爆発した原発の廃炉は、通常の廃炉より格段に難しい。今も福島第一では溶けた核燃料がどうなっているか全く分からない。しかも廃炉にあたるのは3次、4次、5次下請けなどの原発関連の作業経験が少ない人が多い。被曝線量がオーバーすると働けなくなり、また新たな人が補填される。これでは想定の30〜40年で廃炉を完了できるとは思えない。核大国・旧ソ連がチェルノブイリ収束の為に取った対応と比較して、今の日本はどうなのか?一番の違いは姿勢だ。チェルノブイリには廃炉・除染の作業員を養成する訓練センターが作られた。廃炉に手練れを、という戦略だ。日本は今の形のままでいいのか?福島とチェルノブイリの大きな違いをつまびらかにし、日本が取るべき正しい道筋を探りたい。
ナレーター:あおい洋一郎 制作/日本テレビ 2013/10/27放送
優秀賞「どうやって赤ちゃんは生まれてくるの?」つい大人が逃げてしまいがちな子どもへの「性教育」。現在、小中学校の性教育では「セックス」や「避妊」には触れない。10年程前、一部の学校の性教育が過激だとして国会で問題になったからだ。一方で、子ども達を襲う性情報の氾濫。放ってはおけないと自力で性教育を始めた母親たちのグループがある。「お父さんとお母さんが愛し合って赤ちゃんは生まれてくる」そんな生命の成り立ちを正しく知ることで、自分の命や他人の命を大切に、というのがその願いだ。さらに、学校で産婦人科医などの専門家の授業を積極的に行い、未成年の人工妊娠中絶率を大幅に下げた自治体も…。どこまで教えていいのか、どうやって教えるのか、大人たちの苦悩を追った。
ナレーター:毬谷友子 制作/中京テレビ 2013/05/12放送
奨励賞2012年春。山形県酒田市沖の離島・飛島から医師がいなくなった。人口240人の限界集落の島。後任は見つからず、行政が医師を派遣するのは週末だけ。海が時化る冬は派遣しない。住民の理解を得ないままテレビ電話での遠隔診療という体制での診療所再開だった。島民の不安の中、二人のベテラン看護師だけが残ったが、彼女たちに出来る医療行為は少ない。テレビ診療も休みとなった暮れから年明けにかけては、海が荒れ定期船は1週間欠航。こうした中、元旦に急患が発生した。急患に対応する酒田の病院の医師とも連絡がつかない。ヘリを要請するのは医師の判断。「これ以上、患者の様態を悪くできない…」看護師に重い負担がのしかかる。厳しい環境の中で、二人は懸命に島民の健康に向き合う。
ナレーター:中里雅子 制作/山形放送 2013/4/14放送
奨励賞“助けられた命だったのではないか…”震災の悲劇の真相を追い続ける遺族がいる。東日本大震災で870人が犠牲となった宮城県女川町。七十七銀行女川支店では、13人の行員らが2階建ての屋上へ避難。12人が津波に飲まれ、死亡・行方不明となった。当時、200メートルほど離れた高台には多くの町民が避難し、助かっていた。“なぜ、高台に逃げなかったのか?”1年半後、真相を究明しようと行員ら3人の遺族が銀行を提訴した。原告の1人、田村弘美さん(50)は、長男の健太さん(当時25)を失った。週末、支店の跡地に通い、銀行にも検証を求める署名活動を続け、津波による悲劇を伝えている。「震災を風化させない…」母は“いのちの教訓”を語り継ぐ。
ナレーター:松野芳子 制作/ミヤギテレビ 2013/9/8放送