《ヘンドリッキェ・ストッフェルス》
1652年頃、油彩・カンヴァス、740 x 610 mm
ルーヴル美術館/© 2006 Musée du Louvre/ Angèle Dequier
ヘンドリッキェ・ストッフェルスは、レンブラントの事実上の後妻です。レンブラントはヘンドリッキェと入籍することはありませんでした。最初の妻サスキアに先立たれた後、レンブラントは息子ティトゥスの乳母ヘールチェ・ディルクスと愛人関係になり、その後に登場するのがヘンドリッキェです。彼女は1650年代以降のレンブラントのミューズとなり、画家の支えとなりました。実際に彼女の肖像として描かれた可能性は低いものの、著名な《水浴する女》(ロンドン、ナショナル・ギャラリー)や《バテシバ》(ルーヴル美術館)が彼女の存在に大きな想を得たものであり、彼女をモデルにして制作されたことは間違いないでしょう。暗い背景から浮かび上がるように褐色系の諧調を施された彼女は、肩から胸元にかけ、繊細でありながら力強い明暗表現を見せています。