カメラは見た!動物の新発見!
国立極地研究所准教授
野生動物に小型の記録計を取り付ける「バイオロギング」という手法で動物の生態を調べている
![]() | 【生物】 |
~カメラが捉えた動物の生態~
◆カツオクジラは立ち泳ぎをしながら魚を食べていた!
インドシナ半島とマレー半島に囲まれた海域にいるカツオクジラだけ、上アゴを垂直に突き上げ、下アゴを大きく開けたまま口を90度に開き、立ち泳ぎをしながら小魚が口に流れ込むのを待っていることが分かりました。通常のカツオクジラは、口を開けて小魚の群れに突進し、海水ごと飲み込みます。しかし、この海域は酸素の濃度が低いため、魚は酸素を求めて海面付近に集まってくるので、クジラがそれを狙って、しかも体力をなるべく使わないで魚を食べられるような方法を編み出したと考えられています。
◆ペンギンがクラゲを食べる姿に世界中が驚いた!
南極に住む野生のアデリーペンギンに小型カメラをつけて観察してみると、今まで誰も見たことのなかったクラゲを食べているシーンが映っていました。これまでクラゲは栄養価が低いため、ペンギンなどの海洋動物のエサにはなっていないと考えられていましたが、クラゲの内臓部分は比較的栄養価が高く、その部分を狙って食べているのではないかということで、解析が進められています。
◆イッカクは牙で魚を叩いて気絶させていた!
「海のユニコーン」とも呼ばれるイッカクは、1本の非常に長い牙が特徴の北極海に住むクジラの仲間です。長い牙は歯が変形したものですが、長年謎に包まれていた牙の使い方が判明!それは…目の前の魚をめがけて器用に牙を振り、叩いて魚を気絶させ、動けなくなったところで食べるということ。この牙は、上あごにある2本の歯のうちの左の歯が、左巻きにねじれながら伸びたもので、2mくらいになります。基本的にはオスが持っているものですが、メスでも15%くらいの確率でこの牙を持っていることがあります。