12月17日、マンチェスター・ユナイテッド戦に向け最終調整
１２月１７日、マンチェスター・ユナイテッドと準決勝を明日に控えたガンバ大阪が“決戦の地”横浜国際総合競技場で最終調整を行いました。報道陣に公開されたのは冒頭１５分のみでしたが、冷たい雨の中、選手たちは一様に軽快な動きを見せていました。大一番を前に気負いは感じられないほど。アデレード戦で右ひざを痛めたＭＦ二川孝広は別メニュー調整となり、明日の出場は微妙。また、会見には西野朗監督とキャプテンの山口智が出席し、意気込みを語りました。
Ｑ.明日もガンバ大阪らしい攻撃的なスタイルを貫いて戦うのか？
西野朗 監督
「素晴らしい対戦相手ということで、自分たちのチームスタイル、選手個々のプレースタイルを少しでも発揮できれば素晴らしいと思う。そういう時間帯をたくさん持つことにポイントを置いてチャレンジしていきたい。このガンバのスタイルを出せばいいと思う。オフェンシブな部分が期待されているし、それこそが自分たちのスタイルだと思っている。これまでやって来た事がどれだけ通用するかはまだ計りしれないが、次元の違う相手との対戦なので、時間が許す限り臆することなく自分たちのスタイルを出していきたい。コンディションも、１試合やって雰囲気が分かった。悪い状態ではないので全てを出し切るゲームをしたい。」
Ｑ.マンチェスター・ユナイテッドと戦うが、選手たちのムードは？
ＤＦ 山口智
「食事やバスの移動の時にマンチェスター・ユナイテッドの試合を見ることが多い。前はプレミアリーグのゲームを見ても、ただすごいと感じていただけだったが、対戦相手に決まったときから、分析しながら見るようになった。自分たちがどこまで通用するのか興味がある。すごいのは分かっているので、変な先入観を持たずに、アグレッシブに自分たちの持っている力を出し切って、いい結果にしたいと思う。」
Ｑ.世界中の人が、マンチェスター・ユナイテッドが勝つと思っていると思うが？
ＤＦ 山口智
「サッカーは、いいサッカーしても勝てるとは限らない。やる前から相手が勝つとは思っていないし、チャンスはあると思う。決してチャンスは多くないが自分たち次第だと思うので、自分たちのサッカーをして、マンチェスター・ユナイテッドが勝つと思っている人たちを驚かせたい。それがサッカーの醍醐味（だいごみ）。僕自身は勝てないとは思っていないので、強気で臨みたい。」
Ｑ.チャンスを作るためにどのような指示を選手にするのか？
西野朗 監督
「選手には全幅の信頼を置いている。限りなくゼロに近い勝率だが、チャンスはある。わずかなチャンスだとしてもそれを作るイメージ、ゴールへの意識を持ち続けて戦ってほしい。空中にあるボールには誰もプレスを掛けられないわけで、シンプルな攻めでチャンスをいかに作れるかだと思う。シンプルなプレーで、確率は５０％対５０％のボールが、リスタートも含めたチャンスになるかもしれない。パスを１０本つなぐようなガンバのパスサッカーはやらせてもらえないので、有効なボールを全員がどれだけ生かせるか、そういったイメージを常に持ち続けて欲しい。」
Ｑ.「マイアミの奇跡」（アトランタ五輪ブラジル戦での勝利）との共通点はあるか？ファーガソン監督はスコールズ、ギグス、クリスチアーノ・ロナウド、ルーニーをプレーさせると発言したが、どう思うか？
西野朗 監督
「最近「マイアミの奇跡」についての質問はよく聞かれるが、あの時は奇跡とは思っていなかった。自分たちが狙ったことを実践する事が出来て、相手に自由にプレーさせないという確信はあったので、あのネーミングはピンとこない。いまさら言われてもと思っている。ファーガソン監督のことは尊敬しているが、僕も少しはキャリアを積んで今がある。ネクタイをする、しないという話題もあるようだが、するつもりはない。自分のスタイルで臨みたい。スタメンを言ってくれたということは、（１３日の）トットナム戦とは違う布陣で来るという事では。正直に受け止めたいと思いつつも、どういうメンバーでくるかは柔軟に考えたい。素晴らしい選手の軍団なのは変わらないので、明日スタメンが発表されてから考えたい。」
