#038 特定抗争指定暴力団とは
暴力団の対立抗争に、私たち民間人が巻き込まれないようにと、
新たな動きが出ています。
そこで今夜のプライチはこちら
「抗争激化…暴力団の規制強化へ」
国内最大の指定暴力団「六代目山口組」と、
そこから分裂した「神戸山口組」。
現在、6つの府県の公安委員会が
この暴力団の抗争に歯止めをかけようと新たな強い規制を検討しています。
それが、「特定抗争指定暴力団」というものです。
のちほど詳しく説明しますが、
規制を強める大きな理由の一つは、抗争の激化で
一般市民の生命や身体に重大な危害が加わるおそれがあるからです。
最近のニュースでも…
兵庫県、尼崎市の繁華街では
11月27日に暴力団幹部が自動小銃で撃たれ殺害される事件が発生。
逮捕されたのは、元「六代目山口組」系の暴力団員で
死亡したのは「神戸山口組」の幹部でした。
2つの組の抗争は2015年以降121件も起きています。
振り返ると、昭和の日本では「史上最悪の抗争」とされる
山口組と一和会の「山一抗争」があり、死者は少なくとも25人、
「一般市民」も巻き添えとなり70人が負傷しました。
平成の時代になっても2007年には佐賀県の病院で、
一般の男性が全く別人の暴力団関係者と間違えられ、
射殺されるという事件が発生。
これも背景には暴力団同士の抗争がありました。
そこで、2012年。
一般市民が巻き込まれる危険がある抗争に歯止めをかけようと
新しく設けられたのが、「特定抗争指定暴力団」です。
これに指定されるとどうなるのでしょうか?
「警戒区域」と呼ばれるエリアの中で
これらのことが禁止されます。
①組員5人以上で集まること
②自分の組の事務所に立ち入ること
③相手の組員につきまとうこと
④相手の組員の自宅付近でうろつくこと
もし、違反すれば警察官が逮捕することができます。
暴力団に詳しいジャーナリスト、溝口敦さんに伺ったところ、
「“5人集まると逮捕”は移動の自由を奪われるので
暴力団の上層部は特に嫌がる」
「指定されたことで実際に下火になり終結した抗争がある」
ということで、暴力団にとってはかなり厳しい規制となります。
そこで12月23日、兵庫と大阪などの公安委員会は、
2つの暴力団から「意見」を聞く場を設けました。
しかし、兵庫では「六代目山口組」の関係者は
姿を見せませんでした。
一方で大阪では「神戸山口組」の幹部が出席。
「組の事務所と住居が一緒の場合は、
住居への立ち入りを認めてほしい」と主張しました。
兵庫、大阪の公安委員会は年明けにも
2つの暴力団を「特定抗争指定暴力団」に指定する方針です。