NNNドキュメント‘14「自衛隊の闇 〜不正を暴いた現役自衛官〜」が、
第14回「石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞」公共奉仕部門 大賞を
受賞しました。
[ 番組内容 ]
所属する組織の不正を知ってしまった男が、正義の遂行のため立ち上がった。いじめによる隊員の自殺で自衛隊の責任が問われている裁判。かつて訴訟担当者だった現役自衛官が「重要文書を隠蔽している」と、自らの組織の[不正]を暴いた。「自衛隊が、不利な事実を隠したまま『不正な勝利』を得てしまう」今の生活を失ってしまうかもしれない恐怖と闘いながらの苦渋の決断だった。自衛隊は「文書は破棄した」と説明してきたが、一転。その後、200点もの大量の文書が開示された。今、裁判の流れは大きく変わろうとしている。「私は、組織に対してではなく、法の正義と国民に忠誠を尽くしたい」 今なお、組織に留まり一人、正義のために闘い続ける自衛官の姿を取材した。
ナレーター:二又一成 2014/2/23放送 制作 日本テレビ
授賞理由:自衛艦を見学したとき、艦内の食堂に「団結」と大書されてあるのを見て驚かされた。戦闘集団には団結が最大のモラルなのだ。団結は少数意見を排除する。まだ殺し合いの惨劇を体験していない自衛隊が、いまでさえ民間よりもはるかに自殺率の高いのは、密閉集団の中で、異物を排撃し団結を求めるからだ。ミサイル搭載護衛艦「たちかぜ」の21歳の乗組員の自殺は、「いじめ自殺だった」と裁判官が判断できたのは、自衛官の内部告発の証言があったからだ。この番組は組織内にあって、組織の明朗性をもとめて、毅然として証言台に立った自衛官を描いている。秘密保護法実施前の、あるいは自民党の憲法改定案にある「軍隊内審判所〈軍事法廷〉設置」の前に、自衛官の勇気を映像化した意味は大きい。たった一人でもできることがある、という実践が日本全体を密閉集団化させない道を拓く。(鎌田慧選考委員)
大島千佳ディレクター:自衛官いじめ自殺裁判の二審取材中の衝撃でした。現役自衛官3佐が「自衛隊の文書隠蔽」を証言したのです。「私は自衛隊のためではなく国民のために働いている」――彼の確固たる正義に、文書が暴かれ、自衛隊幹部が謝罪。裁判をも覆した3佐の志そのものが受賞に相応しいと感じます。闇に光を当てる尊さを胸に刻みたいと思います。