親が育てられない6歳未満の子ども達を、血縁関係のない夫婦に実子として託す制度「特別養子縁組」。予期せぬ妊娠による新生児の遺棄や、虐待を防ぐ有効な手段としてメディアに取り上げられる機会も多くなり、世間の認知は進んできた。しかし、「子どもに真実をどこまで伝えるのか」「どこまでオープンにするのか」、当事者達は頭を悩ませている。
性被害によって妊娠したある女子高校生は、すでに中絶できる時期を過ぎていた。赤ちゃんを産み、特別養子縁組に委ねる決意をするが、果たして「性被害によって生まれた子を育てる夫婦がいるのだろうか…」「子どもに将来、真実を伝えられるのだろうか…」「授かった命を大切にしたい…」。究極の現場を取材した。
ナレーター:毬谷友子 制作/中京テレビ 2014/4/20放送
優秀賞所属する組織の不正を知ってしまった男が、正義の遂行のため立ち上がった。いじめによる隊員の自殺で自衛隊の責任が問われている裁判。かつて訴訟担当者だった現役自衛官が「重要文書を隠蔽している」と、自らの組織の[不正]を暴いた。「自衛隊が、不利な事実を隠したまま『不正な勝利』を得てしまう」今の生活を失ってしまうかもしれない恐怖と闘いながらの苦渋の決断だった。自衛隊は「文書は破棄した」と説明してきたが、一転。その後、200点もの大量の文書が開示された。今、裁判の流れは大きく変わろうとしている。「私は、組織に対してではなく、法の正義と国民に忠誠を尽くしたい」 今なお、組織に留まり一人、正義のために闘い続ける自衛官の姿を取材した。
ナレーター:二又一成 制作/日本テレビ 2014/2/23放送
奨励賞2013年1月、大島渚監督が逝った。「大島渚は不器用で、反国家むきだしにして体を張って闘っていた」そんな大島の魂がこめられたドキュメンタリーが、日本テレビに遺されている。『忘れられた皇軍』(1963年放送) 日本軍属として戦傷を負い、戦後、韓国籍となった旧日本軍の兵士たち。片腕と両眼を失った白衣の傷痍軍人が何の補償も受けられぬまま、街頭で募金を集める…大島は一体何を訴えようとしたのか?当時の制作スタッフや妻・小山明子の証言からひもとき、テレビと映画2つのフィールドで活躍する是枝裕和監督や同時代を生きたジャーナリスト田原総一朗と共に考える。50年を経た今、大島の映像は少しも古びることなく、見る者を激しく揺さぶる。テレビを考え抜いた映画監督、大島の遺言とは?
ナレーター:永田亮子 制作/日本テレビ 2014/1/12放送
奨励賞2011年11月9日、山形市内のアパートの一室で一人暮らしの男子学生の遺体が見つかった。大久保祐映さん(当時19)。携帯電話に残されていた最後の発信先は「119」。9日前の10月31日午前5時11分だった。しかし、通報を受けた山形市消防本部は救急車を出動させなかった。その時の6分20秒間の音声記録が消防本部に残っていた。「救急車の要請ですか」「はい」。「お名前は?」「19です」…。かみ合わないやり取り、途切れ途切れの声、荒い息遣い。通報当時、山形市消防本部の管内で救急車の出動はなく、5台全てが出動できる状態だった。なぜ救急車は出動しなかったのか…。そして山形市の出動システムは3年経つ今も変わっていない。私たちの命を守るはずの「救急」の今を問う。
ナレーター:小山茉美 制作/山形放送 2014/10/26放送