《書斎のミネルヴァ》
1635年、油彩・カンヴァス、1372 x 1160 mm
個人蔵/©Private Collection, New York
画面中央には、頭に月桂樹の冠を被り豪華な服を着た女性。彼女の左手はテーブルの上に広げられた書物に置かれ、近くには地球儀、ヘルメットや本などがあります。このヘルメットや壁に掛けられた槍、また、メデューサの頭が描かれた盾などから、彼女は女神ミネルヴァであることがわかります。パラス・アテナとも呼ばれるミネルヴァは戦いの女神ですが、叡智と戦略に優れていることから知恵の女神ともなり、技芸や学問の庇護者としても知られることになりました。レンブラントが描き出したのは、戦いではなく、技芸の庇護者としてのミネルヴァであったと思われます。彼女が武具から解き放たれ、月桂樹を頭に被っているのは、そのことを暗示しています。