♯1 持ち運べる家 作れるか!?2010/12/5
太一が考えた憧れのマイホーム。それは“持ち運べる家"。 目を付けたのは、1970年代、夜店や駄菓子屋で売られ大ヒットした、昔懐かしい「水に入れるとふくらむオモチャ」。 水に入れると大きくふくらんで、取り出すと元に戻る不思議な仕組み。 この原理を利用して、住む時は大きく、出かけるときは小さくして“持ち運べる家"を作れるのでは? まずは、「ふくらむオモチャ」の構造を知るため、太一と城島は、これまで何度もお世話になった台東区蔵前にある老舗玩具問屋・柴崎商店を訪ねる。 しかし、かつて日本で作られていたオモチャのほとんどが、今は海外製で、原料や作り方のことはわからないという。 |
そこでこのオモチャの成分分析を行なうため2人が訪れたのは、岡山県倉敷市の化学素材メーカー・クラレ。 まず30倍の顕微鏡で、このオモチャを覗いてみると、表面に青い物質と白い粒状の2つの成分を確認。 さらに分析をすすめると青い物質は“風船より柔らかいゴム成分"、白い粒は“吸水ポリマー"であることが判明。 早速これらの材料を調達へ! |
吸水ポリマーを求めて、太一が訪れたのは、紙オムツ「パンパース」を製造する兵庫県のP&G明石工場。 ここではオムツの吸水部分に使われる吸水ポリマーの構造を拝見。元々、粉状2gの吸水ポリマーが、70mlの水分を吸収して大きく膨れ上がった。 これで持ち運べる家の材料の一つは決定! オムツの吸水ポリマーをゲット! |
風船より柔らかいゴムの調達は、城島。 まずは、巨大バルーンみよちゃん作りでも使ったゴム風船を基準とするため、ゴム専用の硬度計で柔らかさを計測。 結果、ゴム風船の硬度は30度だった。 これより柔らかい30度以下のゴムを探して、訪ねたのは大阪にあるゴムやプラスチック製品製造会社のあけぼの化成。 こちらで扱うゴム素材“熱可塑性エラストマー"は、熱を加えれば容易に軟化するのが特徴。そして、その硬度は6度。 このしっかり伸びるゴム素材を、持ち運べる家作りの材料として頂く。 |
「持ち運べる家の材料が揃ったが、どんな配合が一番良いか? 配合を「ゴム多め」、「ゴムと吸水ポリマー同量」、「吸水ポリマー多め」の3種類で試した結果、同量のものだけが、大きくなった。 この配合で早速、組み立て。 ふくらむ前の太一の家は、幅80cm、高さ70cm、重さ約120kg。 室内に城島作のソファ、入口の壁に太一の表札も設置して完成! さらに、水にもこだわって、不純物が含まれていない純水をプールいっぱいに溜めこんだ。あとは水に入れるだけ! |
さっそく、完成した家をプールまで慎重に運ぶ。 プールの縁からゆっくり投げ入れると、家はプールの真ん中へ。 太一「ふくらむまでどのくらいかかるんだろう。楽しみ」 そして、1週間後。予想は縦横240cm、高さ210cm。 いざ、披露! と、家はふくらむというより、変形し、水面から屋根が顔を出す程度。 表面も少し硬く、ブヨブヨした感触。 クラレの尾下さんに聞いたところ、水温が低いことと、成長過程で分離したゴム成分が水を汚していたことが原因。 そこで2人はプール掃除、工事作業用のパイプヒーターを設置して、水温を高く保つよう改善した。これで大きくふくらむはず! 太一の“持ち運べる家"は、まだ成長中!乞うご期待! |