「あの石像は、なぜ作りかけなんですか?」
ボストン美術館に到着してすぐ、入り口の彫刻が完成していないことに気がついた。「美術館に完成はないんです。ボストン美術館は、完成しないでずっと作り続けているという意味が込められているんですよ」と案内してくれた学芸員の方が教えてくれた。
驚いたことにボストン美術館は、過去の名品を収集しているだけではなかった。古代美術から無名の現代作家まで実験的に展示している。
日本美術のコレクションも飛鳥時代の金銅仏から、現代美術作家の奈良美智まで網羅している。明治時代に海を渡った貴重な美術品を秘蔵している「美術のタイムカプセル」なだけではないのだ。企画展も非常に興味深く、訪ねた時は「ヌビア地方(エジプト南部アスワンからスーダン周辺)」の芸術にスポットを当てた展覧会「Ancient Nubia Now(古代ヌビアのいま)」を大々的に開催していた。さらに、館内ではオランダの現代作家でシュルレアリスム的写真を得意とするヘレン・ファン・ミーネの展示をしていた。とにかく企画の切り口の斬新さ、独自の展開に驚いた。
スペシャル
鎌倉時代、13世紀後半
Fenollosa-Weld Collection