参考病名すぐ示す…「AI問診」の実力は
いま、200以上の医療機関で導入が進んでいるのが「AI問診」です。質問に答えるだけでAIが疑われる病名を示してくれるといいます。その実力とは。
■「AI問診」導入の現場 都内のクリニックを取材
6月5日、東京・品川区内のクリニックの待合室。30代の女性がタブレットに向き合い『AI問診』の最中でした。
「のどの痛み」と「熱っぽさ」を選ぶと、画面には症状に関して追加の質問が表示されました。
そして、AIが尋ねてきました。「症状が一番強かったときの程度は?」
AIに登録されている2万以上の症状をもとに、AIが選んだ約20の質問に答えていきます。
患者が入力した情報は、医師が使う専門用語に変換されて電子カルテにすぐに反映されます。電子カルテの病名には『急性扁桃炎』が選ばれていました。AIが参考となる病名を導き出したのです。
医師にとっては、患者の症状を把握したうえで診察にのぞめるようになります。目黒みらい内科クリニック院長・太田啓介さん「のどが痛いし、体がだるいし、熱っぽいってことですね。少しウミついてますね。扁桃炎ですね」診察の結果、実際に扁桃炎と診断されました。
AI問診は、診察の効率化につながり、患者1人あたりの滞在時間も短くなります。新型コロナウイルスによる院内感染のリスクを減らせるとして注目されている『AI問診』。
目黒みらい内科クリニック院長・太田啓介さん「私のカルテの記入時間が半分くらい減りました。病名の予測も複数提示されるので、それも参考にしながら自分の診断を進めていけるのがいいなと」
現在、200以上の医療機関で導入されています。
■AI問診システム 生みの親は30歳の現役医師
AI問診Ubieを開発した医師・阿部吉倫さん(30)。AI問診改良のため日々、医師から現場の声を聞き取りエンジニアも参加するリモート会議を重ねています。では一体、どのように病名を絞り込んでいるのでしょうか。
主に『発熱』を訴える60代の女性のケースを特別に可視化して見せてもらいました。
はじめは『関節リウマチ』の疑いが最も高いとされた女性ですが、質問を進めるうちに『かぜ』の疑いが高くなってきました。
エンジニア「まだまだ他の(病名の)候補があるということで副腎不全等に関連する質問を振ってみた」
ここでAIが、『最近、集中力が下がっていると感じるか』という、別の病気に関連した内容を質問。女性が『はい』と回答するとー。
かなり低かった副腎不全の疑いが、ぐっとあがることになりました。最終的には疲れやすくなったり食欲がなくなったりする『副腎不全』の疑いが一番高い結果に。女性は医師の診察でも『副腎不全』と診断されました。
4月からは、新型コロナウイルスに対応した『AI問診』が開始。
(AI受診相談Ubie新型コロナウイルス版)
スマートフォンから誰でも無料で問診できるようになりました。テクノロジーで医療を進化させたいという阿部さん。
阿部吉倫さん「(AI問診を使えば)ドクターが患者さんに向き合える時間を沢山使える。一方で、生活者の皆様も、症状があって不安なときにいつでも使える検索エンジンというような形にしたい」
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