工房日誌

リストラロボットは再就職できるのか!? 球道くん2011/8/7

日々、進化するロボット達の中にも、使命を終え、行き場を失うものも数多く存在する。そこで、そんなロボットの能力を活かし、再び働くロボットとして再生できるか!?
今回、太一がガレージに引き取ったのは、1台のピッチングマシン。
その名も、パーフェクトモーション“球道くん"。
太一「最初は君だ!」
彼と出会ったのは、神奈川県大和市のバッティングセンター『ビッグバン』。
最新式のバーチャルマシンが活躍する片隅で13年間、眠っていた。
それは、マシンと連動して人形が投球フォームを再現するピッチングマシン。
かつて全国のバッティングセンターで人気を博したが、製造休止となった。
まずは達也と共に、球道くんの再就職先を探すべく、彼の特徴を研究。
球道くんの投げる直球は、MAX120km。
ピッチは5秒間隔で、モーターを動力としてギアが回転、それと共に鋼鉄のバネが伸び、投球の瞬間、解放される仕組み。
そこで、太一が再就職先として考えたのが、回転寿司店。
藤沢市内の寿司店『廻鮮寿司処タフ』では、人の5倍のスピードで、適度なシャリを握る寿司ロボット(シャリロボ)が活躍。
ならば、球道くんには投球の動きを活かして、ネタをのせる工程ができるはず。
さっそくアームの先に、ネタを置くスプーン状の金具を取り付け、ネタがシャリに程よい力加減でのるよう、バネの弾きは最小限に調整。
そして、スピードが要求される回転寿司店で、“寿司ロボ"として実践訓練。
しかし、メンコのようにシャリをひっくり返してしまう程のパワー。
寿司職人のような繊細な仕事は不向きと判断し、今度は、その強く振り下ろす動きを活かせる、“麺の湯切り"に可能性を託す。
職場候補は同じく藤沢、『らーめん のとやま』。
こちらのラーメンは手早く作るのが命、湯は一振りで切らなければ。
バネは緩めた状態のまま、アームを湯切り用のテボをセットできるよう改造。
そして2度目の登板は、パワフルな一振りで、見事な一発湯切り!
だが、湯切りの湯があたり一面に飛び散り、衛生面の問題もあって不採用。
ならば、そのパワーも連続運動が可能なタフネスも存分に活かせる現場か。
達也「餅をつこう!」
さっそく、アームの先端に杵を取り付け、餅つき動作の実験。
だが、球道くんのアームは構造上、臼に振り下ろした杵が戻らない。
ならば、関節の付いたアームに改造、回転させようと試みるも、今度は自慢のパワーが、関節を付けたことで弱まる結果に。
そこで、問題を解決するべく機械のプロ集団に相談。
東京大田区の『株式会社 城南』は、あらゆる機械の設計、製作を手掛ける。
こちらの荒岡さんが導き出した解決策は、アームの支点を1つ増やし、回転運動を往復運動に変える“てこクランク機構"をつくること。
それで、加える力は一定でも、行ったり来たりの運動が可能となる。
腕の部分は新たにアルミ板を加工して制作、てこクランク機構を施し、特製の杵を持たせて、餅つきロボット“球道くんハイパー"が完成。
再度、就職試験に臨むべく、やってきたのは大田区の老舗和菓子店『餅甚(もちじん)』。
ここにも、伝統の味を守る有能な餅つきロボットがいた。
重い杵が上下に生地をつきあげ、20分で400個分以上を量産する。
餅つきは、冷めないうちに早いテンポでつくのがポイント。
だが3度目の登板、球道くんの餅つきのテンポは明らかに遅い…。
パワーは充分だが、作業速度が遅いため、残念ながらここでも不採用。
ならば、杵を竿に替えて、“一本釣り"ならパワフルな上下運動を活かせるか。
ヒットしたら長竿を一気に引き上げ、繰り返すのがカツオ一本釣り。
今度は、前へ振り下ろすのとは逆に、引き上げる時に加速する動きが重要。
それには、関節のセット位置を変更、腕の回転部分のタイミングを変えることで、力も速さも、後ろへ戻す時にアップするように改良。
さっそく、千葉県九十九里町の釣り堀『海釣りセンター』で一本釣りを試す。
一本釣りロボ“球道くんハイパーU"として、4度目の登板。
対するは、真鯛やブリなど、カツオの練習には、まずまずの相手。
操作は太一が担当、達也が釣った魚をキャッチする。
と、仕掛けを沈めて1分、初めて鯛が掛かるも、餌が外れて見逃し…。
そして、2度目のヒットで引き上げ成功、2.1kgの鯛を釣り上げた!
数日後、真夏の駿河湾沖で、球道くんは海の男達に混じり、黒潮で上るカツオの群れを追って、見事3.2kgのカツオを釣って見せた!
自信がついた彼は、違う職場も積極的に見つけたらしい。
その活躍を受け、ガレージには、彼に続くロボット達の姿が…。
次は一体、どんなロボットが再就職を果たすのか!?

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