世界の新規感染者数は過去最多15万人 日系人医師が語るブラジルの現状
日本では新型コロナウイルス対策を緩和する動きが広がる一方で、世界ではパンデミックが加速している国もあります。
■世界ではいまだ感染爆発
日本では感染の広がりが落ち着いてきているように感じますが、世界的にみると違います。
WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長は19日、「パンデミックは加速している」と述べました。
この前日18日には、世界での新規感染者が15万人と、1日あたりの新規感染者としてはこれまでで最も多い数字が報告されました。このうちの半数がアメリカ大陸でした。
アメリカ大陸の累計の感染者数を示すと、 アメリカが最も多く220万人を超えています。
次に多いのがブラジルで108万人を超えました。 ペルーは25万人、 チリは24万人、 と深刻な事態となっています。
■ブラジルで感染爆発 ナゼ?
6月に入ってからのブラジルの1日ごとの新規感染者のグラフです。
19日には5万人超の感染が確認されています。なお、ブラジルの人口は日本の約2倍です。
急増している理由は2つあります。
1つ目は、ボルソナロ大統領が経済活動を優先して感染対策を軽視してきたこと。
2つ目は、サンパウロなどの都市部は貧富の格差があるなかで非常に貧しい地域があり、ここの衛生状態が悪いこと。こうした地域を中心に爆発的な感染が起きたといわれています。
■最前線で働く日系人医師が見た厳しさ
そして、ブラジル最南端のリオグランデ・ド・スル州で、日系人医師の森口秀幸医師が新型コロナウイルスの拠点病院で今も患者対応の指揮をとっています。
今回取材に応じてくださり、医療現場の厳しさについて語っていただきました。
森口秀幸医師
「私たちの病院で、残念ながらはじめ看護師が亡くなって。次に医師ですね。そしてあとでもう1人看護師で。すごく話すこちらもつらいんですけど、残念ながら」
同僚が感染し次々と亡くなり、医師らの精神的な負担を緩和することや病床の確保が課題になっているといいます。 その一方で、実際はもっと感染者がいる地域もあると見込んでいるそうです。
森口秀幸医師
「アメリカとかヨーロッパ、日本と比較して情報がなかなか行き届いていないので、おそらく(公表数の)数倍の患者がいるという感じで、私たちはいろいろと態勢を病院で整えています」
感染の恐怖を感じながら治療にあたっているということです。
新型コロナウイルスの病棟に入ると、防護服を着ている関係で約5~6時間はトイレにも行けない状況で、働き詰めで肉体的にも疲労がたまっているということです。 そして、医療機器については、今は腎臓の透析用の機器が足りなくなっているそうです。
マスク不足が深刻化し、マスクを洗濯して1~2週間も使っていたこともあるといいます。 このために感染したケースもあったそうですが、日本から森口医師の仲間が大量にマスク送ってくれて、今は解消されつつあるということです。
WHOのテドロス事務局長は「ウイルスはいまだに急速に広がっている」と警告しています。 日本では制限の緩和が続いていますが、慎重に行動をしなければなりません。
2020年6月22日放送 news every.「ナゼナニっ?」より
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