STORY

第2話
2024.07.20 OA

“名もなき遺体”に残されたわずかな手掛かりから身元を特定し、家族のもとに帰すことが仕事の『警視庁身元不明人相談室』。捜査官の三田みたさくら(小芝風花)と月本つきもとまこと(大島優子)は、性格も趣味もまるで正反対の年の差バディ。そんな2人が新たに向き合う身元不明人は犯罪者……!?

都内のアパートの一室で見つかった身元不明のご遺体。推定70歳から80歳の男性で、死因はくも膜下出血。アパートの大家によると、男は先代の大家の頃から40年も住み続けている古い住人。当時の賃貸契約書も残っていないため、『綾部雪雄』という名前しか知らないという。身元がわかる所持品も何一つ見当たらない。しかし、部屋に唯一残されていたボストンバッグの中には、4000万円もの大金が入っていた……!
雪雄(片岡鶴太郎)は日雇いの仕事で食いつないでいたようで、詳しい勤務先は不明。大家が把握しているのは、13年前の震災直後に半年間、福島県で住み込みの仕事をしていたことぐらい。近隣住民との交流もほとんどなく、八百屋で野菜のくずをもらう雪雄のことをホームレスだと勘違いしていた者もいて……。

そんな質素な暮らしぶりの老人がなぜ大金を所持していたのか?お金の出どころを巡って桜と真の意見が真っ向から対立。「何かの犯罪行為で手に入れたお金では?」と疑う真は、手掛かりを求めて福島へ向かうが、そこで捜査一課の手嶋(阿部亮平)とバッタリ鉢合わせ。実は真と手嶋には、福島に特別な思い入れがあり……。
一方の桜は「お金は必死に貯めたものだと思う」と老人の潔白を信じて捜査を続けるが、『綾部雪雄』の名が偽名だったことが判明……!さらに、半年前に起きた宝石店強盗事件との接点も見つかって……。

質素な暮らしをしていた老人が大金を持っていたワケは!?遺族はどこに!?老人の、思い続けた40年の年月に涙があふれる第2話!!

以下、ネタバレを含みます。

街の防犯カメラの映像に、雪雄と強盗事件の容疑者・松平(鈴之助)が話し込む姿が映っていた。13年前に福島で雪雄と一緒に働いていた松平は、捜査一課の取り調べに対し、数日前に雪雄から突然連絡がきて13年ぶりに会ったと供述。そのとき雪雄から「ある場所に荷物を運んでほしい」と頼まれたが、翌日、待ち合わせの場所に雪雄は現れなかったという。松平が言うには、雪雄は福島で働いていたとき、作業の合間や寝る前にこっそり写真を眺めるのが日課だったらしい……。

雪雄が大切にしていたその写真は、アパートの部屋の隅から見つかった。写っているのは5歳くらいの少年で、日付は40年前……。桜たちは、写真に写り込んでいる鉄道と、雪雄の偽名と同じ“綾部”という地名を頼りに少年の身元を突き止め、現在45歳になるその男・藤代秋信(萩原聖人)に雪雄の遺体写真を見せる。すると秋信は「父だと思います」――。
秋信の話では、雪雄の本名は坂下雪雄。40年前、事業に失敗して借金をつくり、家族を捨てて出て行った。借金の連帯保証人だった秋信の母は必死に働き、やがて再婚相手の援助もあって借金を全て返済したという。「もうこの男とは、何の関係もありません」と雪雄を拒絶する秋信。しかし、雪雄の4000万円は秋信にも相続する権利がある。実は秋信の幼い息子・春樹は重い病気を患い、今はその手術費用のために全国に寄付を募っている最中。お金なら、喉から手が出るほど欲しいのだが……。「坂下雪雄さんは、ある犯罪に関与している可能性があります」と真が疑惑を正直に伝えると、秋信は「そんな金、1円たりとも受け取るわけにはいきません」と突っぱねて……。
「なんであんなこと言ったの?」――桜は雪雄を犯罪者扱いした真に食ってかかる。真も「隠しておいて、あとでわかった方がよかった?」と譲らない。バチバチの2人は、いつものスパーリングで鬱憤を晴らす……。

強盗事件の捜査が進展し、雪雄は無関係だったことが判明。さらに、雪雄と親しかった河川敷のホームレスの証言により、4000万円は雪雄が必死に稼いで貯めたお金であることがわかった。……家族を捨てたことを後悔し、自分を責め続けた雪雄は、未練を断ち切るために名前を変えながらも、いつか息子の役に立つ時が来ると信じて、40年間、ぜいたくは一切せずにお金を貯め続けたという。そして最近、ニュースで秋信と春樹のことを知り、松平に頼んでお金を届けてもらおうとしたのだ。無念にもその直前で命を落としてしまったが、40年間、息子のためにお金を貯めることが雪雄の生きがいだった……。「雪雄さんは、あなたに生かされてきたんです」――桜から雪雄の思いを聞かされた秋信は「そんな金なんかより、少しでも一緒にいてほしかった、ただそれだけなのに……」。ずっと押し殺してきた本心を吐き出すと、「遺骨は、引き取らせていただきます。お金は、春樹の治療費に充てて、あとは寄付します」。そして子どもの頃、雪雄と一緒に近所の綾部川で釣りをした日々を思い出し、「もう一度、一緒に釣りがしたかったよ……」と涙を流すのだった……。

翌日の昼休み――。桜は雪雄の報告書に『坂下雪雄』の名を書き込むと、弁当を2つ持って外へ出ていく。いつもなら脇目もふらずに食べ始めるのに……と首をかしげる一同に、真は「最後くらい、おいしいものを食べさせてあげたいんじゃないですか?」――。 そこは、雪雄がよく訪れていた河川敷。どことなく綾部川に似て穏かだ。桜はベンチに座って弁当を広げると、「いただきます」。笑顔で頬張る桜。その横で、もう1つのお弁当を、雪雄が食べてくれている気がして……。

その日の帰り。桜はいつもの霊園に立ち寄り、名前のない墓石に手を合わせる。「早くわかるといいね、あなたの名前も」――。そこに眠っているのは、一体……!?