12月18日、マンチェスター・ユナイテッド戦後西野朗監督会見
「対戦相手が素晴らしいと言うのは社交辞令。非常にタフなゲームだった。ガンバの時間帯も作れたし、持っている力も出せたと思います。失点のパターンと、時間帯が非常に残念。本気にさせた中では戦えなかった。ああいうシンプルでスピーディーな流れになると、全く対応出来なかった。3点取れたという事で、ガンバのスタイルは多少は示せたのでは。全体的には残念に思う。やはり勝敗にこだわりたかった。可能性が低くても、そこを追求した戦いだったので、簡単に点を失ったことは非常に残念。選手は、リードされても相手ゴールに対する意識を、最後まで持ち続けて戦ったので、そこは評価はしたい。全体に満足かと言うと、自分はそう感じていない。」
Q.セットプレーからの2失点は、メンタルの問題?5失点は攻撃力の差?
「メンタルではない。守りようがない部分もあった。パス交換を向こうにさせて、ディフェンスからボールを奪えれば、負担は少なかった。縦への動き、速いボールの動きに対し怖がらずに、最終ラインでもプッシュアップしながら、中盤でのディフェンスを考えていた。中盤からシンプルに縦のボールを入れられた時の対応は、弱点ではある。ルーニーには際どいところを取られて、上手く突かれたなと思う。リスタートで取られたのは、確かにどうしようもない部分もある。GKのポジショニングだとかは、数センチ、コンマ何秒の対応が遅れれば、ああいう状況になってしまう。本当に厳しいところでの争いだった。(セットプレーは)われわれのウイークポイントでもある。リスタートなら、オフサイドトラップを使うとか策はあったが、コーナーキックでは仕方ない。ああいう時の対応を、もう少しうまくできればと思う。決してメンタルで押されていたとか、メンタルが弱いとか、そういう失点ではない。」
Q.どういうゲームの入り方を狙っていた?後半はどのような修正を?
「ボールを支配されて、全体がリトリート、引かざるを得ない状況を強いられる中、2トップにしたり、MF遠藤をボランチに下げたり、ルーカスを中盤に変えたりした。全体のフォアチェック、プレッシングを高いラインで設定し、最終ラインも怖がらずにプッシュアップ、プレッシングサッカーを仕掛ける。そして、ボールが奪えれば、早い段階でダイレクト。出来なかったら、遠藤を中心にしっかりボールを動かし両サイドを使う。そこは、非常に良かった。」
「そういうガンバ大阪の戦い方に対し、前半の半分を過ぎたあたりから向こうはサイドチェンジを使い出して、対応出来なくなった。あそこは同じサイドで守りを固くする事をハーフタイムで修正した。スピードアップさせないことを心がけ、例えパスをつながれても全体は押し上げながら、守備をもう一度整備した上で、攻撃に関してはダイレクトに仕掛けようと。後半も遠藤を中心にボールは動いていた。フィニッシュまでに変化をいろいろつけながら、サイド、センターと十分に崩せたのでは。スコアが2−1になって、FWルーニーが入ってかたの対応がもう少しうまく出来れば、ゲームをひっくり返せたかも。あの時間帯に、簡単にフィニッシュを取られたというのが、ポイントだった。それが残念。全体的には、支配率が下がったわけではないし、全ての面でのスピード、考えるスピード、フィジカル的なスピード、そういう速さに対応できなかった部分はある。」
Q.8点も入ったが、この試合から何かをいい面を持ち帰るとするならば?
「記者会見の会場に来る前に、「面白かった」と何人かに言われたが、僕自身は決してそうは思わない。点が入ればおもしろく見えるかもしれないが、ガンバから見たら、逆のスコアならば「面白い」と素直に受け入れられるのかも。真っ向勝負で、ガンバのスタイルを出そうとしたチーム力については評価したい。マンチェスターUに対し、決して臆することなく、自分たちらしい攻撃的なスタイルを選手1人1人が持っていた。あの相手だったら、1点を取ることも難しいはず。アグレッシブな面も持ちながら攻撃的に、多少リスクを背負いながらもスタイルを貫いた。それは求めていた部分なので、いい財産になる。ただし、5失点もしている。与えなくていい失点をした事は、大きな課題が残ったという事。ただ、これがガンバのスタイルだと思う。「面白い」だけで評価されるのは、厳しいと思うが。次は、逆の展開を作れるように、これから頑張って行きたい。」
Q.遠藤をボランチ、橋本を右MFにした狙いとは?
「やはり遠藤はマークが厳しくなる。高い位置になればなるほど、マークが厳しくなると考えた。今日は遠藤にボールを多く集める中での展開、その中心に遠藤を持っていきたかった。相手の前線をクリア出来れば、ボランチのラインでボールをキープし、十分なためができる。切り替えさえ早くすれば、ボールが十分集まるし、そこでの配りが大事と考えた。ミドルやロング(パス)を使う攻撃の起点を、ヤット(遠藤)中心に組み立てたかった。もちろん完全にゲームコントロールが出来るとは思わなかったし、コントロール出来るとすれば、攻守が切り替わった瞬間のラインで。そういった展開が必要だった。」
「橋本に関しては、佐々木がいないので、サイドのディフェンスから縦への活性を求めたかった。ポジションをシフトした中でも、よくやってくれたと思う。狙いはしっかり出来ていたので、簡単にボールを失うというのは、アデレード戦よりは少なかったのでは。ビルドアップは良かった。」