Ｑ.主力選手２人（二川、佐々木）の穴は？先制点を取ることが重要になる？
西野朗 監督
「残念ですね、２人が離脱したのは痛い。二川は戻しましたが、万全でないことは間違いない。今日も別メニューですし、回復を祈って、明日のピッチに立たせたいという気持ちはある。苦しい今シーズンを変えてくれたのは、彼らの力が強かった。固定したメンバーでやれたのも、２人がいたからという部分もある。メンバーはまだ自分の中で固まっていない。今日の練習を見て自分の中で考えたい。選手には（前日に）スタメンを伝えるつもりはない。明日まで待って、コンディションや状況を見て決めたい。先制点は、マンチェスター・ユナイテッド相手ならどのチームだって難しいはず。プレミアリーグを見ても先行されたことはほとんどない。そういう展開に持っていけたら、向こうも本気になるし、そうしたいとは思う。まずは流れに慣れることが１５〜２０分で出来れば素晴らしい。それを強調したスタートにしたい。」
Ｑ.アタッキングサッカーが持ち味だと思うが、選手たちにどのような指示を？
西野朗 監督
「アタッキングサッカーというのは、今シーズンに限っては言葉が一人歩きというか・・・。実戦ではあまり発揮できていないと思っている。試合のコントロールは出来ているものの、ゴールに対するフィニッシュは、４０％以上減っている。それが今シーズン苦しんだ理由でもある選手はそれを分かった上でシーズン後半を戦い、ディフェンシブになる場面や僅差のゲームを勝ってくれた。アタッキングサッカーからは程遠いガンバだったと思う。明日もそういうゲームが目標。選手全員がその意識を持っているが、マンチェスター・ユナイテッド相手に（ボール）ポゼッションを半分取るのは不可能。これは現実的な問題。その中で、常にゴールに対する意識を持ち続けて欲しい。マイボールになった瞬間にボールを動かすだけではなく、相手のゴールへの意欲を持つ。そういうメッセージを送り続けたい。守備でもゴール前にへばりついて、かき出してという戦いはありえない。積極的なディフェンスを前から仕掛け、相手のゴールに近いところで勝負したい。」
Ｑ.明日の試合でサポーターの声援が大きいのはどちらだと思うか？
西野朗 監督
「そのシャツ、素晴らしいですね！（質問者がガンバ大阪のチームカラーと同じ青いシャツ！）。日本には多くのマンチェスター・ユナイテッドファンがいて、彼らが大きな力を与えているのは感じている。ガンバも大阪だけではない。全国にガンバのスタイルに共感してくれるたくさんのサポーターがいるのでスタジアムが少しでも青く染まってくれればうれしい。」
Ｑ.山口選手はどのように守るのが有効だと考えているか？
ＤＦ 山口智
「どんな試合にも言えることだが、どれだけ相手に窮屈さを与えられるかが大事。引いて守るのは簡単だが、相手へのプレッシャーがない。マンチェスター・ユナイテッドは世界一のチームなのでイメージし難いが、今まで自分たちがやってきたかけ引きをしながら、日本語も通じないので（笑）味方同士で話をしながら、楽しんで自分たちのスタイルで戦いたい。Ｊリーグやアジアで戦った時のように、臨機応変に対応出来ればいいと思う。」
Ｑ.ガンバ大阪の名を世界に知らしめられると思うか？
西野朗 監督
「選手にもいつも言っていることだが、われわれはプロであり、常に勝負をしていく集団なのだから、どんな相手でも勝利への信念を持つ事が大事。明日はガンバにとっては素晴らしい試合になる。オフィシャルな大会でマンチェスター・ユナイテッドと戦えるのだから、そこから多くのものをプラスにして勝敗にこだわって戦うスピリットを持って欲しい。自分たちが出場権を勝ち取った大会なので、自分たちで全てをコントロールしたい。ガンバのクラブの総力を挙げてチャレンジしたい。」