ラグビーW杯 日本代表戦も行われるトゥールーズへ向かう【“日本ラグビー界の鉄人”大野均さんと巡る現地取材記】
ラグビーワールドカップ2023フランスが9月8日(現地時間)に開幕しました。開幕を前に、開催地フランスを旅したのは“日本ラグビー界の鉄人”元日本代表の大野均さん(現在は東芝ブレイブルーパス東京・普及担当)です。
大野さんとともにフランスを巡り取材を共にしてきたスタッフが、現地での模様をお届けします。5日目の様子をご紹介。
■5日目
大野さんとまわるフランスツアーも折り返し地点。
ホテルで朝食を済ませ、ニームの街へ。
まず訪れたのは、フォンテーヌ庭園。
ニームという町の名は、泉の精ネマウスス(Nemausus)に由来しているのだが、その泉がここフォンテーヌ庭園にある。
園内を歩くといたるところにローマの遺跡があり、広場には観光客以外にも、ランニングをしている人や木陰で食事をする人などがいて地元民の憩いの場となっていた。
ニームの町には、世界有数の保存状態を誇る円形闘技場やローマ神殿のメゾン・カレなどたくさんのローマ遺跡が残されている。
メゾン・カレを実際に見てみたが、これだけしっかりと形が残っていることに感動を覚えた。保存状態だけでなく、柱の上部や天井などに施された彫刻もすばらしかった。
ここで1つ、メゾン・カレを見学するときに注意してもらいたいことがある。
実はこの日、大野さんがメゾン・カレの入り口の階段をのぼっているとフランス観光局の人から「ストップ!左足から行ったから神を怒らせたかもしれない」と声がかかったのだ。
大野さんをはじめ、同行したみんなが困惑していると、「右足は神に近い健康な足と言われていて、右足で神殿に辿り着かなければいけないんです。」
そんなルールが!?とみんな驚いていると、「右足からのぼれば右足で終われますよ」とアドバイスをもらい、しっかり右足からのぼり、無事辿り着くことができた。
街中を歩いているとワニの彫刻やマークをたくさん目にすることがあった。聞いてみると、ニームはヤシの木につながれたワニがシンボルマークなんだという。
ローマ皇帝のアウグストゥスがエジプト軍を率いるクレオパトラを征服した際、功績のあった軍人にニームの街を与え、ヤシの木にワニがつながれた硬貨を作り祝福したことからシンボルとなったそうだ。
街中の観光を終え、タクシーで約30分。
たどり着いたのは、自然豊かな場所にあるポン・デュ・ガール。
約2000年前にローマ人によって作られた水道橋で、ユゼスの水源から50キロ離れたニームまで水を運んでいたそう。
どうやって水を放していたのか不思議に思うが、直線に見える橋ですが、ちゃんと勾配がつけられ流れるように建築されているということだ。
ポン・デュ・ガールを見学する前に、ビールで乾杯し、ひとやすみ。
一緒に行動して5日。完全に打ち解け、会話もビールも進む。
今まで行った海外はどこか聞いてみると、「遠征や試合でニュージーランドや南アフリカなど色々な国に行ったけれど、オフでは、ほとんど行ったことがないんです。オフのときは自宅でゆっくりお酒を飲んでいたい」と、意外にもインドア派な大野さん。海外での試合や食事について話していると、「ニュージーランドに留学したとき、ホームステイ先のお母さんが試合の日の朝持たせてくれたのが食パンとハンバーグと目玉焼きとトマトのサラダだった。これをはさんだらハンバーガーじゃん!と思っていた。日本にもどってもしばらくは試合当日の朝はビックマックを2個食べて勝負メシみたいな感じになっていた」とたくさんの思い出話を語ってくれた。
休憩を終え、ポン・デュ・ガールの見学へ。
上層部にあがると見えてきたのは長く伸びるガール川と大自然。
「多摩川の清流沿いみたい」といいながら目の前に広がる絶景を存分に堪能し、次なる目的地に移動するため再びニームへ。
ニーム駅で高速列車TGVに乗り込む。
大野さんはというと・・・「ガソリン(ビール)を入れてまったりしてます」
ニームの駅で購入したビール3本を次から次へと流し込む。
偶然相席になった女性と時折会話をしながら、気がつけば全て飲み干していた。
その後、大野さんは席を立って消えてしまう。まったく戻ってこないので迷子にでもなっているのだろうかと思い、大野さんが向かった方向に行ってみると・・・。
バーのある車両で、外を見ながら新たに購入したであろうビールを飲む大野さんが。
「なにしているんですか?」と声をかけると「フランスの列車は景色がいいですよね。この景色を見ているとお酒が進んで・・・」と苦笑い。
現役時代からお酒を飲むことは多かったのか聞いてみると「試合後は代表メンバーと飲んだり相手チームとも一緒に飲んだり、多い方かもしれないですね。リーチマイケルとは本当によく飲みました。リーチは飲むと面白いですよ(笑)」と現役時代のお酒を交えた話をたくさん話してくれて笑いながら聞いていた。
出発から約3時間。
大野さんの豪快な飲みっぷりに驚いていたら目的地に到着していた。
着いたのは日本代表戦が行われるトゥールーズ。
気がつけば時刻は午後22時すぎ。時間も遅いので、この日はそのまま宿泊するホテルへ移動し、取材を終えた。
ホテルに到着後、何気なくスマートフォンの万歩計を見てみる。
この日は、約1万8000歩。フランスに来てからの歩数も確認してみると、毎日のように1万5000歩ほど歩いていたのだ。日本で仕事しているときは、取材に出ない限り1日1万歩もあるくことはない。疲れから眠るのも早く、朝も自然と目が覚めるようになって健康的な生活を送れているな、と思いながら眠りにつくのであった。
<協力>
・フランス観光開発機構
・オクシタニー地方観光局
・ガール県観光局
・ニーム観光局
・東芝ブレイブルーパス東京