能登地震1か月…若き輪島塗職人”伝統の再建“への思い
石川県輪島市。
○櫻井
「道路も割れてしまっていますね」
その先に見えてきたのは…
○櫻井
「朝市の一帯は
コンクリートの建物を残して
あたりが焼けてしまってるんですね」
大規模火災が起きた、輪島朝市です。
○櫻井
「朝市の手前一帯には
立ち入り禁止のテープが
張られていますね」
すすのにおいも残る場所に…
○櫻井
「お花が手向けられてますね。
朝市の活気ある姿と
あまりにも様子が変わっているので
言葉がなかなかでないですね」
二次避難先の金沢市から
荷物を取りに来ていたのは、
朝市通りで
造り酒屋を営む日吉さん夫婦。
○日吉酒造店
日吉 智さん(49)
「片付けはまだ全然手つかず状態」
○櫻井
「手つかずですか」
○日吉酒造店
日吉 智さん(49)
「はい」
地震で、酒蔵もめちゃくちゃに。
○日吉酒造店
日吉 智さん(49)
「(再開は)2~3年は
無理なんじゃないかなと思います」
○櫻井
「そうですか」
○日吉酒造店
妻・童子さん(45)
「本当言うと、こっちで
家のそばにいたいんですよね。
だから早く仮設住宅が建つといいなと」
そして、地震の影響は
輪島の伝統工芸にも…。
○櫻井
「ここはまさに商店街ですか?」
○輪島塗職人
桐本 滉平さん(31)
「本町商店街と言いまして
生活するための
すべてのものがそろっていて
午前中だけはここに朝市の屋台が並びます」
生まれ育った町を
案内してくれたのは、
輪島塗職人の桐本滉平さん。
ここ朝市通りに、
住宅を兼ねた輪島塗の工房を
構えていました。
○櫻井
「お店はどちらに?」
○輪島塗職人
桐本 滉平さん(31)
「ここから100メートルくらい
先にあって
今もう跡形もなくなくなっていて
がれきだけが残っている状況」
○櫻井
「焼けてしまって?」
○輪島塗職人
桐本 滉平さん(31)
「そうですね」
自宅にあった
輪島塗の道具や販売予定の作品も
すべて燃えてしまったといいます。
○輪島塗職人
桐本 滉平さん(31)
「材料は買えばなんとかなるけど
制作してきたものにかける時間が
失われたような感覚は
一番喪失感としては大きい」
今も職人仲間2人の
安否がわかっていないといいます。
現在、
染め織物職人の妻・萌寧さんと
トレーラーハウスで生活している桐本さん。
目指すのは、輪島塗の再建です。
○櫻井
「これからのためのものとなる
仕事道具は今どうしてるんですか?」
○輪島塗職人
桐本 滉平さん(31)
「福井県の知り合いが
同じ職人の仲間なんですけど
全国から
道具の寄付を募ってくれていて
職人たちに分配するという
計画を今しています」
見せてくれたのは、
福井県に住む漆芸家仲間が
提供してくれた道具。
○輪島塗職人
桐本 滉平さん(31)
「『ひとまず桐本くんが
できるだけ早く
仕事を始められるように
最低限のものは
持って行っていい』と
おっしゃられて」
道具を失った輪島塗職人のために
支援は広がり続けているといいます。
○輪島塗職人
桐本 滉平さん(31)
「我々はものを作れるので、
あとは材料があれば
自分たちの知識はここにあるので
もう一回知恵を絞って
再建したいなと思ってます」
○染め織物職人
妻・萌寧さん(27)
「手を動かすのみだと思うので
本当に大丈夫、大丈夫です」
桐本さんを突き動かす思い―。
○櫻井
「もの作りそのものが
別の場所でできたとしても
ここでやることに思いがある?」
○輪島塗職人
桐本 滉平さん(31)
「輪島のみなさんの
心のよりどころは本町商店街にある。
「輪島朝市が
このままなくなることが
1番悲しいことなので
必ずまたここで
いろんな営みが復活することは誓いたい」