数えると40年以上も前になるのだが、早朝生番組の草分けと言っていい「ルンルンあさ6生情報」がスタートし、初代司会者を私がつとめたのは、1983年。日本テレビのプロデューサーは小島敏宏さん、制作プロダクション社長としてスタッフの多くを派遣し、統括したのは、「てなもんや三度笠」「花王名人劇場」などの演出で知られる、大阪・朝日放送出身の澤田隆治さんであった。
毎朝、放送後の反省会で、高知出身の小島さんの土佐弁と、澤田さんの大阪弁が飛び交い、厳しい指摘なのに、漫才のような楽しさ、おおらかさに満ちていた。20代半ばの私は、「テレビ番組は、このようにして出来上がっていくんだ」と、多くのことを学ばせてもらった。
番組初日の反省会だったと思う。澤田さんが部下のディレクターに、「何で君は、井田さんのアップを撮るねん?」と尋ねた。答えを待たず、重ねるように、
「人やない!情報や!」
朝6時、一日のスタートに視聴者が見たいものは、ニュース、天気予報…番組のタイトル通り、生情報である。井田さんが若くてきれいだからといって(これは、澤田さんの発言です)、顔のアップなんか映してる場合やない!後ろのセットのボードに書いてある、情報のラインナップを常に画面に入れておけ!
なるほどなァ、と私は心底納得した。一拍おいて、澤田さんが、
「それにしても、あのボード、安普請やな」
安普請の手作りボードは、今やCGとなり、「Oha!4」では、2人のアナウンサーの横に、写真入りの項目カードが6枚、看板のように並んでいる。「ZIP!」は、アナウンサーやパーソナリティーの後ろに、ニュース、スポーツ、芸能…その日伝える項目の数々が、横書きで天井高く積み重なり、ビュンビュン飛び出してくる。
「人やない!情報や!」は、40年後の現在も、テレビに生きている。