り入れることも、人たらしのテクニックだと語った。さらにこれらの脳内物質の分泌を促すテクニックは、恋愛にも応用できるのではないかという。

異性に好意を持った時や気分が高揚した時に『フェネチルアミン』というホルモンが脳下垂体から分泌されるが、この分泌により交感神経が刺激され、心拍数や血圧が上昇し、発汗を促進する。こういった体の変化が、恋をした際のドキドキやトキメキの正体ではないかと考えられている。さらに、『フェネチルアミン』の分泌により感情をコントロールする前頭前野の働きが低下するため、冷静な判断ができず、いわゆる“恋は盲目”という状態になるという。

この『フェネチルアミン』を相手に分泌させるためには、スキンシップや目線の配り方などを工夫することが効果的だそうで、こうした行為によって分泌される物質のはたらきが人たらしにつながるそうだ。

東北大学大学院情報科学研究科 兼 加齢医学研究所
准教授 細田千尋

 

『言語学的究極の人たらし術“コード・スイッチング”』

言語学の観点から、日本人ならではの人たらし術があると紹介するのは明治大学法学部・堀田秀吾教授だ。堀田教授によれば、日本語は世界的に見ても会話の返答速度が極めて速く、『世界最速の会話食い気味民族』だという。この特徴を活かした人たらし術として、教授は『うなずき』と『コード・スイッチング』の2点を挙げた。

日本語には、「~ね」などの終助詞という、会話を円滑に進めるために言葉を区切る働きをもつ表現があり、聞き手はそのたびに反応をする。これは終助詞が対人関係を調整する言葉であり、相手を会話に巻き込むためのものだという。英語にはこういった働きを持つ表現はなく、一方が話し終えたら返答するという対話型であるのに対し、人間関係を重視する日本語は、話し手も聞き手も会話を共に作る共話型とされる。そのため日本語では『うなずき』が非常に大切であるという。実際、被験者にCGの人物に向かって話をさせるという実験では、静止状態のCGよりもうなずく動作をするCGの方が、話をしていて印象が良く、親近感が湧いたという結果が出ている。

続いて紹介されたのが『コード・スイッチング』だ。『コード・スイッチング』とは、会話の中で話し方を変えることを意味し、たとえばそれまでタメ口で話していたのを急に敬語で話すことなどを指す。私たちは気づかないうちに話し方を変えることで、心理的距離を調節しているというが、人たらしに有効なのは、心理的距離を縮めるための『コード・スイッチング』であり、それはタメ口を使うことだと教授は提言する。

40代から60代を対象とした調査では、敬語を用いた会話の一部にタメ口を混ぜることで、全て敬語で会話をするよりも親しみを持ったと回答する人が多かったという。タメ口を用いるタイミングとしては、話者本人の感情を表す表現に用いると、そのリアクションにわざとらしさがなくなり、より素直で正直な印象を与えるという。標準とされている話し方のなかに、それと違ったパターンを取り入れることで生まれた“言語ギャップ”が関心を呼び、心理的距離をグッと近づけることができるそうだ。

明治大学 法学部
教授 堀田秀吾

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