式根に接見した拓と楓は本人が再審請求を望んでいないことを知る。自らも事件で妻を亡くし、裁判でも散々希望をくじかれてきた式根は、希望を持つことが却って苦しいのだと話す。
塩原弁護士が残した大量の資料を頼りに事件を調べる拓と楓、
さらに拓たちは式根の一人娘・
そんな中、楓は事件が起きたパーティーの直前、当時子供だった玲子が泣いている女の子・
再審請求に向けて希望の光が見えてきた中、拓と楓は再び式根に接見する。前回とは違い穏やかに微笑み再審請求に同意する式根に安堵する楓だが、拓は式根の様子に異変を感じていた……。一方マスコミの報道によって風化していた事件が再び関心を集めたことで事務所のメンバーは手応えを感じる。そんな中、突然事務所を訪れた玲子が聡子を平手打ちする!事件が蒸し返されたことで再びマスコミに追いかけられることになった玲子は、中途半端な正義感で人の人生を振り回すな、と聡子を責める。
その夜、落ち込む聡子は秋保を呼び出し、マスコミの人間として抱える葛藤を吐き出す。立場は違いながらも聡子の想いや熱意を汲む秋保に救われる聡子。だが、その頃式根が刑務所内で倒れてしまう……!医療刑務所に駆けつけた拓と楓を待っていたのは記憶が混濁した状態の式根。長年の拘置所暮らしで精神的に疲弊し妄想や過去の記憶に囚われる“拘禁反応”が出てしまった式根を前に、拓は悔しさから激しい憤りを覚える。
翌日、拓は聡子宛に式根から届いたという手紙を受け取る。それは、拘禁反応が出る前の式根から、正式に拓に再審請求のための弁護を依頼するものだった。拓たちは再審請求に向け、より確実な証拠を手に入れるため力を合わせる。過去の資料を洗い直していた楓は、聡子と式根がやりとりしていた手紙の中に『沼地にお化けが出る』という噂について書かれていることが気になる。式根の手紙によると、毒物の瓶が捨てられていた沼地には「沼の上に大きな影が浮かび、それを見ると死んでしまう」という噂があったという。楓は塩原弁護士のメモにあった、事件の日に女の子が「もうすぐ死ぬと言いながら泣いていた」という記述を思い出す。楓の言葉に拓は何かを閃く……!!
そして、拓と楓は玲子を連れて秋保の大学へ。そこで待っていたのは、事件の日に泣いていた玲子の同級生・由美(酒井美紀)。状況を飲み込めない玲子と由美を、拓は簡易的に沼を再現するために床に水の張ってある実験場に案内する。一同が簡易型沼の前に立つと、左右から霧のように水蒸気が発生し、照明が落とされる。拓たちが由美一人を残してその場を去ると、その瞬間、由美の背後でライトが点灯。驚いた由美が振り向くと、そこにはなんと沼の真ん中に虹のような光を纏った巨大な人影が現れる!!
驚いた由美はその場に尻餅をつき、同時に沼の人影も消える。拓は、由美に事件のあった日にも同じものを見たのではないかと問う。秋保は、この現象は『ブロッケン現象』といい、ある気象条件を満たすと霧に映った観測者の影に後光がさしたような虹色の像を作るのだ、と説明。実は事件のあった日、毒物の廃棄された沼地ではこの現象を生む条件が揃っていた時間帯があった。拓に詰め寄られた由美は、事件当日に母親に頼まれて毒物の瓶を沼地に捨てに行ったことを告白する!!当時、由美の家では会社をリストラされイトエ電機の工場で働き始めた父親が家族に暴力を振るっていた。パーティーの日、母親から瓶を沼地に捨てて来てほしいと頼まれた由美は中身が何であるかも分からぬまま瓶を捨てたのだと話す。暴力を振るう父親を殺すために、母親がパーティーで毒物を使ったと気づいたのは事件からずっと後のことだったと話し玲子に謝る由美。玲子は自分が無実の父・式根を恨んで来た長い時間を前に呆然とする。
そして始まった再審請求審の日。すでに亡くなった母親の代わりに証言台に立った由美が、式根の無実を訴える証言をする。拓は式根と玲子の中では事件は風化せず、ずっと苦しみ続けていると話し、過去の判例に囚われず真実に即した決定が下されるようにと裁判官に訴える。
しかし数日後。拓たちの元に届いたのは再審請求棄却の通知だった……。一同は、「明らかな証拠を新たに発見したと認定できない」という裁判所の通知に愕然とする。そんな中、拘置所の接見室には式根に会いに来た玲子の姿が。冤罪被害によって絆を断たれた父と娘は、アクリル越しに悲しい再会を果たす。そして拓は、今回も過去の判例を覆さなかった裁判所に向け、静かに挑むような視線を向けていた……。