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Vol.2 ボストンは、アメリカ人の心の故郷

2015/12/15

ボストンでは、印刷物やおみやげのパッケージなど、さまざまな場面でティーポットのモチーフに出くわします。これは有名な「ボストン・ティー・パーティ」(日本語では「ボストン茶会事件」)にちなんだデザインです。

スターバックスの看板にも、巨大なヤカンが!

「ボストン・ティー・パーティ」とは、アメリカ独立戦争の引き金となった事件のこと。18世紀後半、イギリスはアメリカの植民地に不当な茶税をかけていました。それに反発したボストン市民が、1773年、インディアンに変装し、ボストン港に停泊していたイギリス東インド会社の船に潜入。積み荷の紅茶342箱、6.8tを海に投げ捨ててしまったのです。この時、現地の人が「彼等はボストン茶会を開いたのさ(They have given a “Boston tea party”)」と冗談を言ったことから、事件は「ボストン・ティー・パーティ」と言われるようになりました。

その後アメリカでは独立の気運が一気に高まり、1775年、ついに独立戦争が勃発。翌1776年7月18日には、「アメリカ独立宣言」が、現在ボストンのダウンタウンに残る旧州議事堂のバルコニーから、高らかに読み上げられたのです。この街が「アメリカ発祥の地」とか「アメリカの心の故郷」と言われるのはこのためです。

今では周囲のビルに埋もれて建つ旧州議事堂
1776年7月18日、このバルコニーから「アメリカ独立宣言」が読み上げられた

ボストンでは、この旧州議事堂をはじめとするアメリカ建国の歴史を「フリーダムトレイル」で観光することができます。これはアメリカ最古の公園「ボストンコモン」を起点とする道路上の赤い線をたどって、さまざまな史跡を巡るコースのこと。約4㎞で16カ所を回ることができるので、ボストンを訪れた際はぜひ全ルート踏破にチャレンジしてみてください。

ボストンの史跡をつなぐ「フリーダムトレイル」のマーク

<プラスワン情報>
アメリカ人が愛飲するコーヒーといえば、浅煎りで薄味の「アメリカン・コーヒー」。これはボストン茶会事件の頃、にっくきイギリス紅茶を飲む代りにコーヒーを薄め、お茶のようにガブ飲みしたことに由来するそうです。

木谷節子 プロフィール

アートライター。現在「婦人公論」「SODA」「Bunkamura magazine」などでアート情報を執筆。
アートムックの執筆のほか、最近では美術講座の講師もつとめる。

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