東日本大震災から、もうすぐ5年を迎えます。
首都直下地震や南海トラフ地震など、必ず来るとされる次の災害から子供を守りたい。そう思っても、何から準備したら良いのでしょうか。
子供が1人の時に災害にあったら、親として何ができるのでしょうか。
意外と分からないこともありますね。
3・11を前に、ママモコモメンバーでは、防災士でもある木原実さんに、
「子供の命を守る防災術」を、じっくり伺いました。シリーズでお届けします。
第一回は、『災害が起こる”前”に必要なこと』です。
岸田
本日は、よろしくお願いいたします。
まずは、地震が来た、ぐらっと揺れた、その時、子供を守るためには一番に、何が必要でしょうか
木原
ぐらっと揺れて考える・・・実はそれでは遅いんです。
一同
遅い?(オドロキ)
木原
地震対策というのは、9割以上は、地震が来る「前」にやるべきことです。
岸田
地震が来る「前」、つまり今ですね!では、今やるべきことは何でしょうか?
木原
最優先は、「家の耐震性能チェック」と、「家具の転倒防止」です。
『家の耐震は大丈夫?』
木原
1981年に新たな建築基準が発効していますから、その前に建築許可を受けた建物は、地震に対して弱い可能性があるんです。
だから、耐震診断をし、補強することが、一番に急がれます。
岸田
なるほど。まずは1981年以前の建物なのか、以降なのか、確認が必要ですね。
でも、補強にはお金がかかりますが―?
木原
耐震診断については、どの行政も、ほぼ無料でできます。
ただ補強については、補助が少ないから、負担は大きくなります。
でも、家が全壊してから建て直すのには、何千万円もかかるかもしれない。
「地震の後も住める家を子供に残せる」と考えれば、相当の節約になります。
地震は必ず来ますから。
『家具はしっかり固定しよう!』
岸田
それから、家具の固定ですね。
木原
直下型は非常に揺れが大きいので、家具が「飛んでくる」感じになります。
ハイハイしてる赤ちゃんなんか、とっさに避けられませんから、テレビ台はもちろん、乗ってるテレビも固定しないといけない。
食器棚とか、冷蔵庫も固定しましょう。
岸田
突っ張り棒を使ったりしますが、時々チェックするのも大事ですよね。
木原
大事です。突っ張り棒も、長い時間がたつと、少し緩むんです。
転倒防止で言うと、一番いいのは、L字金具です。ただ、どこにネジを打つかも重要で、石膏ボードだけだと効かないんです。
奥に柱があるところを打つ。業者や、行政が相談にのってくれますよ。
『保存食3日分で、10日間を乗り切る』
岸田
食料などは、どう備えればいいですか。
木原
半年とか1年とかもつレトルト食品などを、古い順に並べるといいですね。
古い順に、レトルトのカレーなんかを、たまに家族で食べたら、またその分を買っておく。
岸田
何日分必要ですか?
木原
保存食は、家族が食べる3日分で十分です。あとは家庭にある食料を食べるとして、あわせて10日分は必要ですね。
岸田
最初は、冷蔵庫のものから食べるんですね。
木原
冷蔵庫と、冷凍庫のものが溶けますから、まずは生鮮食料品から使います。
シャケの切り身があったら、とりあえず焼きますと、少し日持ちします。
カセットコンロがあればいいですね。ボンベは6本は備蓄があるといい。
冷凍食品も、冷蔵庫に移すと、停電しても保冷剤代わりにもなります。
一同
なるほど~。
木原
温めずに食べられる(冷凍の)コロッケなんかあれば、すぐおかずになりますね。
瓶詰めの佃煮や、缶詰も便利です。
あとはスパゲッティとかマカロニ、缶詰なんかもありますよね。
それらをあわせて10日分。あと、一番大事なのは水ですね。水は1人1日3リットルを3日分★
岸田
小さな赤ちゃんがいるご家庭では、何が必要ですか?
木原
医者に行けなくなりますから、普段から必要なお薬は用意しておきましょう。
あとは、工場の生産もしばらく止まることを考えて、オムツ、ミルク、ほ乳瓶も、多めに備蓄しておいたほうがいいでしょう
★木原さんが提案
災害時も美味しく食べられる保存食メニュー
ここで、木原さんが提案する、保存食メニューをご紹介します!
- 『そうめんでパスタ風』
- 1. そうめんを折り、最小限の水でゆでる
- 2. ゆであがったそうめんに、ツナ缶、マヨネーズを加える
- 3. 乾燥パセリを散らして完成
- 『ホットケーキミックスサンド』
- 1. ホットケーキミックスに水を入れて焼く
卵や牛乳がなければ、水でOK - 2. レタス、チーズなど、使えるものをはさんでサンドイッチに
- 『泥水を使って!?カレーも』
- 1. ポリ袋に、お米と水を入れ、空気を抜く。
- 2. 別のポリ袋に、ジャガイモ、タマネギ、カレールー、水を入れ空気を抜く
- 3. 2つのポリ袋を大きな鍋に入れる。煮るのは飲めない水でもOK
※鍋とコンロさえあれば、最小限の水で繰り返し使える手法です!
木原
防災をランク別に言うと、実は、家屋や家具の固定はBランク。
Cランクが食料や水、避難所生活です
岸田
Aランクは?
木原
死なないことです
岸田
死なないこと。そのとおりですね。
きょうは、災害が発生する「前」を中心に防災術を伺いましたが、次回は死なないための知恵について、詳しく教えてください。
本日はみなさん、どうもありがとうございました。
- 1. 1981年以前の建物かどうかチェック!古い場合は耐震補強を
- 2. テレビ・棚など、家具はすべて固定しよう!
- 3. 3日分の保存食、水、カセットコンロを常備しよう!