• プライチ

#200 原発事故13年 廃炉に大きな壁

2024.03.04

今回はこちらの映像から。



これは東京電力・福島第一原発の
“ある場所”を示しているんです。
この映像から
原発の“廃炉”に向けた作業の見通しが
立っていない現状が新たにわかりました。
 

40年で終わらせるとした
原発の廃炉作業は
3分の1にさしかかろうとする今、
その難しさの現実に直面しています。

いったいどういうことなのか。
事故によって原発の炉心を
冷やすことができなくなったことで
核燃料が溶け落ち、
堆積した“燃料デブリ”。

線量が高く危険で、
推定880トンといわれる
このデブリを取り出せるかどうかが
廃炉作業の「本丸」といわれています。

計画では、
デブリの取り出しは
2号機から行いますが、
元々、作業用に作られた
60センチほどの穴に
ロボットアームを通し、
少しずつ取り出すというもの。
しかし問題はこちら、
2023年、私が原発の内部で取材した
この穴にありました。

大きな事故を免れた5号機。
2号機とほぼ同型です。
そこで見たのは。

○東京電力の担当者
「あのレールがご覧いただけます。
 こちらが格納容器の外側と内側をつなぐ
 貫通孔になっています。
 穴からロボットアームと呼ばれる
 デブリの取り出しの装置を
 挿入していくという形になります」


 

この取り出し方法を
事故が起きた2号機で
進めようとしましたが、
この「X-6ペネ」と呼ばれる穴で
問題が起きているんです。

今回、入手した3Dスキャンデータを
私たちは映像化しました。
格納容器の外側から穴をのぞいてみると…
入口から入ってすぐのところ、画面手前に、
何かが堆積しているのがわかります。



その少し奥には、
ケーブルのようなものも確認できます。
今は穴の上のほうから見ているので
出口も見通せていますが

これを横、つまり断面にしてみると。

この緑色に塗った部分などに
何かが詰まっているというんです。

実際の入口が、こちら。
2023年の秋にフタを開けてみたら
このようにびっしり何かが詰まっていて、
ロボットアームが通れない状態でした。

では、何が詰まっているのか。
ウランを含む
鉄を主成分とした物だというのは
わかっているんですが、
原子力規制委員会は、
「一体なにがどのように
 あそこまで詰まったのか分からない」
としています。
東電はこの詰まりを
簡単に取り除くことはできず、
デブリ取り出しの作業が遅れているんです。

今のところ廃炉の時期を
変えるという話は出ていません。
また、東電は廃炉を終えた時点で
この場所がどうなっているかも明言していません。


ただ、廃炉を担当する政府の関係者は
「(原発を)更地にするのは難しい」
また、ある専門家は、
「少なくとも(原子炉の)
 下半分は固めるしかない」
との見方を示していました。

今も福島県では人が住むことが
制限されている場所があります。
事故からまもなく13年ですが、
改めて廃炉の難しさが
浮き彫りになった形です。

 

こちらの記事もオススメ!