ネパール辺境の地ムスタン。降雨量は日本の約十分の一、風速20m前後の強風が1年中吹き荒れるこの不毛の大地で16年にわたりボランティアを続ける日本人がいる。近藤亨86歳。故郷の家や土地を処分して資金を作りNGO団体を設立。ムスタンに移住し、農業技術指導や学校建設を続けてきた。その後、世界最高地での水稲栽培に成功。教育機会の少ない子供達のために建てた学校は17校を数える。そんな近藤が一昨年、がんの病に倒れた…。86歳という高齢をものともせず、命を削るように挑み続ける、その闘志の足跡を追った12年の記録。
ナレーター:苅谷俊介 制作:テレビ新潟 08/5/18放送
優秀賞福岡市で暮らす越智俊二さん(61)。建築資材を扱う会社の営業課長だった47歳の時「若年性認知症」を発症。最初の症状は、毎朝通っていた職場への道順がわからなくなったこと。次第に仕事の手順や内容を忘れ、同僚や取り引き先とのトラブルが頻発。52歳で退職した。俊二さんの記憶は今、急速に失われている。歯の磨き方、ひげ剃りの仕方、そして娘や妻の名前も…。妻は夫に語りかける。「忘れてもいいんですよ」それは病気を真正面から受け止め、前向きに生きる妻・須美子さん(55)の決意でもあった。
ナレーター:小山茉美 制作/福岡放送 08/10/12
奨励賞「最期は家で迎えたい…」死を間近に控えた老婆はそう願っていた。カメラは若き医師と家族とともに“その時”に立ち会った。長野県にある村営野辺山へき地診療所を受け持つ田辺哲医師(34)。陽気で気さくな“へき地のお医者さん”は午前中の診察が終わると、午後は自宅療養をするお年寄りの元へ…。最新の医療機器はここにはない。検査や入院の勧めから飲む焼酎の量まで、田辺医師の判断が生死を分けることにつながる。佐久総合病院の故・若月俊一医師がかつて全国に知らしめた「農民医療」。その1年を追った。生きるって、なんだろう?
ナレーター:小山茉美 制作/テレビ信州 08/2/10
奨励賞小さな携帯電話にのめりこむ17歳の少女2人。カラオケボックスでは手にマイクと携帯を持ち、歌いながらメールをする。2人に会話は無く、部屋に響くのは絶えず鳴るメールの呼び出し音…。脳科学の専門家に依頼し携帯電話使用時の脳内の活性度を調べると、明らかに少女の脳は沈静化していた。携帯電話に触れることで幸せを感じ、それ以外が不幸せに感じるのであれば、依存傾向に陥る危険性があるという。ネット世界でエスカレートする、大人が知らない若者の姿を見つめる。
ナレーター:磯部 弘 制作/テレビ信州 08/11/30