《イタリア風景の中の聖ヒエロニムス》
1653年頃、エッチング・ドライポイント、259 x 210 mm
アムステルダム、レンブラントハイス/ⓒThe Rembrandt House Museum, Amsterdam
ヒエロニムスはレンブラントが好んだ聖人です。聖ヒエロニムスはしばしばライオンを伴って描かれますが、これは足に棘が刺さって苦しむライオンを救ったことにより聖人の傍には生涯ライオンが付き従ったという逸話からきたものです。木立のそばに描かれるヒエロニムスはライオンに背を向け、柔らかな光に包まれた静寂の風景の中で読書にふけっています。どこかイタリアの風土を連想させる風景は、レンブラントがこの版画を制作するにあたり、カンパニョーラとかティツィアーノなどのヴェネツィア素描を参考にしたことを想像させます。事実、この版画が制作された1650年代前半、レンブラントはカンパニョーラの素描を入手し、自らそこに加筆したことが知られています(レンブラントは生涯、オランダ国外へ出ることはありませんでした)。本展には、西洋紙、和紙、オートミール紙に刷られた3点の作品が出品されます。