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©Photo RMN - H. Lewandowski
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1843年、風景画家コローは三たびイタリアへと旅しました。5月にパリを出発し、6ヶ月の間にティヴォリ、ジェンツァーノ、ローマなどを訪れました。この作品はその時制作されたもので、描かれているのはエステ家の別荘の庭です。そこは景勝地として知られるティヴォリにあり、ローマを訪れる多くの画家が訪れています。イタリアの大地から立ち上る夕暮の静寂、地中海地方の空の透明さが品位をもって描かれています。明るく軽やかな大気のうちに家々が連なっています。その後ろに見えるサビーニの山々の優美な輪郭が画面全体を支配し、風景の美しさを高めています。作品の構成としては、鑑賞者の視線に対し平行なプラン(平面)を重ね、安定感のある構図をとっているところに、クロード・ロランやニコラ・プッサンらによる17世紀フランス風景画の古典的な絵画技法を認めることが出来ます。一方で、柔らかい霞がかったような大気のうちに風景を展開させるところに、印象派など近代風景画との接点を感じさせます。前景の石壁の上に座る子供は、コローの画材を運ぶ手伝いをさせるために雇ったこの土地の少年であり、それは、画面に大きさの尺度を与えるとともに、愛らしいアクセントとなっています。
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【解説】 横浜美術館 学芸員 新畑泰秀 |
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