《ヤン・シックス》
1647年、エッチング・ドライポイント・エングレーヴィング、245 x 191 mm
アムステルダム、レンブラントハイス/ⓒThe Rembrandt House Museum, Amsterdam
レンブラントによる肖像版画の代表作としてよく知られた本作品は、レンブラントの友人であり、またパトロンでもあったヤン・シックスを描いています。シックスはアムステルダム市長をも勤めた政治家でしたが、同時に、芸術を愛し、詩や戯曲などの著述を残した文人でもありました。おそらく、この作品は、窓の外に広がる社会に背を向け、芸術や文芸の世界で静かに瞑想するシックスの理想像を描いたのでしょう。黒々とした室内の描写は、特に、早い刷りにおいては比類ない美しさに達しています。なお、レンブラントは1654年にはヤン・シックスを油彩画でも描いていますが、それはレンブラントの手になる単独男性肖像画の最高傑作と見なされています。